前鬼谷の橋火災!?
瀧道から小さなトンネルを抜けて落合谷に入ると、上のほうから数人
のグループがしきりに残念! 残念! と、言いながら下りて来ま
した。
間もなくして一人の女性ハイカーの方も、首を振りながら下りてきま
した。
どうしたのかな?
何かあったのかな・・・ ?
しかしすぐにその理由が分かりました。
「この先の箕面自然歩道は、通行止め」 との表示です。
何があったのだろうか?
更に進むと山道を大きな看板がふさいで、その理由が明示されて
います。
「・・・この先の橋で火災があり・・・ 危険な為に通行止め・・・ 云々」
との事です。
この箕面自然歩道・前鬼谷(ぜんきだに)渓流にかかる小さな橋々は、
近年にその5~6ケ所が改修されたばかりです・・・
一部の土台はコンクリートや鉄骨で補強されていて、かつての丸太を
組み合わせただけの橋から変っているはずだが・・・?
そんな橋が火災だなんて想像がつきません・・・
例え橋が崩れていても谷川に下りればいいし、狭い浅い所ばかり
なので通行に支障はないだろう・・・ と、私は行って見る事に
しました・・・ 本音は好奇心なのですが・・・ (笑)
通行止めのロープは、すでに何人かのハイカーが通ったようで垂れ
下がっています・・・
ごめんなさい!
そういいながら、私はロープをまたいで山道に入りました。
ここからゆるやかな登りが、ようらく台園地から五月山ドライブウエイ
まで続いています。
この前鬼谷の左斜面の上方から、右の谷川べりまでにかけてはいくつ
もの細い獣道がはっきりとついていて、いつもキョロ キョロと見回して
しまいます・・・
と言うのも、つい数時間前の夜明けまで、この獣道を森の動物達が
行き来していたかと思うと・・・
今頃どの辺で寝ているのかな? と、周りを見渡してしまうのです・・・
ぬかるみに四足の爪あとなどがくっきりと付いていたりすると、余計に
リアルですからね・・・ (笑)
岩と岩との間から馬の尾のような細長い小滝が見え、その上にかかる
橋が第一番目の橋です・・・
見るとここは何も問題なく安全のようです・・・
次いで二番目・・・ 何もなし。 三番目・・・ 大丈夫! 四番目・・・
ここでも問題なし・・・
巾は1M 長さ3M 前後の手摺のない小さな木の橋を次々と渡り
ながら、ゆっくりと登っていきます・・・
春の森の芽吹きを楽しみながら・・・
すると上方から髭をはやしたおじさんが一人下りて来たので、
早速尋ねてみました・・・
・ すいませんが・・・ この先に燃えた橋がありましたか?
* いや! ワシも気にしながら来たんやがな・・・
あれしまへんでしたで・・・ この下もないんでっか?
お互い通行禁止をまたいできたので情報交換も念入りに? した
けれど、どうやら火災橋はなかったようです・・・ おかしいな?
やがて私は上りきった所にある休憩所で一休みにしました・・・
すると一人の同年輩の男性の方が、逆方向から来られ話し掛けこられ
ました。
* 下から来はったんでっか? ワテは六箇山からですワ!
この下の橋な、燃えてましたやろ?
・ エッ! やっぱり燃えた橋があったんですか?
気が付かなかったんですが・・・
* あれが目に入らんことないワ!
ワテが10日前に通った時はな、橋の三分の一がこう焼け
とったワ・・・ なにせ木やさかいな!
しかし、あれは故意やな・・・ タバコの火が燃え移った
ようなもんとちゃうワ・・・
こん前、オーストラリアやったかな?
大火事あったがな・・・ タバコも危ないけどな・・・ けどな、
あの橋をな燃やすとなると結構な火力いるさかいな・・・
どないして燃やしよったんかいな?
崩れ落ちてはなかったけど、あれでは半分ぐらい手を入れん
とあかんのんとちゃうかな?
しかしそれに気が付かんかったんやったら、もう修理したん
やな・・・?
・ そうだったんですか・・・ 知りませんでした・・・
通行止めだったのでどうしようかと思ったんですが、逆にその現
場を見てみようと思って登ってきたんですが・・・
* 工事が終わったら終わったで、早ように看板どけたらな
あかんわな!
ええ季節やのにな、みな通られへんやないかな・・・
殺生やな!
・ そうですね! でも早く補修してもらってよかったです・・・
しかし悪い事する人もいるものですね・・・
* ほんまやで・・・ 悪い事いうたらな・・・ こん前な、外院
の山ん中でな、自転車乗った若い奴がカーブ曲がりきれん
と谷へ落ちよってな・・・ そんで救急隊が8人がかりで
担架に乗せて運こんどったワ!
狭もうて崖や岩やからな・・・ 大変やったで・・・
もうワテ三回もそんなん見たわ・・・ 自転車乗ってる
若い奴見たら、ワテいつも怒ってやりまんねん・・・
ほんま、山んなかで自転車なんか危ないわ!
この前なんかは70台のじいさんが転んで足折りまして
な・・・ そんでまた救急が出てましたワ・・・
山ん中なんてほんま大変でっせ!
一人に8人の救急隊もいりまんねんな・・・
いつしか橋の火災から話が違う方向へいってしまいましたが、私も
同感するところも多くあり、相槌を打ちながら聞いていたら、次々と
山歩き時のボヤキ漫談になってしまいました・・・ (笑)
しかし、山や森での事故、災害には気をつけなければなりませんね・・・
他人事ではありません。
それにしても、こんな森の中の小さな木橋を燃やして、何の憂さ晴らし
なのでしょうか?
近頃は理由のハッキリしない、わけの分からない人が、わけの分から
ない行動をする時代なのでしょうか?
ワタシはわけが分からなくなりながらも、気持ちを切り替えて猟師山へ
と向いましたが、途中の森の尾根道で、黒く焦げて倒れた木を見つけ
ました・・・
ゾ ゾ ゾ~ !
よく見ると、どうやら何年か前にこの木に雷が直撃した模様です。
カミナリなら防ぎようのない天災ですからいたしかたありま
せんが・・・?
こだわり症の私は、これからしばらくの間、森の火災痕に キョロ
キョロ キョロ と しそうです・・・ (苦笑)
09-3-28 (完)
山道の改修路を歩く!
最近は日替わりのようにお天気が変りますね・・・
今日は昨日の大雨の後の、快晴のハイキング日和です。
しかし、寒暖の差が10度以上もあり、季節の移り変わり目を感じます。
今日は自然2・3号路の改修が終わったようなので、早速出かけてみる
事にしました。
ここへ来る前に聖天の森の南斜面には、早くもミツバツツジの花が
美しく咲いていて、春風になびいていました。
まず瀧上から勝尾寺方面へ進み、百年橋を渡って自然2号路を上り
ます。
いいお天気です・・・
ガリ ガリ ガリ~ ザ ザ ザー 何の音かな?
上っていくと、やがて作業服を着た一人のおじさんが、改修工事の
残処理なのか? スコップで山道を整備していました。
・ おはようございます・・・ ご苦労様です!
* ハイ! おはようごさいます・・・
・ きれいになりましたね・・・ ありがとうございます・・・
* ハイ!
おじさんは私の顔を見ながら、もうこれ以上ないと言わんばかりの
笑顔でにっこりされました。
丸太をがっちりと組み合わせて土止めの壁を作り、路肩を固めて
います。
山の保水力がなくなってきた・・・ と、言われ始めてからもう沢山の
岩コロ、土砂が山道を覆い、歩くのに危険な個所もあったので、
嬉しい限りです。
それに杉の間伐材を活用したり、加工したりしているのが嬉しい
ですね。
仕事とはいえ、こうして私には作業不可能なことを黙々とされている
方々には有り難く、自然と頭が下がります。
しばらく上っていくと岩場に山椿(ヤブツバキ)の赤い花が沢山落ちて
いて、花道が出来ています・・・ 昨日の雨風で落ちたのかな?
でも見上げるとまだ沢山の花が枝には付いています。
108の石段を上ると フー フー もので、息が切れます・・・
少し休んで一呼吸をおいていると、それまで気が付かなかったの
だが、鳥たちが沢山飛び交っているのが見えます。
それに北の谷間から音がする・・・ 何だろうか?
早速首からかけている双眼鏡でのぞいて見ると、水の流れです・・・
その少し上に長い馬の尾のような小さな滝ができていて、その音
だったようです。
きれいです・・・
自然の営みにしばらく見とれてしまいました・・・
昨日の大雨の影響なのか? この谷で見る初めての光景に、
一期一会を感じました。
この自然2号路沿いには、樹齢100年近いような大きな杉の木が
林立していて、夕暮れ時には欝蒼として恐くなるぐらいです。
しかし、南面の為に昼過ぎまでは太陽があたり、木漏れ日が山道を
照らしていて、それは気持ちのいい自然路なのです。
朽ち果てた大きな杉の木株の上にコケが生え、その中から小さな杉の
赤ちゃんが芽を出しています・・・ ガンバレ!
しばらくかがみこんで見ている時でした・・・
* 何してはりますノン?
(見るとおばさん二人連れ・・・ 突然で少しビックリ!)
・ 杉の赤ちゃんを見てたんです・・・
* あっ! これな・・・ 可愛いな! ワテみたいやな!
ハハハハ・・・
(もう一人のオバサンが・・・)
* あんた! どこが可愛いのん?
やきいもみたいな顔して・・・!
(私の方が大笑い・・・)
・ あっ! すいません・・・ でも楽しい方ですね。
* そうでんねん! こんな事ばっかり言いながら山歩いて
おりまんねんで・・・
しかし、道なあ、きれいにしてもろてありがたいでんな!
ほんま助かるわ・・・ この前なんかな! あんた!
二人して同時にこの先で転んでな・・・ 痛かったな!
(するともう一人のオバサンが・・・)
* あんたがワテの腕につかまったからやで・・・
道悪うてな・・・
死ぬ時も、ワテ道ずれにせんといてや!
アハハハハ・・・ ホナお先に!
大阪のオバちゃんにはいつも圧倒されてしまいます (笑)
少し間を空けて私も進んでいくと、右に獣道を見つけました・・・
見るとぬかるんだ道に獣足と人の靴跡が並んでついているので、
つい クスッ! と、笑ってしまいました・・・ 行けそうだな!?
最近はもう初めての山道の開拓はやめていたのですが・・・
方向は分かっているので慎重に登り始めました・・・
初めての山道には緊張感でいっぱいです・・・ もうあのオバちゃん達
の毒気はすっかりと払拭されしまいました (笑)
やがて見慣れた自然3号路の風景が見えてきました・・・
こんな所に出てくるのか! 新しい発見に満足です。
ところが道なき獣道から急に私が出てきたので、丁度前から歩いて
こられた中年の女性を驚かせてしまいました・・・
すいません・・・!
暖かい尾根道のひだまりを見つけて一休みにします・・・
思い切り深呼吸をして森のイオンを体に吸収します・・・
気持ちいい!
リュックからコーヒーポットを取り出してコーヒータイムにします・・・
いい香り! 温かいコーヒーが喉を伝っていく時の至福感は何とも
いえません。
やがて鳥のさえずりと共に、ザリ ザリ ザリ・・・ ガザ ガザと変な
音がします・・・ 何だ?
双眼鏡で南側の谷間をのぞいていると、作業着姿の方がスコップを
持って先程と同じように改修された山道を整備しています・・・
一人なので残作業のようですが、丁寧に一段一段スコップでならし
ながら、横の溝の枯葉などを除いています・・・
ありがとうございます!
私は自然と心の中で叫びました。
こうして箕面の森の散策を楽しめるのも、作業して山道を整備して
くださる方々のお陰です・・・ 感謝です。
それにこの財政難のおり、箕面市、大阪府や林野庁も必要な予算を
下ろしてくれる事にも有り難いことです・・・
日頃、行政に文句ばかり言っているのに・・・ (心の中でですが・・・)
自分たちに関係する対公共事業費には、こうして素直に感謝できるの
も、我ながらジコチュウな人間だな・・・ と、苦笑ものです。
しかし、先程の大阪のオバちゃんがくすしくも言ってましたね・・・
「きれいにしてもろて、ありがたいでんな・・・ ほんま助かるわ!」
その通りです・・・ 素直ないい表現です! (笑)
09-3-21 (完)