土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

大乘寺、曹洞禅の古刹です。

2018年05月11日 | 石川の古寺巡り





(2018.05.01訪問) 


高岡の瑞龍寺から大和路号は金沢に向かいます。例によりGW中にも関わらず高速はガラガラ、金沢までザッと50キロ。
金沢は北陸の大都市、市内は人とクルマでごった返していました。市内の野田山という小高い丘に大乘寺はあります。
さすが加賀100万石の町、野田山の加賀藩前田家墓地も立派なもので、その麓に大乘寺は700年余りの法灯を灯し続け、
伽藍構成は瑞龍寺と同様、主要伽藍を一直線に配し四周を回廊で結んでいる典型的な曹洞宗の禅刹です。





▼大乘寺参道は大乘寺丘陵の周回道の途中にあり、思わず通過しそうになりました。







            [ 大乘寺 ]
            ●山号 東香山 (とうこうざん)
            ●寺号 大乘寺 (だいじょうじ)
            ●宗派 曹洞宗 (そうとうしゅう)
            ●開創 正応二年(1289年)
            ●開山徹通義介 (てっつうぎかい)
            ●本尊 釈迦牟尼仏
            ▲拝観料 境内自由 朱印300円
            ▲http://www.daijoji.or.jp
            ▲石川県金沢市長坂町ル-10 076-241-2680
            ▲JR金沢駅から北鉄バス市立病院・平和町行きで20分、終点下車、徒歩15分
             北陸道金沢西ICから10km20分。または金沢森本ICから10km20分





            ▼参道前には立派な石柱が建っています。







大乘寺縁起(大乘寺HPから抄出)
東香山大乘寺は、山号を別に古くは椙樹林のちには金獅峯ともよんでまいりました。ご開山は、福井県の曹洞宗大本山永平寺の第三
代徹通義介禅師です。大乘寺は、大本山永平寺、大本山總持寺に格別の由緒をもち、大本山永平寺の四門首の一であり、両大本山に
次いで、わが国曹洞宗の古刹と言ってよいのであります。大乘寺の伽藍は、わが国禅宗建築なかんずく曹洞宗寺院建築の典型的な七
堂伽藍の配置になっています。





▼緑が濃くなってきた参道先に惣門が見えてきます。







▼惣門。まるで上級武家屋敷の雰囲気を残す檜皮葺きの門です。
 黒塗り塀であるところから黒門とも呼ばれてるそうです。寛文五年(1665年)建立。







▼惣門扁額。古くは山号を金獅峯と呼ばれたそう。







            ▼禅刹専用石柱。臭いもの、酒飲みの入山は許さんぞ。







▼やがて先に赤い豪快な門が見えてきます。







▼山門。近年塗り替えられたそうで、渋い赤が囲まれた緑によくマッチし、赤門とも呼ばれてるそうです。
 三間一戸、重層楼門、入母屋造、檜皮葺。左右に仁王像が安置されています。







▼山号東香山と書かれた扁額。山号と額周辺を彫刻で飾り部分的に金処理された、いかにも高そうな扁額です。







▼右脇に阿形金剛力士。













▼左脇に吽形金剛力士が安置されています。













▼山門戸口から正面に仏殿が見えます。







▼仏殿(重文)。本尊釈迦牟尼仏。元禄十五年(1702年)建立。創建当初の姿そのままらしいです。







▼大雄殿と書かれた仏殿扁額。

 





▼堂内内陣。立派な二重須弥壇に本尊が見えます。

 





▼本尊釈迦牟尼仏坐像。中央に釈迦牟尼仏坐像、右文殊菩薩が獅子坐、左普賢菩薩が像に坐しています。

 





▼本尊釈迦牟尼仏坐像。与願、施無畏の印相でお顔はやや幼さが残る穏やかで柔和なお顔で蓮華座に坐しています。







▼仏殿と法堂の間のお庭。







▼二色のツツジ。







            ▼観音さんもお立ちです。







▼仏足石。







            ▼不動明王。







▼塔高3mあまりの石塔。中に石仏が祀られています。







▼法堂。桁行十間、梁行七間、単層入母屋造、桟瓦葺、元禄十年ごろ(1697年)建立。







▼法堂堂内の扁額。読み意味全く判りません。







▼堂内は外、中、内陣とセパレートされ、外陣は板敷き、中陣は畳、内陣須弥壇上に本尊が。







▼法堂中央の間は数々の瓔珞や飾りで荘厳され、中央に本尊がお立ちです。







▼本尊観音菩薩立像。現代仏師の作でしょう。まさに出来立ての本尊のようです。   













▼ご朱印です。







富山、石川の禅刹典型寺院、瑞龍寺と大乘寺、いずれも大きくはないお寺ですが、道元禅の気風は充分感じることの出来る禅刹です。
曹洞の祖、道元さんの気風を繋ぎ日頃の修行道場としての厳しさと、その修行の一貫として境内の美しい管理、典型的な伽藍配置を
見るにつけて道元精神の崇高さを訪ねる方達も感じることが出来るでしょう。

これにて瑞龍寺&大乘寺&北陸遠征 オ シ マ イ





↓ ポチッと押していただければたいへん嬉しいのですが。

神社・お寺巡り ブログランキングへ

瑞龍寺、伽藍構成の「美」を堪能。

2018年05月06日 | 富山の古寺巡り





(2018.05.01訪問) 


予てから是非訪ねてみたい古刹の一つが、富山県高岡市の瑞龍寺なんです。
GWの5月1日、行ってきましたヨ瑞龍寺。我が家から約350キロ、第二京阪、京滋バイパス、名神高速、北陸自動車道、能越自動車
道を乗り継ぎ無事高岡IC到着。素晴らしいですネ日本の高速道路網、一般道を走ることなく高速おりたらスグ瑞龍寺、時間にして約
3時間30分。連休特有の渋滞一切なし。

瑞龍寺は創建400年ほどの曹洞の禅刹で、主要伽藍を一直線に配し四周を回廊で結ぶ、左右対称の整然とした美しさと伽藍構成を見
ることの出来る寺院です。回廊は往来自由、各お堂は全てオープン、制約の多い京都や奈良の寺院では考えられない、お寺愛の人に
とっては嬉し~いお寺なのです。





▼総門(重文)。
 薬医門形式、三間一戸、切妻造、檜皮葺、正保年間(1644年~1648年)建立。







[ 瑞龍寺 ]
●山号 高岡山 (たかおかさん)
●寺号 瑞龍寺 (ずいりゅうじ)
●宗派 曹洞宗 (そうとうしゅう)
●開創 慶長十九年 (1614年)
●開基 前田利常 (まえだとしつね)
●開山 広山恕陽 (こうざんじょよう)
●本尊 釈迦如来
▲拝観料 500円 朱印300円
▲時間 9:00~16:30 12月10日~1月31日は9:00~16:00
▲富山県高岡市関本町35 Tel.0766-22-0179
▲あいの風とやま鉄道「高岡駅」から徒歩10分
 JR「新高岡駅」から徒歩15分
 能越自動車道高岡ICから車で10分





▼山門は鋭意屋根瓦葺き替え中。これは全くの計算外!







瑞龍寺縁起(瑞龍寺HPから抄出)
曹洞宗高岡山瑞龍寺は加賀藩二代藩主前田利長公の菩提を弔うため三代藩主利常公によって建立された寺である。利長公は高岡に築
城し、この地で亡くなった。加賀百二十万石を譲られた義弟利常は、深くその恩を感じ、時の名工山上善右衛門嘉広をして七堂伽藍
を完備し、広山恕陽禅師をもって開山とされた。造営は正保年間から、利長公の五十回忌の寛文三年 (1663) までの約二十年の歳月
を要した。当時、寺域は三万六千坪、周囲に壕をめぐらし城郭の姿を想わせるものがあった。





▼葺き替え工事前の山門(国宝)。重層楼門、入母屋造、杮葺き、正保二年(1645年)建立。



(山門写真はネットからもらってきました)





▼阿形仁王像。像高340cm、文政元年(1818年)造立。           
 吽形像とも余りにも色鮮やか、近年、彩色がペンキのような塗料で塗り重ねられ、本来の色味が損なわれているそうです。







       





▼吽形仁王像。                              













伽藍構成は中国の寺院建築を模して建立されたもので、総門、山門、仏殿、法堂を一直線に配列し、左右に禅堂と大庫裏を置き周囲
を回廊で結ぶ整然とした伽藍構成になっています。


▼山門から一直線の参道、その向こうは仏殿。左右は回廊。







▼仏殿(国宝)。本尊釈迦三尊。
 重層に見えますが実は単層、桁裄三間、梁間三間、下屋根は裳階。総欅の入母屋造、鉛瓦葺、万治二年(1659年)建立。







▼仏殿扁額。







▼仏殿内部は二重須弥壇、上段に本尊釈迦三尊が祀られています。簡素な堂内荘厳ですが、なぜか圧倒的な気が迫って来るようです。







▼本尊釈迦三尊。中央に釈迦如来坐像、右文殊菩薩が獅子坐、左普賢菩薩が像に坐しています。
 背面板壁は、西方浄土の空に横雲がたなびく有様を、木目で再現しているそうです。







            ▼中尊釈迦如来坐像。木造、像高72.5cm。
             体躯の漆箔はよく残っており、法衣の襞がなかなかユニークですが、
             お顔は剥落がきつくよく判りません。
             惜しいかな光背はやばい状態になってます。







            ▼仏殿天井の組み物。ここを見るだけでも建築美の粋を感じますネ。







▼回廊に囲まれた仏殿と法堂前の広々とした一角。







▼法堂(国宝)。屋根の反りが実に美しく安定感抜群の建物です。内部は六室よりなっています。
 桁裄十一間、梁間九間、総檜の入母屋造、銅板葺、唐破風向拝付、明暦元年(1655年)建立。







▼法堂前面。







▼寺号が記された法堂扁額。







▼法堂中央の間。内陣奥は加賀藩二代藩主前田利長の位牌を安置。







▼法堂中央の間の天井画。狩野安信四季の百花草。







▼法堂般若の間。大層なお厨子には烏枢沙摩明王が祀られています。本来は火神、厠の神として信仰されているそうで、何故ここに
 祀られているのかは不詳です。

         





▼仏殿横からの法堂です。







▼ここは東回廊(重文)。







▼回廊中程に半跏のお地蔵さんが祀られています。ご機嫌斜めか少しムッとしてはります。







▼大茶室。どう見ても茶室には見えない茶室、相当広いです。

     





▼禅堂(重文)。坐禅修行の建物。
 桁裄七間、梁間五間、切妻造、杮葺、正面唐破風向拝付、平成二年再建。







▼禅堂中央に簡素な須弥壇。壇上に祀られているのは曹洞宗祖道元禅師木像。







▼やはり禅刹、これもぶら下がっています。相当使い込んでいますネ。







▼鐘楼。







▼大庫裏。寺務所兼台所。桁裄十間、梁間六間、切妻造、杮葺、正面唐破風向拝付。          













▼ご朱印です。







一つ残念だったのは楼門形式の山門が瓦葺き替え中で覆屋でスッポリ。この情報には気が付きませんでした。
伽藍四周を回廊で結ぶ、整然とした寺景観を是非見たかったのですが、あるかなしかの次の機会ということにしましょう。
北陸遠征第二弾はここ富山から隣石川のやはり曹洞の古刹、あの名刹を訪ねます。

瑞龍寺 オ シ マ イ





↓ ポチッと押していただければたいへん嬉しいのですが。

神社・お寺巡り ブログランキングへ