(2013.03.23訪問)
あの白い清楚な小花が、小さな古刹の春を告げる風景を久し振りにと云うことで、海龍王寺を訪ねました。
可憐な白い妖精は五、六分咲きといったところでしょうか。お寺の方も「今年はおかしいですね、木によっ
て咲き方が違うようですよ」と云われてました。
雪柳と海龍王寺、古都の春の歳時記を彩る白の世界はまだ少し先ですが、今日からご本尊十一面観音が春期
特別開帳されています。1mに満たない小さなお像ですが、ボクたちに与えるインパクトは丈六仏に決して負
けることはありません。垂飾や瓔珞の細密精微、条帛や天衣、裳にいたる彩色は朱、丹はじめ緑や青。色々
の文様を細密な切金で表しています。特にお顔の彩色は本当に鎌倉時代?と思うほどきれい、目の前三十セ
ンチのスバラシさ。です。
▼本堂と西金堂。
[ 海龍王寺 ]
●寺号 海龍王寺 (かいりゅうおうじ)
●宗派 真言律宗
●開基 光明皇后
●開山 伝玄昉僧正 (げんぼうそうじょう)
●創建 天平時代 (8世紀中庸)
●中興 叡尊 (えいそん)
●本尊 十一面観音菩薩立像 (重文)
▲奈良市法華寺町897 電話/0742-33-5765
▲拝観料 400円
▲JR奈良駅、近鉄奈良駅からバスで西大寺、航空自衛隊前行で法華寺前下車。
近鉄新大宮駅から徒歩15分。
海龍王寺縁起 (海龍王寺HPより抄出)
飛鳥時代に毘沙門天を本尊として建てられた寺院を、天平三年 (731年) に光明皇后により海龍王寺としてあ
らためて創建されました。天平時代に遣唐使として中国に渡っていた海龍王寺初代住持の玄昉が、天平六年
(734年) 十月仏教の経典を網羅した一切経五千余巻と経典に基づいた新しい仏法との二つを携え翌年三月、
無事に奈良の都に帰朝、嵐の中、唐より無事に帰国を果たした玄昉が初代住持となったことから遣唐使の航
海安全祈願を営むと同時に平城京内道場の役割を果たすことにもなり、玄昉が唐より持ち帰った経典の書写
も盛んに行われました。都が平安京に移ると平城京は衰退、海龍王寺も同様に衰退していきましたが、鎌倉
時代になると真言律宗を開いた興正菩薩叡尊により伽藍の大修理を受けると戒律の道場や勉学所として栄え
ました。
▼山門。一間四脚門、本瓦葺、切妻造。室町時代建立。
海龍王寺をよくご存知の方は、この写真のウソお分かりですネ。
▼山門扁額。
▼参道。
▼室町時代の面影を残す参道両脇の築地塀。水仙一株見えます?
▼なんて可憐な!
▼中門への参道脇には雪柳がイッパイ、ありませんネ、イヤな予感アリアリ。
▼本堂への参道の雪柳、まだまだですね。
▼本堂。
桁行五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺。寛文六年 (1666年) 再建。
今日から春期特別開帳で本尊十一面観音真近で拝観できます。
▼本尊十一面観音菩薩立像 (重文)。数年前に描きましたペン画です。
像高94.0cm、木造。鎌倉時代、慶派の誰かの作と伝わるそうですが誰か判りません。
▼本堂と雪柳。まだまだですね。
▼本堂。
▼西金堂 (重文)。桁行三間、梁間二間、切妻造、本瓦葺。奈良時代建立。鎌倉時代に大規模修理がなされた
そうですが、規模や形式に大きな変更がないそうです。
▼西金堂正面。堂内中央に五重小塔。
▼五重小塔(国宝)。塔高4.01m
創建当時から西金堂内に安置されており、天平時代の建築技法を現在に伝え、塔の建築様式の発展をたどる
上にも重要。小塔は屋内で安置することを目的とした為、近くから見たり拝んだりするであろうことから近
くから見た時の工芸的な性格を非常に重視、外部は組物などの細部にいたるまで忠実に作られています。ま
たこのことは寸法取りにも表れており、上層部にいくにしたがって塔身が細く作られていることから上層部
と下層部の均整を重視した寸法取りを行っていることがうかがい知れます。(海龍王寺HPより抄出)
▼堂内には、この五重塔のみが置かれています。
▼西金堂横の雪柳。まだまだですね。
▼境内小径の雪柳。まだまだですね。
▼一切経蔵 (重文)。桁行三間、梁間二間、寄棟造、本瓦葺。鎌倉時代叡尊により正応元年(1288年) 建立。
▼一切経蔵の錠。
▼大師堂と雪柳。まだまだですね。
▼海龍王堂。
▼三神がお祀りされているようです。
▼会津八一の歌碑。
しぐれのあめ いたくなふりそ こんだうの はしらのまそほ かべにながれむ
「時雨よ、あまりひどく降ってくれるな、金堂の柱の真礼 (朱の顔料) がとけて壁に流れてしまうから。」
という意味だそうです。
▼雪柳。こんな可憐な花がお寺を覆い尽くすんですよ。
▼修業地蔵。
▼雪柳。
▼生木地蔵。
▼雪柳。
▼中門と雪柳。まだまだですね。
▼御朱印。
真っ白の世界は今週末くらいでしょうか。
海龍王寺から氷室神社へ。氷室神社の枝垂桜満開の報で、花見も一興、よし行こう。
と一条通を24号線越えたところでギッシリ渋滞。もちろんズルUターンして帰りました。
▼本当の山門