~~引用ここから~~
アベノミクス指標に“仕掛け” GDP算出方法変更、不都合な試算拒む 2019/12/29(西日本新聞)
安倍晋三首相は「経済最優先」を掲げることで底堅い支持を集めてきた。政権が発足した2012年12月からの景気回復は「戦後最長に及んだ可能性が高い」(内閣府)とされ、国内総生産(GDP)の伸びもその「成果」に数えられる。ただ、アピールに使われる数字の裏側に目を凝らせば、数字を大きく見せる“仕掛け”も見え隠れする。アベノミクスの成果は本物なのか-。
「名目GDPが1割以上成長し、過去最高となった」。首相はアベノミクスの成果をこう強調する。
経済の成長や景気を表すGDP。首相は15年、景気実感に近いとされる名目値を20年ごろに600兆円に引き上げる目標を掲げ、達成可能と明言した。
15年度当時の名目GDPは500兆円程度にとどまっていたが、その後に数値が急伸。直近の19年7~9月期は559兆円に達している。
ただ、この伸びは額面通りには受け取れない。うち30兆円程度は16年12月に算出方法を変えた影響によるものだからだ。国際基準に合わせたり、基準年を05年から11年に変えたりした結果、企業の研究開発費などが加わって全体を押し上げた。実際、新基準の15年度は532兆円となった。
内閣府はこうした経緯を公表しており「基準変更は国際基準に合わせる目的で、数字を押し上げる意図はない」と説明するが、政府目標は「600兆円」のままだ。実績の“かさ上げ”で目標が達成しやすくなっており、エコノミストからは「目標を上方修正すべきだ」といった批判の声も相次ぐ。
(略)
■利益は企業、投資家に
大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略という「三本の矢」を掲げたアベノミクスの手詰まり感が強まっている。日銀による金融緩和は円安・株高の流れを生み出し、企業と投資家には利益をもたらしたが、大半の国民に景気回復の実感は乏しいままだ。
企業業績の改善は鮮明だ。この7年間(2012年度~18年度)で企業の経常利益は約1・7倍になり、内部留保は約159兆円増え、企業の現金・預金も約55兆円増えた。
有効求人倍率は安倍政権が発足した12年12月に0・83倍だったが、19年11月は1・57倍まで改善。安倍晋三首相はこの数字をアベノミクスの成果として誇示するが、日本経済が少子高齢化で生産年齢人口が減り、構造的な人手不足に陥っていることの裏返しとの見方は強い。
当初、首相は企業がもうかれば賃金上昇や雇用や投資の拡大につながり、経済は好循環する「トリクルダウン」という説を唱えたが、肝心の賃金は伸び悩んでいる。企業の稼ぎを人件費に充てた割合を指す「労働分配率」は、約72%から約66%に低下している。
日銀の大規模な金融緩和も2%のインフレ目標達成は遠く、地方銀行の経営悪化など副作用が目立つ。成長戦略もスローガンばかりが先行し、大きな成果は見当たらない。
政府関係者は自嘲気味にこう語る。「アベノミクスの肝は数字をどう見せるか。この繰り返しだ」
(古川幸太郎)
~~引用ここまで~~
安倍晋三政権の発足時と現在の主な経済指標(西日本新聞(画像をダウンロードできないから))
西日本新聞がアベノミクスの化けの皮を剥いだ記事を書いた。
GDPの成長は算出方法を変えたからで、見せ掛けでしかない。30兆円は嵩上げなのだ。そうすると年率1%も成長していないことになる。
実際に消費税増税で景気は落ち込んだのだ。それを認められない財務省とその意を受けた景気動向指数研究会が「景気は拡大している」と虚偽を報じた。
以前のGDPの算出方法を適用すると橋本龍太郎が消費税増税と緊縮財政で日本経済を急落させた21年前に及ばないという。21年間ゼロ成長なのである。信じられるだろうか。
大企業と株主は法人税減税と労働分配率の減少で我が世の春だが、国民に景気回復の実感はない。
実際に実質賃金と実質消費は安倍晋三の7年間でもっとも下がっているのだ。西日本新聞の画像を見れば一発で分かるが、
実質賃金(指数)は88.9から83.9まで下がっているし、
実質消費(指数)は104.1から95.1まで下がっている。
国民生活は苦しくなる一方だと分かるだろう。
民主党政権の後でなければ安倍晋三内閣は何度吹き飛んだか知れない。民主党政権への失望が大きすぎたので表面を取り繕えば「民主党よりマシ」ということで支持されてしまうのだ。
安倍晋三がことあるごとに誇る有効求人倍率の改善も少子高齢化の結果人手不足に陥ったのであって安倍晋三の経済政策の成果ではない。
株価もそうだ。円安だからドルベースで少し上がったというのがまずひとつ。何より株価を上げた理由は日銀と年金で日本株を買い支えているからだ。
この禁じ手に手を染めてしまった以上もう戻れない。止めれば株価が暴落するからだ。
これがアベノミクスの実態なのだ。消費税増税と緊縮財政により経済は成長せず、国民から富を吸い上げて大企業と株主に分配した。
本来なら国民は安倍晋三を拒絶している。しかし民主党政権の後なので、表面を取り繕えば「民主党よりマシ」と消極的支持を与えてしまうのだ。
実際に野党第一党の立憲民主党は安倍晋三の「緊縮財政」を「バラマキ」と批判しているくらいだ。「狂気」としか言えないがそれが現実である。立憲民主党が政権を握ればさらに歳出が減り国民生活は苦しくなるだろう。
消費税減税(廃止)と国債発行による歳出拡大を掲げているのは山本太郎率いるれいわ新選組だけだ。
れいわ新選組を支持するかはまた別の話かもしれない。しかしそれ以外GDPを成長させ、国民所得と国民消費を増やす方策はない。
(参考サイト)
アベノミクスの肝は数字をどう見せるか 2020-01-07(三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」)
カテゴリー変更。
アベノミクス指標に“仕掛け” GDP算出方法変更、不都合な試算拒む 2019/12/29(西日本新聞)
安倍晋三首相は「経済最優先」を掲げることで底堅い支持を集めてきた。政権が発足した2012年12月からの景気回復は「戦後最長に及んだ可能性が高い」(内閣府)とされ、国内総生産(GDP)の伸びもその「成果」に数えられる。ただ、アピールに使われる数字の裏側に目を凝らせば、数字を大きく見せる“仕掛け”も見え隠れする。アベノミクスの成果は本物なのか-。
「名目GDPが1割以上成長し、過去最高となった」。首相はアベノミクスの成果をこう強調する。
経済の成長や景気を表すGDP。首相は15年、景気実感に近いとされる名目値を20年ごろに600兆円に引き上げる目標を掲げ、達成可能と明言した。
15年度当時の名目GDPは500兆円程度にとどまっていたが、その後に数値が急伸。直近の19年7~9月期は559兆円に達している。
ただ、この伸びは額面通りには受け取れない。うち30兆円程度は16年12月に算出方法を変えた影響によるものだからだ。国際基準に合わせたり、基準年を05年から11年に変えたりした結果、企業の研究開発費などが加わって全体を押し上げた。実際、新基準の15年度は532兆円となった。
内閣府はこうした経緯を公表しており「基準変更は国際基準に合わせる目的で、数字を押し上げる意図はない」と説明するが、政府目標は「600兆円」のままだ。実績の“かさ上げ”で目標が達成しやすくなっており、エコノミストからは「目標を上方修正すべきだ」といった批判の声も相次ぐ。
(略)
■利益は企業、投資家に
大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略という「三本の矢」を掲げたアベノミクスの手詰まり感が強まっている。日銀による金融緩和は円安・株高の流れを生み出し、企業と投資家には利益をもたらしたが、大半の国民に景気回復の実感は乏しいままだ。
企業業績の改善は鮮明だ。この7年間(2012年度~18年度)で企業の経常利益は約1・7倍になり、内部留保は約159兆円増え、企業の現金・預金も約55兆円増えた。
有効求人倍率は安倍政権が発足した12年12月に0・83倍だったが、19年11月は1・57倍まで改善。安倍晋三首相はこの数字をアベノミクスの成果として誇示するが、日本経済が少子高齢化で生産年齢人口が減り、構造的な人手不足に陥っていることの裏返しとの見方は強い。
当初、首相は企業がもうかれば賃金上昇や雇用や投資の拡大につながり、経済は好循環する「トリクルダウン」という説を唱えたが、肝心の賃金は伸び悩んでいる。企業の稼ぎを人件費に充てた割合を指す「労働分配率」は、約72%から約66%に低下している。
日銀の大規模な金融緩和も2%のインフレ目標達成は遠く、地方銀行の経営悪化など副作用が目立つ。成長戦略もスローガンばかりが先行し、大きな成果は見当たらない。
政府関係者は自嘲気味にこう語る。「アベノミクスの肝は数字をどう見せるか。この繰り返しだ」
(古川幸太郎)
~~引用ここまで~~
安倍晋三政権の発足時と現在の主な経済指標(西日本新聞(画像をダウンロードできないから))
西日本新聞がアベノミクスの化けの皮を剥いだ記事を書いた。
GDPの成長は算出方法を変えたからで、見せ掛けでしかない。30兆円は嵩上げなのだ。そうすると年率1%も成長していないことになる。
実際に消費税増税で景気は落ち込んだのだ。それを認められない財務省とその意を受けた景気動向指数研究会が「景気は拡大している」と虚偽を報じた。
以前のGDPの算出方法を適用すると橋本龍太郎が消費税増税と緊縮財政で日本経済を急落させた21年前に及ばないという。21年間ゼロ成長なのである。信じられるだろうか。
大企業と株主は法人税減税と労働分配率の減少で我が世の春だが、国民に景気回復の実感はない。
実際に実質賃金と実質消費は安倍晋三の7年間でもっとも下がっているのだ。西日本新聞の画像を見れば一発で分かるが、
実質賃金(指数)は88.9から83.9まで下がっているし、
実質消費(指数)は104.1から95.1まで下がっている。
国民生活は苦しくなる一方だと分かるだろう。
民主党政権の後でなければ安倍晋三内閣は何度吹き飛んだか知れない。民主党政権への失望が大きすぎたので表面を取り繕えば「民主党よりマシ」ということで支持されてしまうのだ。
安倍晋三がことあるごとに誇る有効求人倍率の改善も少子高齢化の結果人手不足に陥ったのであって安倍晋三の経済政策の成果ではない。
株価もそうだ。円安だからドルベースで少し上がったというのがまずひとつ。何より株価を上げた理由は日銀と年金で日本株を買い支えているからだ。
この禁じ手に手を染めてしまった以上もう戻れない。止めれば株価が暴落するからだ。
これがアベノミクスの実態なのだ。消費税増税と緊縮財政により経済は成長せず、国民から富を吸い上げて大企業と株主に分配した。
本来なら国民は安倍晋三を拒絶している。しかし民主党政権の後なので、表面を取り繕えば「民主党よりマシ」と消極的支持を与えてしまうのだ。
実際に野党第一党の立憲民主党は安倍晋三の「緊縮財政」を「バラマキ」と批判しているくらいだ。「狂気」としか言えないがそれが現実である。立憲民主党が政権を握ればさらに歳出が減り国民生活は苦しくなるだろう。
消費税減税(廃止)と国債発行による歳出拡大を掲げているのは山本太郎率いるれいわ新選組だけだ。
れいわ新選組を支持するかはまた別の話かもしれない。しかしそれ以外GDPを成長させ、国民所得と国民消費を増やす方策はない。
(参考サイト)
アベノミクスの肝は数字をどう見せるか 2020-01-07(三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」)
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