ムルマンスク便り

-夏の完全白夜、冬のオーロラ- ロシア連邦北西部にあり北極圏最大都市ムルマンスク市(ムールマンスク)の現地情報をお届け。

ムルマンスク市内の様子(1)

2022-03-15 16:10:52 | ムルマンスク市・街の表情
さて本ブログのメインである、ムルマンスクの様子をお知らせします。

街中は今のところ、落ち着いています。
銀行もパニックなど見られません。

ですが市中心にあるピャーチウグロフ広場には、警察が常時監視中です。
この写真は3月14日に撮影しましたが、明るいときで5~6名、夜間で2~3名の警官が待機しています。
2週間前、ここで小規模ながら反戦デモがあり、逮捕者もでたそうです。
  


メインストリートにある電飾は、侵攻前まではオーロラを模したり寅の顔を模したりしたイルミネーションで大変美しかったです。
しかし現在はご覧のとおり、ロシア国旗とゲオルギーエフスカヤのリボン(第二次世界大戦でロシアの戦勝シンボル)を表示したイルミネーションになっています。2旗の間はVictoryの頭文字を模したV字を象っています。



13日(日)に、市内にあるデパート「MurmanskMall」へ行って来ました。
H&Mなどは閉店。コロンビアとアディダスはこのときは営業中でした。アディダスといえば、ロシアではソ連崩壊時から人気がある、絶対的ブランド。当時アディダス商品が買えない低所得層の人は普通のズボンの脇に、「アディダスライン」を縫い付けてましたね・・・。
    


その「MurmanskMall」4階にはフードコートがあります。先週、新型コロナウィルス感染による使用制限が解除され、フードコートでの飲食ができるようになりました。3月14日からロシアの全店舗が業務停止になるので、最終日である13日は最後のマックを食べようと店内は大混雑になりました。



その「MurmanskMall」1階には大型スーパーマーケット「オケィ」があります。
中に入りましたが、日曜日ということもあり、店内は混雑していました。
商品は大体20~30%値上がりしています。
店内を見回すと、次のような見慣れない「ご案内」が掲示されていました。
左の写真には「商品割引とボーナス制度に関する技術的問題があり、対応している。」と書いてあります。
右の写真には「商品入荷待ち」と書いてありますが、商品は棚にあり、値段の方は隠されています。
 


ほかに市内の中型スーパーマーケット「ピチョーロチカ」にも行きましたが、共通して言えるのは、白砂糖が全くなかったことです。棚にはブラウンシュガーなどの割高の砂糖が少し残っているだけ。いつもなら山のようにある1kgパックの白砂糖がありません。その代わり小麦粉はたくさんありました。



最後に集合住宅の外扉に見られる、「裏ゼット」。
ロシアでは「За мир, за Россию, за президента(平和のために、祖国のために、大統領のために)」というスローガンを象ったゼット文字が、まるで卍のように蔓延っています。ロシアの文字「З」は英文字に当てはめると「Z」です。
それを裏返した「裏ゼット」が、何箇所かで見られます。裏返す、つまり、反対を意味しているのでしょうか?
「え~、これ広告貼付のときに残った糊のあとだよぉ」なんていう方もいますが、真実は如何に?
  

ムルマンスク州の植物(2)

2021-07-22 20:20:04 | ムルマンスク市・街の表情
夏至が過ぎました。
ムルマンスクでは明るい夜がまだ続いています。
TOPの写真は、真夜中のムルマンスク市中心街。

7月上旬には、気温が+30℃にもなり、北極圏とは思えないほど暑い日々が続きました。
暑い快晴が何日か続くと、滝のようなにわか雨が降り、雨が上がると虹が見えます。
下の写真は、真夜中に現れた虹です。


今は+10~+20℃台。時折涼しい風が吹いたり冷たい雨が降ります。

タンポポの季節は終わり、今は次のような植物が繁生しています。

ライラック(Сирень)
白や桃色、紫色などの花房が美しく、芳香漂う木です。


リューチク(Лютик ползучий)
キンポウゲ属の黄色い花で、花は直径1cm、葉は菊に似ている丈の低い草です。
雌しべが黄緑色のものや、花弁に艶があるものもあります。


ロマーシュカ・パフーチャヤ(Ромашка пахучая)
「愛してる愛してない占い」で花弁を全部むしってしまったのか、悪がきが花弁を全部むしってしまったのか・・・ではなく、この花はもともと花弁がありません。強いて言えば、見えている球形の部分が全部花弁を含む花なのです。丈は10cm前後で、訳すと「香りがあるカモミール」。実際球形部を潰すと、青りんごみたいな淡い香りがします。


トゥイシャチャ・リースニク(Тысячалистник)
「1000の葉」という意味を持つ草。葉がシダ植物のそれのようで、また花は白く花房状になり、一輪が直径5mmくらい大きさです。ブーケのカスミ草代わりに入れても綺麗です。


イワン・チャイ(Иван-чай)
日本名はヤナギランですが、ロシア名は名前からして「イワンさんのお茶」なのか「イワンさんにお茶」なのか「おいイワン、お茶くれ」なのか。奇妙な名前ですが、イワンは柳(イーヴァ)のこと。この草は。また蜜蜂がこの花から作る蜂蜜は「キプレイ(Кипрей)」といわれ風味共にとても上品で、菩提樹の花から作られる「リーパヴォイ(Липовой)」と並んで、人気の蜂蜜です。また若い葉や茎の部分にセルロースの他に、レクチン、ビタミンC(レモンの5~6倍)、糖分、有機酸、ペクチン、フラボノイド、アルカロイドなどの栄養成分と、微量のミネラル(鉄分、銅、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ホウ素など)が含まれています。草先端部にはタンパク質、リン、カルシウム、コバルト塩、カリウム、カルシウム、リチウムなどが含まれています。干した草を煎じて飲むと、鎮静効果があり、また抗炎症や傷の治癒にも使われるそうです(出展:wikipedia)。


ボルシェビク(Борщевик)
ハナウド属の繁殖力の強い草です。茎から分泌される汁には光毒性があるため、付着したらやや遅れて強い皮膚炎を引き起こします。すぐに石鹸で洗い落とし、2日間は日光に患部をさらさないように。また遺伝子毒性もあるので、服用厳禁。


ななかまど(Рябина)
ロシアではリビナといわれる、高木です。夏先に白くて香りがちょっとファンキーな花房が現れます。秋になるとそれが赤い実になり、葉も赤く染まります。「ロシアの紅葉」といってもいいですね。


シロツメグサ(Клевер)
日本にもあるクローバーの草花です。


白樺(Берёза)
北国ではお馴染みの、幹が白い高木。葉がまだ青い間に小枝を切り束ねて干したものは、ロシア式サウナに入浴中にこれで軽く叩いて香りを楽しむと共に血行促進をします。幹はカットして民芸品の材料に使われたりします。秋になると木の根元に稀に茶色い傘の大きなキノコが現れますが、これはポドベリョーザビクと呼ばれ食用されます。


オシナ(Осина)
ポプラ科の高木で秋には黄色い葉になります。葉肉はやや厚く、葉脈作りや漂白したりして加工もできます。秋になると木の根元に稀に茶色い傘の大きなキノコが現れますが、これはパダシーノビクと呼ばれ食用されます。



ムルマンスクの子供達はー21℃でも通学

2021-01-12 12:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
読者の皆様、寒中お見舞い申し上げます。
昨年はパンデミックで本当に酷い年でした。
今年もまだ続いていますが、少しでもいい年になりますように。

さて北極圏最大都市ムルマンスク市は、昨日1月11日に初日の出を迎えました。日照時間ほぼ30分と短かったですが、ほぼ1ヶ月ぶりのご来光に市民は皆歓喜に満ち溢れています。
昨日を境に明るい時が少しずつ増えていくのが実感できます。昨朝8時は真っ暗だったのに、今朝8時はちょびっと明るい♪
それからその初日の出を迎えた昨日の夜9時半頃、エメラルド色に明るく舞うオーロラが観望できました。仕事帰りだったので、時間に終われることなく堪能できました。
(オーロラ出現報告は、後日。)

太陽がちょびちょび顔を出してきていますが、今週から週末にかけて寒波が入ってきており、また風もあるため、体感温度的にかなり低く感じられます。昼-15℃ぐらいですが、夜-20℃ぐらいになります。
それでも大人達は仕事に行かなければなりませんが、まだ体温調節が完全でない子供達はどうするの?という疑問があると思います。

参考ですが以下の表は、ムルマンスク州で定められた「冬期の学童登校の目安」です。日本では6・3・3の12年間ですが、ロシアでは11年間です。学校はスクールバスを出しません。子供達は基本、徒歩か公共交通機関で通って来ます。-21℃から定められており、風の強弱で体感温度も変わってくるため、以下のように決められています。-32より下回ったら、勿論休校です。
登校の最終判断は、地元のラジオで朝7時に発表されます。
休校の場合の授業は、各担当教員がSNSにある各クラスの保護者ページに対応を知らせます。
宿題が大量に出た場合、小さい学童を持ち昼間働いている親御さんは、宿題の面倒を見るのが大変です。さらに多子家庭だと、想像を絶します。


またロシアにはいくつか学習ポータルサイトが存在しますが、その中でも35000の学校、およそ8百万人の学童がアカウントを有する「UCHI.RU」というポータルサイトが優勢を極めています。ゲーム感覚で学習ができ、学校の教員も学童と交流でき、宿題が出せる便利なツールです(以前はzoomみたいなビデオツールもあったようですが、今は使われていません)。
これを多用する教員も沢山いらっしゃいますが、それでも多子家庭でPCの台数が限られているところだと、宿題処理はやはり過酷です。

願わくは、遠隔学習を余儀なくされる状況から一刻も早く解放されることを。

そうそう、他の話題も。
今年から市内にある清掃局の煙突の壁面を利用した巨大寒暖計が登場しました。
市内アフトバス&トロリーバス料金が上がりました。市内共通、1回乗車で34ルーブルです。

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極夜のシーズン到来

2020-12-03 02:30:00 | ムルマンスク市・街の表情

極夜のシーズンですね。
極夜とは、一日中太陽が水平線から現れない、北極圏ならではの自然現象です。
ムルマンスク州では、緯度の違いにより極夜開始/終了日がこれだけ異なります(カッコ内は極夜日数)。


▲極夜の空の明るさ(イメージ)


11月26日~01月16日(52日) Вайда-Губа(ヴァイダ・グバ町), полуостров Рыбачий(ルィバチィ半島).
11月28日~01月14日(48日) Печенга(ペチェンガ町).
11月29日~01月13日(46日) Заполярный(ザポリャールヌィ市), Никель(ニーケリ町), Заозёрск(ザアジョールスク市), Видяево(ヴィチャエヴォ町).
11月30日~01月12日(44日) Ура-Губа(ウラ・グバ村), Гаджиево(ガジーエヴォ市), Полярный(ポリャールヌイ市), Снежногорск(スネジュノゴルスク市), Териберка(テリベルカ村).
12月01日~01月11日(42日) Полярный(セヴェロモルスク市).
12月01日~01月10日(41日) Мурманск(ムルマンスク市).
12月02日~01月10日(39日) Мурмаши(ムルマシー町), Кильдинстрой(キルディンストロイ町).
12月03日~01月09日(38日) Шонгуй(ショングイ町), Магнетиты(マグネチトィ駅).
12月04日~01月08日(36日) Лопарская(ロパルスカヤ駅), Верхнетуломский(ベルフネトゥロムスキー町).
12月08日~01月04日(28日) Оленегорск(オレネゴルスク市).
12月08日~01月03日(27日) Островной(オストロヴノィ市).
12月09日~01月03日(26日) Ловозеро(ロヴォゼロ村).
12月10日~01月02日(24日) Мончегорск(モンチェゴルスク市), Ревда(レヴダ町).
12月14日~12月28日(15日) Кировск(キロフスク市).
12月15日~12月27日(13日) Апатиты(アパチートゥイ市), Ковдор(コヴドール市).
12月20日~12月22日(03日) Зашеек(ザシェーク町).

州都ムルマンスク市では初日の出にあたる日(2021年年だと1月10日)、市内にある一番高い山の麓まで日出時刻に合わせて臨時シャトルバスが運行します。
今年も運行されるかな?込み合うことが予想されるので、コロナ対策は万全にしないと、ですね。

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ムルマンスクの近況

2020-07-03 03:03:30 | ムルマンスク市・街の表情
今年は新型コロナで、世界中散々ですね。

ロシアではヤクーツク地方で38度を記録したり、モスクワ・ペテルブルグなどで大雨洪水などで異常気象を感じさせます。

ところでムルマンスクは、冷夏です。13度前後で、道行く人は薄手コートを着ています。
マスクをしてる人は半々ですが、店内車両内はマスク着用が義務付けられていて、なければ追い出されます。

そうそう、6月21日に夏至を迎えました。夏至の日前後のムルマンスクって、1日じゅう太陽が上がったままで、地平線をぐるつと廻るんですよ。
真夜中の太陽って、ご覧になったことがありますか?
真夜中なのに夕闇のような赤く弱い陽が町中を包み、車や人通りがなくまるでゴーストタウン。
これが人里離れた自然の中だと、もちろん生活音や物音が聞こえて来ず、その代わり風がなければ「キィ・・・・・・ン」のような形容し難い音が微かに響いているのを感じます。
いずれも不思議な光景です。


**********

ロシアでは5月9日が大祖国防衛戦争戦勝記念日で毎年各地で戦勝大パレードが開かれますが、これが6月24日に延期。
1ヶ月以上経ってもコロナの衰えは見えませんでしたが、この国は保健安全より国威発揚が大事なようで、観客なしのオンラインパレードを敢行しました。


そして7月1日は「ロシア連邦法改正のための国民投票」がありました。
年金需給年齢引き上げ、クリミア関連による西側諸国からの経済制裁、封建保守主義などなどの諸問題により、私の周囲を見渡す限り反対派ばかりなので、改正成立しないんじゃないかなと思っていました。
ところが開票後ニュースでは「総投票率60%で、賛成が78%」と知らされ、予想とあまりに違うのでビックリしています。
でも周囲はそうでもなく、こんなことを。
「ね、変でしょ?(国民投票は単なる儀式で)開票なんてしてないのよ。で、もう(投票数結果を記した)プロトコルはできてるのよ。」
※プロトコル=決議書のこと



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不労働の日 解除されたけど

2020-05-14 00:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
ムルマンスク市中心の様子をwebcameraで公開中。
http://youwebcams.org/online/murmansk/ploshhad-pyat-uglov/

5月12日にプーチン大統領により不労働日が解除されましたが、ムルマンスクではマスク着用義務を導入しました。
モスクワでは相変わらず感染者数の増え方異常だし。

それまでは余程のことがない限り、自宅で自主隔離しなければなりませんでした。
どうしても外出するなら、以下の必要な説明書を書いて持参しなければなりませんでした。
支障なく仕事するための説明書(№3) 
ボランティア活動するための説明書(№4) 
必要最低限の買い物外出などを近場でするため説明書(№5) 
これがないと、警察の取締りを受けることになります。実際、こんなケースが市内でありました。

「夫妻子3人で車で少し遠くにある大型スーパーマーケットに買い物をしに行く途中、警察に止められ、自主隔離の規則に違反したため罰金8000ルーブルが科された。」

おそロシアですね・・・

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コロナ禍中の学校教育事情

2020-05-13 18:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
ロシアの学校は1学年4学期制で、9月1日から始まり、翌年5月末頃に終わります。
第3学期終了は3月末頃ですが、新型コロナウイルスのパンデミックにより1週間早く3月17日から4月5日まで休校措置を採りました。しかしその間も状況が芳しくならないので、4月6日から正式に遠隔学習体制を採りました。

遠隔学習とは、自宅で取り組むうシステム。スライド式に作られた授業内容を見て、スライド最後にある課題を各自解いて、担当教師に送ります。時々ビデオにして送ったり、Zoomなどの通信プログラムでオンライン授業を行うこともあります。

最良手段と謳われているZOOMですが、通信状態が安定してない家庭もあれば、通信手段が元々ない家庭もありで、スムーズではありません。ロシアは遠隔教育プログラムReshを起動させましたが、重たくロードに時間がかかり、またレジストレーションにもバグありで、保護者生徒から大不評。

学校側も急な対応に混乱していました。
https://www.tv21.ru/news/2020/04/07/shkoly-murmanskoy-oblasti-pereshli-na-distancionnoe-obuchenie

いつもは学校で先生がやってくれてたことを、家庭でしなければなりません。しかも遠隔学習導入当初は、宿題もありました。ロシア語、読書、算数、理科社会、音楽、図工、体育、英語。子供が低学年の場合はまだ自主学習に慣れていません。保護者が付きっ切りで勉強を見なければなりません。家族がすべている家庭ならなんとか分担できますが、ワンオペ家庭などは本当で大変です。
また子だくさん家庭も、オンライン授業をやるのにPCは家庭に1台だけ、授業はそれでも朝からあったりしてスケジュールがバッティング。悲鳴を上げていました。

更に、春には恒例のキャンペーン「宇宙飛行士の日(4月12日)」「戦勝記念日(5月9日)」に向けた活動も積極的に行われました。
ある子は詩の朗読をビデオに撮ったり、別の子はプロパガンダ絵を描いたり・・・・。

5月15日には全学期が終わるので、どこの家庭も目が回ってますがラストスパートでタッグ組んで頑張っています。

新型コロナウイルスホットスポット ベロカメンカの様子(続報)

2020-05-13 00:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
ベロカメンカは、コラ半島北部にある小さな村で、ムルマンスク市から12~13kim離れています。
そこはプーチン大統領の肝入り開発プロジェクト「北極海航路」のためのプラント建設が進められていました。
しかし4月上旬にその地にガソリン運搬トレーラーを運転して来た運転手が新型コロナウイルス感染者だったため、プラント建設作業に動員されている作業員が、ほぼ100人単位で次々に感染するという惨事に見舞われました。

当初は現地に(まるで野戦病院のような)テント張りの臨時診療所が登場、ケアに当たっていました。

その後その作業員を隔離するための寮の建設作業が急ピッチで進められました。
4月30日に第1棟、5月6に第2棟。寮内はすべて消毒され、作業員らはそこに一時的に居住しています。
このため、この日を境に増加が緩くなり、ロシア国内では1日の感染者数TOP5から外れました。

5月上旬に数百人の作業員が、交通費会社全負担で現地からそれぞれの居住地に戻りました。
https://www.tv21.ru/news/2020/05/07/204-vakhtovika-pokinuli-stroitelnyy-obekt-v-belokamenke

そして5月12日には一時的に病院船となる客船「プリンセス・アナスタシア号」がベロカメンカに着岸、繋留されました。
https://www.tv21.ru/news/2020/05/12/kruiznyy-layner-princessa-anastasiya-prishvartovalsya-v-belokamenke

感染した作業員らはそこで集中的に治療を受けます。感染した作業員皆さんが一刻も早く快方に向かいますように。

▼ベロカメンカにおける新型コロナ感染者数(累計)。ムルマンスク州新型コロナ対策室データより
4月10日(23:00) 26(+0)
4月11日(23:00) 26(+0)
4月12日(22:00) 79(+53)
4月13日(23:00) 131(+52)
4月14日(23:30) 206(+103)
4月15日(23:30) 206(+0)
4月16日(23:30) 229(+23)
4月17日(23:00) 231(+2)
4月18日(23:30) 258(+27)
4月19日(23:00) 290(+32)
4月20日(22:00) 317(+27)
4月21日(23:30) 367(+50)
4月22日(23:30) 451(+84)
4月23日(23:00) 494(+43)
4月24日(23:30) 686(+192)
4月25日(23:00) 791(+105)
4月26日(22:00) 807(+16)
4月27日(23:00) 867(+60)
4月28日(23:30) 922(+55)
4月29日(23:00) 1002(+80)
4月29日(23:00) 1079(+77)
5月1日(23:30) 1210(+131)
5月3日(10:00) 1429(+219)
5月4日(10:00) 1680(+251)
5月5日(10:00) 1801(+121)
5月6日(10:30) 1937(+136)
5月7日(10:30) 1964(+27)
5月8日(10:30) 1994(+30)
5月9日(10:30) 2003(+9)
5月10日(10:30) 2008(+5)
5月11日(10:30) 2045(+37)
5月12日(10:30) 2050(+5)

第75回大祖国戦争戦勝記念日

2020-05-12 06:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
5月9日。ロシアでは大祖国戦争戦勝記念日が祝われます。

いつもは朝9時頃から軍人パレードが行われ、陸軍海軍空軍がそれぞれの装備を披露しながら街中を行進し、市内は見物客で賑わいますが、2020年の今年はコロナ禍が影響して、規模が縮小されました。



市のあちこちには戦勝記念オブジェクトがきれいに飾られていましたが、街中のパレードはありませんでした。

空軍による航空パレードはありました。天候が悪かったため、他州よりも少し遅れて開始。
https://www.tv21.ru/news/2020/05/09/v-murmanske-proshel-vozdushnyy-parad

州立キーロフ文化宮殿のイニシアチブで進められたプロジェクト「中庭で歌おう」。19時から各地でこんなユニークな催しが。
https://www.tv21.ru/news/2020/05/09/murmanchane-speli-den-pobedy-iz-okon-i-s-balkonov

でも夜には綺麗な勝利の花火が打ち上げられました。
https://www.tv21.ru/news/2020/05/09/v-murmanske-progremel-salyut-v-chest-dnya-pobedy

シェレメチェヴォ→ムルマンスクSU1492便落雷火災事故

2019-05-07 00:10:58 | ムルマンスク市・街の表情
  5月5日夕方、モスクワのシェレメチェヴォ空港からムルマンスク空港に向けて離陸したスホイスーパージェット100機SU1492便が事故に遭い、乗員乗客78名中41名の方が死亡するという大惨事が発生しました。


  雷雨がある中離陸を決行。離陸直後に落雷に遭い、通信機関に支障をきたし、シェレメチェヴォ空港に戻った際、地面に数回バウンドして機体後部から出火、火は瞬く間に燃え広がり、消火した頃には後部全体が焼け爛れて骨組のみが残っていました。


  事故で乗員乗客78名のうち、41名が死亡。37名が生き残りましたが、このうち10名は重篤で入院中です。78名のうち27名がムルマンスク州民でした。


  機内は阿鼻叫喚の大パニック。出入口近くの席だったのにどういうわけか機体後部に逃げて戻れなくなった女性。次々と倒れていく乗客の後衿を掴んで最後の客まで降ろし殉職したキャビンアテンダント。燃え盛る炎を映してキャビンが赤くなっている様子をスマホで撮影する者・・・。被害者の中には2名の幼い子供もいました。


  機体前部から脱出シートが出され順々に滑り降りたものの、一部の乗客が上部ロッカーにある自分の手荷物を取り出していたために多くの方が逃げ遅れ、帰らぬ人となりました。


  この事故を受けてムルマンスク州は3日間の喪に服します。この間に開催予定だった催事はキャンセルになりました。5月6日はムルマンスク市が英雄都市に指定された日ですが、祝賀行事は取りやめに。市中心に設置されている大型スクリーンには、追悼を表す蝋燭の灯火のビデオが常時映し出されています。また5月9日の戦勝記念日に予定していた航空パレードも取りやめられる予定です。


  事故の翌日5月6日の夜8時から、市中心にあるモニュメントで追悼ミーティングが行われました。8時ちょうどに、側道を通行中の車の行列から数分に渡る警笛が鳴らされ、モニュメントに集う者一同黙祷を捧げました。悲しみに包まれる中、多くの方が訪れ手に花やろうそく、ぬいぐるみを持参し、献花台となっているモニュメントの柵に置いて行きました。


  筆者はこの便に搭乗しておらず、また被害者の中に直接の知り合いはいませんでしたが、筆者もカーネーション4本置いて、哀悼の意を捧げました。速やかな原因究明と事故再発防止を、州民と共に強く願います。合掌。