コロナ禍で籠城を重ねています。テレビ漬け、読書漬け(村の図書館は閉鎖です)。
イギリスのウエールス生まれの日本人、C・W・ニコルさんが4月3日に亡くなりました。
C.W.ニコルのことをはじめて知ったのは・・・
C.W.ニコル著・村上博基訳 小説「勇魚 (いさな)」(文藝春秋 1987年刊)・・・を読んで・・・
あらためて読んでみました。
江戸時代の後期、和歌山県東牟婁郡太地村の太地湾の突端・・・燈明崎の物見台。遠見爺と太地村の鯨捕りの刃刺(はさし)達大夫の三男三郎、そこに現れた紀州藩徳川斉順の家臣松平定頼・・・太地湾の沖にはアメリカの巨大な捕鯨船、太地の鯨捕りによる伝統的な鯨捕りが目の前で繰り広げられます。
紀州藩士松平定頼・・・架空の人物、設定では寛政の改革で有名な徳川幕府大老、白河藩主松平定信の孫、紀州藩主徳川斉順の指示により紀州藩の海岸線の外国船の動向を調査しています。彦根藩主、幕府大老井伊直弼の知遇を得る。藩主徳川斉順死後は浪人、井伊大老の密偵のような役目も。井伊直弼暗殺後は薩摩藩士に、物語の進行では定頼の盟友薩摩藩士伊藤広貞(架空の人物)が常に寄り添います。迫りくる欧米諸国の開国要求にどう立ち向かえばよいのか・・・考え行動する志士です。
太地村の刃刺達大夫の長男甚助、屈強な若者で父の跡を継ぎ刃刺になる身でありながら、鯨捕りのときに大鮫と格闘して片腕を捥ぎ取られます(刃刺・・・鯨を仕留めるとき最後に止めを刺す役職、襲名制)。
物語りは・・・この二人を縦の糸、横の糸、絡み合わせながら進行します。
「勇魚」・・・古語で「鯨」のことだそうです。
歴史上に名前を知られる登場人物は・・・彦根藩主、徳川幕府大老井伊直弼、長州藩士吉田松陰、信州松代藩士佐久間象山、元漁師、土佐藩士分中浜万次郎、徳川幕府幕臣勝海舟、土佐浪人坂本龍馬、薩摩藩士西郷隆盛などが出てきます。
中浜万次郎には甚助との会話でアメリカの太平洋における捕鯨船の様子を語らせます。アメリカの捕鯨は灯火用に使う鯨の油採取だけの捕鯨、他は海に捨ててしまう捕鯨、製油産業です。日本の鯨一頭余すところなく使ってしまうという捕鯨との比較をします。日本の捕鯨では鯨1頭で7ヶ村が潤ったそうです。
隻腕となった甚助は・・・松平定頼の手引きで諸外国の軍事情報を報告する役目をもって。五島列島から琉球へ、そこで空手を習い、英語と中国語を習い、伊藤広貞の手配で上海へ、アイリーン号という揚子江を上下して商売する小さな外輪蒸気船のアイルランド系アメリカ人の船長フォガティーの下に、ジム・スカイと呼ばれ、これからの活躍がスゴイ。揚子江の海賊に襲われたアイリーン号上で大暴れ。やがてアメリカに渡り、捕鯨船の船長になり日本近海にも現れ。、秘かに太地村の父や兄弟に会い、横浜で商社を営む上海のフォガティー船長の子ライアル、スーザン(のちに結婚)とも再会、居留地のライアル邸を襲った長州藩士相手に血闘。
吉田松陰の密航失敗、日米和親条約、井伊直弼の暗殺、外国商人の鉄砲販売、龍馬暗殺、鳥羽伏見の戦い、大政奉還、薩英戦争、下関戦争。
明治維新、時代が激しく変わり、攘夷を唱えていた勢力は開国に・・・松平定頼、伊藤広貞は官位、名誉を捨てて西郷隆盛の西南戦争に殉じます。
ジム・スカイこと甚助(銛という姓を持つ)はスーザンとともにカナダに・・・
★ウエールス人が英語で書いた日本を舞台にした翻訳小説です。でも日本人以上にチャンバラシ-ンも迫力があるし・・・
★上下それぞれ350㌻余の大河小説です。日本の幕末、欧米からの外圧、それににどう対応するか、志ある者たちのものがたり。
★できるだけわかりやすいようにあらすじを追いたいのですが、あまり細かすぎてもネタバレになってしまうし…、でも小説を読まなくてもあらすじで読んだようななればいいと思うし。
Sir Clive William Nicol 1940年英国ウエールズ生まれ。母方の祖先はケルト化したノルマン系。父はイングランド人の軍人、太平洋戦争に従軍、シンガポールで日本軍により処刑、母の再婚相手の義父はノルマン系スコットランド人。少年時代はイジメ、教師の体罰、イングランドではウエールズ訛りを笑われる。母方の祖父が自然人でいろいろなことを教わり中学時代の生物学教師にいろいろなことを教わります。この教師の影響で自然環境保護の世界に進んでいきます。カナダで北米北極協会、漁業調査局海洋哺乳類研究所技師、エチオピア国立公園狩猟管理人、日本で日本語、空手、大学で水産学、カナダに戻りカナダ環境保護局技官、沖縄海洋博カナダ館副館長(1975~1976年)、再び日本に戻り和歌山県太地で1年間、鯨の伝統漁法などを研究。そのころより日本を拠点とするようになり詩人谷川雁の紹介で長野県信濃町黒姫山麓を棲家に。日本の捕鯨擁護派、知床の国有林、屋久島の国有林伐採に声をあげた環境保護活動家。冒険家、ネイチャリスト。1995年日本国籍に。日本名ニコル・シーダブリュー。
イギリスのウエールス生まれの日本人、C・W・ニコルさんが4月3日に亡くなりました。
C.W.ニコルのことをはじめて知ったのは・・・
C.W.ニコル著・村上博基訳 小説「勇魚 (いさな)」(文藝春秋 1987年刊)・・・を読んで・・・
あらためて読んでみました。
江戸時代の後期、和歌山県東牟婁郡太地村の太地湾の突端・・・燈明崎の物見台。遠見爺と太地村の鯨捕りの刃刺(はさし)達大夫の三男三郎、そこに現れた紀州藩徳川斉順の家臣松平定頼・・・太地湾の沖にはアメリカの巨大な捕鯨船、太地の鯨捕りによる伝統的な鯨捕りが目の前で繰り広げられます。
紀州藩士松平定頼・・・架空の人物、設定では寛政の改革で有名な徳川幕府大老、白河藩主松平定信の孫、紀州藩主徳川斉順の指示により紀州藩の海岸線の外国船の動向を調査しています。彦根藩主、幕府大老井伊直弼の知遇を得る。藩主徳川斉順死後は浪人、井伊大老の密偵のような役目も。井伊直弼暗殺後は薩摩藩士に、物語の進行では定頼の盟友薩摩藩士伊藤広貞(架空の人物)が常に寄り添います。迫りくる欧米諸国の開国要求にどう立ち向かえばよいのか・・・考え行動する志士です。
太地村の刃刺達大夫の長男甚助、屈強な若者で父の跡を継ぎ刃刺になる身でありながら、鯨捕りのときに大鮫と格闘して片腕を捥ぎ取られます(刃刺・・・鯨を仕留めるとき最後に止めを刺す役職、襲名制)。
物語りは・・・この二人を縦の糸、横の糸、絡み合わせながら進行します。
「勇魚」・・・古語で「鯨」のことだそうです。
歴史上に名前を知られる登場人物は・・・彦根藩主、徳川幕府大老井伊直弼、長州藩士吉田松陰、信州松代藩士佐久間象山、元漁師、土佐藩士分中浜万次郎、徳川幕府幕臣勝海舟、土佐浪人坂本龍馬、薩摩藩士西郷隆盛などが出てきます。
中浜万次郎には甚助との会話でアメリカの太平洋における捕鯨船の様子を語らせます。アメリカの捕鯨は灯火用に使う鯨の油採取だけの捕鯨、他は海に捨ててしまう捕鯨、製油産業です。日本の鯨一頭余すところなく使ってしまうという捕鯨との比較をします。日本の捕鯨では鯨1頭で7ヶ村が潤ったそうです。
隻腕となった甚助は・・・松平定頼の手引きで諸外国の軍事情報を報告する役目をもって。五島列島から琉球へ、そこで空手を習い、英語と中国語を習い、伊藤広貞の手配で上海へ、アイリーン号という揚子江を上下して商売する小さな外輪蒸気船のアイルランド系アメリカ人の船長フォガティーの下に、ジム・スカイと呼ばれ、これからの活躍がスゴイ。揚子江の海賊に襲われたアイリーン号上で大暴れ。やがてアメリカに渡り、捕鯨船の船長になり日本近海にも現れ。、秘かに太地村の父や兄弟に会い、横浜で商社を営む上海のフォガティー船長の子ライアル、スーザン(のちに結婚)とも再会、居留地のライアル邸を襲った長州藩士相手に血闘。
吉田松陰の密航失敗、日米和親条約、井伊直弼の暗殺、外国商人の鉄砲販売、龍馬暗殺、鳥羽伏見の戦い、大政奉還、薩英戦争、下関戦争。
明治維新、時代が激しく変わり、攘夷を唱えていた勢力は開国に・・・松平定頼、伊藤広貞は官位、名誉を捨てて西郷隆盛の西南戦争に殉じます。
ジム・スカイこと甚助(銛という姓を持つ)はスーザンとともにカナダに・・・
★ウエールス人が英語で書いた日本を舞台にした翻訳小説です。でも日本人以上にチャンバラシ-ンも迫力があるし・・・
★上下それぞれ350㌻余の大河小説です。日本の幕末、欧米からの外圧、それににどう対応するか、志ある者たちのものがたり。
★できるだけわかりやすいようにあらすじを追いたいのですが、あまり細かすぎてもネタバレになってしまうし…、でも小説を読まなくてもあらすじで読んだようななればいいと思うし。
Sir Clive William Nicol 1940年英国ウエールズ生まれ。母方の祖先はケルト化したノルマン系。父はイングランド人の軍人、太平洋戦争に従軍、シンガポールで日本軍により処刑、母の再婚相手の義父はノルマン系スコットランド人。少年時代はイジメ、教師の体罰、イングランドではウエールズ訛りを笑われる。母方の祖父が自然人でいろいろなことを教わり中学時代の生物学教師にいろいろなことを教わります。この教師の影響で自然環境保護の世界に進んでいきます。カナダで北米北極協会、漁業調査局海洋哺乳類研究所技師、エチオピア国立公園狩猟管理人、日本で日本語、空手、大学で水産学、カナダに戻りカナダ環境保護局技官、沖縄海洋博カナダ館副館長(1975~1976年)、再び日本に戻り和歌山県太地で1年間、鯨の伝統漁法などを研究。そのころより日本を拠点とするようになり詩人谷川雁の紹介で長野県信濃町黒姫山麓を棲家に。日本の捕鯨擁護派、知床の国有林、屋久島の国有林伐採に声をあげた環境保護活動家。冒険家、ネイチャリスト。1995年日本国籍に。日本名ニコル・シーダブリュー。
※コメント欄オープン。
・発信人のURL無記入のコメントは削除します。自分の存在、文責をはっきりさせる、日本人の常識であり美徳だと思います。
・当該ブログに関連のないコメントは削除します。>
・発信人のURL無記入のコメントは削除します。自分の存在、文責をはっきりさせる、日本人の常識であり美徳だと思います。
・当該ブログに関連のないコメントは削除します。>
・読書癖 こんな機会に 蘇えり
・図書館は 閉鎖 読む本 どこもなし
もう恋愛小説の歳でもなし、厚い本はだめ、難しい本はダメ。
昔の同窓会誌なんかどうですか。
今度読んだ本は昔読んだ本、内容はほとんど忘れていました。毎晩枕もとで1週間かかりました。
ス~ット2冊を読み終えるなんて凄いな~・・・・。
やるじゃない本を読む気力こりゃ凄い
1ページ読む眠くなるなり (縄)
読んでいても意味が通じない、
小学生のように声を上げて朗読調に読まないとアカンです・・・。