私の問題意識のひとつに、「全体的・発展的・変革の立場」で考えること、「日本の歴史的発展の具体的な流れと日本人の特質とはなにか」というものがあります。
最初は、司馬遼太郎氏の日本人論を何冊か読みましたが、とても、耐えられるものではありませんでした。
加藤周一氏の書籍に出会い、日本人論はじめ多くの大変視野が広がりました。
不破哲三さんは、私の問題意識に真正面から応えてくれている方です。
第一に歴史のなかで読む
「古典を読む場合、マルクス、エンゲルスを歴史のなかで読む」という視点、マルクス・エンゲルス自身の理論的発展と共に、その社会の歴史的背景の中で読むということでしょうか。
第二に、日本社会の具体化として
日本社会の歴史的事実を取り上げて解明していることです。
すでに、不破哲三さんは「エンゲルスの家族私有財産及び国家の起源」の解説本で、かなり全面的な日本歴史を取り上げておられました。
今回の「古典教室」は、随所に日本の歴史と現実と未来の方向を取り上げて、生きた、変革の立場で身に迫る形で読むことができます。
ブラック企業の歴史的背景
「賃金、価格および利潤」(マルクス)は、当時の労働組合運動に対する、賃上げ闘争否定論への反論として、講演されたものですが、マルクスのすごいのは、単なる反論ではなく、そもそも利潤とはなにか、資本主義の仕組み、賃上げ闘争の歴史的役割まで簡潔に解明しているところがすごい。
不破哲三さんは、されに、日本の労働条件がアメリカ占領化での「民主化」と労働運動弾圧の中で、勝ち取るのではなく、与えられたという歴史的条件の中で、世界的にも「ルールなき資本主義」になっていることなど、「ブラック企業」化の背景まで理解できます。
日本共産党の政策が以下に深いところから打ち出されているかが、わかります。
史的唯物論の真価「経済学批判・助言」(マルクス)
日本共産党の政策の根本にあるのは、①世界観(弁証法的唯物論・史的唯物論)②経済学③未来社会論④革命論がありますが、これは、世界観の家の史的唯物論の部分にあたります。
基本は、①社会の土台は人間の経済生活にある(これは、唯物論の立場にたった歴史観)②経済関係の段階的な発展が歴史の時代を区分する。③社会を動かす主役は階級である。といことになります。
そして、「人間の社会的存在がその意識を決定する」ということと、社会革命の時代には「社会革命の決着をつけるのは上部構造での闘争だ」とう、革命論の役割ということになります。
この中で、日本の奴隷制は、ギリシャのようなものではなく「まるごと奴隷制」だったとのべ。また、ギリシャ・ローマ的な奴隷政の以前には「まるごと奴隷制」があり、日本は例外ではなかったこと、典型的な封建制度として、存在したなど、興味深い解明もあります。