離れがたい。
未練たらしく、この温もりの中にいつまでも連綿としていたい。
外の世界は、寒風が吹きすさんでいる。
少し前までは6時、いや6時半までには起き出していた。
今は何時だ?。
うん、7時か、いや時計をよく見ると8時近い。
それでも、離れがたい。
この布団の中の温もり。
いつまでもくるまれていたい。
幼い日、寒い冬の朝、父や母はこう言った。
「子供がお湯で顔を洗うものじゃありません」
「お爺さんになってしまいますよ」
「子供は水道の水で洗いなさい」
そう言われ、流しっぱなしの水道水を顔に浴びせた。
手を切るような冷たさ。
それでも、子供はそうあるべきだと思い、その冷たさに耐えた。
今はとてもそんな元気はない。
もちろん、顔を洗うのも湯を使う。
いったん、布団の中に入るといつまでもそうしていたい。
なんとまあ情けないことであろうか。
年を取るというのは、そういうことなのであろう。
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ようやく起き出せば、テレビのニュースは北陸をはじめ
各地の大雪を報じている。
福岡にも大雪注意報は出たが、我が家の裏庭は芝が隠れたり見えたり。
そんな程度の寒さに布団にしがみつこうとは。
我ながら情けない。
今夜も風呂で温まり、さっさと布団の中に潜り込むとしよう。