旅をしたい。強くそう思う。
1400㌔も走らせ、夫婦で山陰へ、四国へと
4泊5日の車中泊をしたあの頃のように、
見知らぬ地を気ままに訪ねたいと思う。
この忌々しい、ぐずつく体調が恨めしい。
同じ年齢の人より丈夫だと自信のあった体から、
力が抜け、衰えていくのがはっきりと分かるようになった。
つれて心も滅入っていく。
情けない。

いつものように川沿いを歩く。
見れば左岸はきれいに雑草が刈り取られている。
雑草の緑が覆っている右岸だって
1週間前は刈られ同じような状況だった。
それが1週間もすると、こうだ。
よく言われることであるが、
この雑草の「生命力」「たくましさ」。
畏敬の念さえ感じる。
僕にもこんな「生命力」「たくましさ」が欲しい。
1400㌔、4泊5日の車中泊をもう一度取り戻してみせる。
雑草に励まされるかのように、
歩調に力を込め、ピッチを速める。

近くの、稲刈りを終えたばかりの田では、
ハトやカラスがおこぼれに群がっている。
彼らもまた懸命に生きているのだ。