Toshiが行く

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ひと踏ん張り

2023年10月18日 06時00分00秒 | エッセイ


日本の先行きが少々心細い。
国の経済規模や豊かさを表す指標であるGDPは、
米国に次ぎ世界第2位の地位を中国に譲り渡して久しいが、
間もなくドイツにも抜かれ第4位に、
さらにインドにも抜かれるのではないかと言われている。
そうすると第5位に転落することになる。



また日本の平均収入は443万円だが、
これはОECD加盟国38カ国中21位で、
先進国と呼ばれるのにギリギリのところにいる。
しかも韓国にも抜かれ、
「アジアでいちばん年収の高い国」の座を明け渡しているのだ。

なんとも気の重くなる数々のデータであるが、
さらに基礎科学研究力の長期低落が追い打ちをかける。
それを象徴するように、2年連続でノーベル賞受賞を逃した。
日本は2000年以降、20人が受賞しており、
まさに受賞ラッシュだった。
特に08年に4人が受賞して以降は、
21年まで2年連続で受賞を逃したことはなかったのだ。
それが去年も今年も受賞者の名を聞くことはなかった。
実は、数年前から受賞者自身から
「このままでは日本から受賞者が出なくなるのではないか」と
研究開発力の低落を指摘する声が出ていたが、
それが現実化してきていると言えよう。

このため政府は10兆円規模の基金を設け、
世界と競える大学を育てるとの方針を打ち出し、
東北大を初の認定候補とした。
24年度に100億円規模の支援をするという。
こうした策が実り、再びノーベル賞受賞者が続出するかどうか。
期待したいものだ。

           

日本はまったくダメな国になってしまったのか。
ネガティブな話が多い中で、「いや、まだまだ」と思わせることもある。
例えば対外純資産だ。
2022年末時点で日本の企業や個人、それに政府が
海外に持つ資産、つまり対外資産は1338兆2364億円に達する。
対して海外投資家などが日本に持つ資産を示す
対外負債は919兆6079億円で、
対外資産から対外負債を差し引いたものが対外純資産となる。
これが418兆6285億円で過去最高となった。
加えれば、32年連続で世界最大の対外純資産を持つ国なのである。

こんな話を聞くといささか誇らしい気になる。
おまけに海外から多くの観光客がやって来て
口々に「日本はすばらしい国」と言ってくれる。
正すべきところを正していけば、まだまだ日本は捨てたものではない。
子や孫たちに輝かしい未来のある日本を渡したいものだ。


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