4月29日 水曜日 「昭和の日」。まさに雲一つない晴天だ。
ゴールデンウィークがスタートし、例年だと日本中が浮かれ賑わうのだが、
今年は様相がまるで違う。
観光地はどこも、首長さんたちが「今年に限っては来ないでほしい」と懇請する。
市街地からちょっと離れた我が家近辺も人、車ともいつもの休日以上に少ない。
喧騒を忘れたかのように街は静かである。
新型コロナウィルスから自他を守るには、遠出は出来ない。しない。
皆がそんな思いを抱いてのゴールデンウィーク入りだ。
(佐賀県川上峡の鯉のぼりの吹き流し 2019年撮影)
家の中で、あるいはビタミンD補給のため陽を浴びに、ちょっとばかり戸外へ。
10時きっかり家を出て、夫婦でいつものように近くの川べりをウオーキングする。
途中、近くのお宅で青空をバックにした鯉のぼりが……。
だが風がなく、たらりと垂れている。せっかくの光景なのに残念。
その横に立つ幟は金太郎を背中に乗せた大きな鯉の滝登りが勇ましい。
「太陽」と染めた文字は、この家の男の子の名前だろうか。
例年だと、大分県の杖立温泉街の中央を流れる杖立川の上空に
約3500匹もの鯉のぼりが川幅いっぱいに泳いでいるし、佐賀県の川上峡でも
規模はやや小さいが、同じような光景がゴールデンウィークを彩る。
今年はその光景を見ることが出来ない。
杖立川の方は催しそのものが中止になったし、川上峡は佐賀県知事が
県外、特に隣県の福岡からの来訪自粛を呼び掛けており、
残念ながら断念せざるを得ない。
近所の鯉のぼりがわずかな慰みである。
さて、この日は平坦な40分コースでのウオーキングだ。
ただし、これだと5000歩にも届かない。それで例の坂の上り下り10回を加え、
距離の短さを坂の負荷によって補うことにした。
このところ、この川べりでウオーキングやジョギングをする人が増えた。
緊急事態宣言下、家に閉じ込められた人たちが、
せめてもとの思いで、ここにやってくるのであろう。
一応、マスクをして歩くのだが、とは言え続々行き交うというほどの多さではない。
40分の間に見かけた人は10数人だったろう。
遠くに見える若い女性は競歩の選手みたいに腕を振り、速足で歩いている。
他に釣りをする親子1組、それと釣りを楽しむ年配男性がもう1人。
いつも年配の人たちが楽しんでいる川沿いのゲートボール場に打球音はない。
プレーする人の姿を見なくなったのは、4月に入ってからだったか。
代わってゲートボール場の片隅には小ぶりの八重桜がきれいだ。
姿を見ないのは、保護犬・マナちゃんもそうだ。
やはり4月初め頃から見ていない。
マナの遊び場だった砂場では、今は親に連れられ砂遊びをする
小さな子の姿を見るようになった。
また、4、5人の中学生が海水浴場でよくやるように、
標的にした1人を首まで砂ですっぽり埋めて興じている。
坂に来ると、付近にたむろしていたハトが次々に寄ってきた。
先日、年配の男性が何か餌をやっていたのを見かけたが、
それが餌付けになったのだろう、人が通りかかると一斉に寄ってくる。
だがハトには申し訳ないが、餌をやりにきたわけではない。無視する。
寄ってくる──知らぬ顔をする。そんなことを何度か繰り返した。
どうやら、ハトもあきらめたようだ。
すると、対岸目がけて一斉に飛び立っていった。
見ると、餌を撒くおじさんが今日はそちらにいた。
川沿いを点描しながら歩く。ゴールデンウィークはこのように幕を開けた。