Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

How are you?

2020年04月30日 05時38分40秒 | 日記
4月29日 水曜日 「昭和の日」。まさに雲一つない晴天だ。
ゴールデンウィークがスタートし、例年だと日本中が浮かれ賑わうのだが、
今年は様相がまるで違う。
観光地はどこも、首長さんたちが「今年に限っては来ないでほしい」と懇請する。
市街地からちょっと離れた我が家近辺も人、車ともいつもの休日以上に少ない。
喧騒を忘れたかのように街は静かである。

     新型コロナウィルスから自他を守るには、遠出は出来ない。しない。
     皆がそんな思いを抱いてのゴールデンウィーク入りだ。


(佐賀県川上峡の鯉のぼりの吹き流し 2019年撮影)

家の中で、あるいはビタミンD補給のため陽を浴びに、ちょっとばかり戸外へ。
10時きっかり家を出て、夫婦でいつものように近くの川べりをウオーキングする。
途中、近くのお宅で青空をバックにした鯉のぼりが……。
だが風がなく、たらりと垂れている。せっかくの光景なのに残念。
その横に立つ幟は金太郎を背中に乗せた大きな鯉の滝登りが勇ましい。
「太陽」と染めた文字は、この家の男の子の名前だろうか。
例年だと、大分県の杖立温泉街の中央を流れる杖立川の上空に
約3500匹もの鯉のぼりが川幅いっぱいに泳いでいるし、佐賀県の川上峡でも
規模はやや小さいが、同じような光景がゴールデンウィークを彩る。

     今年はその光景を見ることが出来ない。
     杖立川の方は催しそのものが中止になったし、川上峡は佐賀県知事が
     県外、特に隣県の福岡からの来訪自粛を呼び掛けており、
     残念ながら断念せざるを得ない。
     近所の鯉のぼりがわずかな慰みである。

さて、この日は平坦な40分コースでのウオーキングだ。
ただし、これだと5000歩にも届かない。それで例の坂の上り下り10回を加え、
距離の短さを坂の負荷によって補うことにした。
このところ、この川べりでウオーキングやジョギングをする人が増えた。
緊急事態宣言下、家に閉じ込められた人たちが、
せめてもとの思いで、ここにやってくるのであろう。
一応、マスクをして歩くのだが、とは言え続々行き交うというほどの多さではない。
40分の間に見かけた人は10数人だったろう。
遠くに見える若い女性は競歩の選手みたいに腕を振り、速足で歩いている。
他に釣りをする親子1組、それと釣りを楽しむ年配男性がもう1人。
いつも年配の人たちが楽しんでいる川沿いのゲートボール場に打球音はない。
プレーする人の姿を見なくなったのは、4月に入ってからだったか。
代わってゲートボール場の片隅には小ぶりの八重桜がきれいだ。
                 
       姿を見ないのは、保護犬・マナちゃんもそうだ。
       やはり4月初め頃から見ていない。
       マナの遊び場だった砂場では、今は親に連れられ砂遊びをする
       小さな子の姿を見るようになった。
       また、4、5人の中学生が海水浴場でよくやるように、
       標的にした1人を首まで砂ですっぽり埋めて興じている。                 
坂に来ると、付近にたむろしていたハトが次々に寄ってきた。
先日、年配の男性が何か餌をやっていたのを見かけたが、
それが餌付けになったのだろう、人が通りかかると一斉に寄ってくる。
だがハトには申し訳ないが、餌をやりにきたわけではない。無視する。
寄ってくる──知らぬ顔をする。そんなことを何度か繰り返した。
どうやら、ハトもあきらめたようだ。
すると、対岸目がけて一斉に飛び立っていった。
見ると、餌を撒くおじさんが今日はそちらにいた。

     川沿いを点描しながら歩く。ゴールデンウィークはこのように幕を開けた。

友よ

2020年04月29日 05時52分21秒 | エッセイ
            一人暮らしの友人がいる。
      彼は一昨年、奥方に先立たれ、また残念なことに子宝にも
     恵まれなかったため、今は一人で暮らしている後期高齢者である。
     新型コロナウィルス禍の最中。いささか気にかかり電話してみた。

(大分県宇佐市・千財農園のフジ 2017年撮影)

「それで、異常なくやっているのだろうね」
「おかげさまで。まあ、何とか」
「たまには陽を浴びに外に出かけたりしている?」
「なかなかね。生きていくために不可欠な食料の買い出しに出るくらいかな」
「あらら。そりゃ、いかんな」
「それも出来るだけ長居せず、短時間で済ませることにしている。コロナが怖いからな。
外の空気を思う存分吸っているとは、とても言えないだろうね。
そのせいか息苦しくなる時がある」
「特に俺たち年寄りは外出を控えないと危ないだろうからね。
外出自粛要請には素直に従わざるを得ない。
それはそうなのだけど、これは結構きつい」
「そういうことだ。これ、いつまで続くかな。もてるかな。
なんで、こんな年齢まで生きたのだろうと思うことさえある」
「おい、おい。そんなに気弱になるものじゃないよ」
「もともと俺は独り身だから、声を出して話したり、
逆に相手の声を聞いたりといった、そんなことがない世界にいることになる。
まあ、沈黙の世界だな。そこにもってきて、新型コロナウィルスによる外出自粛だろ。
社会から隔離されたように家の中にじっと閉じこもっているわけだよ。
そんな状況の中に長く身を置くと、徐々に心が崩壊していくような……。本当に辛い。
コロナウィルスはそんな人間の、おそらくいちばん痛い部分を攻撃し始めた。
銃で殺し合う戦争より、はるかに厄介な難敵じゃないかと思えてくるね。
コロナをちょっと甘く見ていたかもしれない」
                  
「同感だな。特に俺たち年寄りは、ほとんどが会社を定年退職
しているわけだから、それだけでも社会との関わりが希薄になっている。
そこに加えて家に閉じこめられると、接する相手はますます少なくなるわけだ」
「会話をする、社会と少しでもつながる。それによって、なにがしかの情感も生まれて
くるのだろうが、それがなくなると生きているという実感さえ薄れるな。
人と話をしたり、あるいは少しでも社会につながっているといった、
そんなことが如何に大事なことか、改めて実感させられているよ。
だからね、こうやって電話で話せるのは本当に嬉しいんだ。 
生の声を聞き、こちらも声を出して話すことが出来る。
大げさかもしれないが、ああ生きているんだなという気がするね」
「そうだよな。メールではこうはいかない。特に俺たち爺さんはね」
「だから今日は、本当にありがたい気持ちだな。礼を言うよ」
「こっちだって……。これからも、ちょぃちょい電話するよ」
「頼むよ。もちろん、俺の方からもかけるようにする」
「互いにコロナに負けないようにしよう」
「ああ、そうだな。コロナが終息し、以前みたいに街のちょっと洒落た
喫茶店でコーヒーでも飲みながら、ワイワイやってみたいものだ」

         彼との電話を終えた後、ふと思い出した。
        もう一人、一人暮らしの友人がいた。このとこ
       ろ彼の消息が途絶えている。別状なければよいが……。
              電話してみるか。


錯覚

2020年04月27日 19時49分22秒 | エッセイ
趣味を同じくする知人女性が、奇妙なことを書いてきた。
「私は、自分が消えてしまうという体験をしました。
1時間ほどどこかの次元を彷徨っていたらしい。今いる私は、
この次元の人間ではないのではないか。10年先の未来から来ている
かもしれないし、100年前の過去から来ているかもしれない」
などと書いているものだから、
「きっと時計を見間違ったのでしょう。錯覚、錯覚……」
そう受け流したのだが、「間違いありません」と言うのである。
何とも奇妙な話で、よく理解できないままでいる。    
                         
   いつものように川べりをウオーキング中のことだ。
   後ろに「パタ、パタ」と足音がする。近づきもせず、離れもせず……。
   自分の歩調より1テンポ遅れるから、きっと誰かが後ろにおられるのだろう。
   そう言えば、先ほどすれ違ったサングラスをかけ、
   マスクをした年配の女性はどこだ。消えたのか。
   思わず振り返った。サングラスがこちらを睨むようにして見つめる。
   やはり、この人の足音だったか。安心する。
   ところが、途中道を違えたのにやはり足音が聞こえる。
   身構えるようにジャージのポケットに手が触れる。
   中で携帯電話が歩調に合わせるように「パタ、パタ」と音を立てていた。

春特有の黄砂まじりの雨を浴び、哀れな姿をさらすマイカー。
ガソリンスタンドの洗車機に入り、車の中から前後に行き来する、
その動きをじっと見ていたら、自分が動いているような
感覚となり、ぎょっとなる。ああ、嫌だ嫌だ。
              
   さしもの〝安倍一強政権〟も足元が少々覚束なくなってきたようだ。
   安倍総理の在任日数は歴代総理の最長記録を更新中であり、
   2021年9月末までの任期を全うすると、それは3567日まで伸びる。
   だが、一連の「モリ・カケ」疑惑、「桜を見る会」問題、
   さらに閣僚の相次ぐ不祥事……等々、少なからずダメージを受け、
   これに新型コロナウィルスが追い打ちをかけている。
   最新のNHK世論調査では安倍政権の支持率は39%まで落ち、
   不支持の38%と拮抗している。コロナウィルスに関する施策も
   決して評価が高くない。
   自民党内での求心力も落ちてきたと取りざたされ始めた。

その機に乗じ野党が結集、再び政権を奪還する──こんな思いが一瞬よぎる。
だが、それはまさに〝安倍一強政権〟の揺らぎがもたらす錯覚であろう。
安倍内閣の支持率が30%台まで下がったといっても、
では野党各党の支持率は?と言えば……先のNHKの調査結果でも
立憲民主党4.0%、国民民主党0.5%、日本維新の会1.6%、
共産党2.9%などとなっており、国民の支持がさっぱり高まらない。
これでは「政権奪還」は夢物語に等しい。
ああ、一瞬でも錯覚してしまった。馬鹿、馬鹿しい。


志賀島

2020年04月27日 05時49分22秒 | 日記
4月26日 日曜日 黄砂による薄い薄ーいベールを透かした薄曇り。
この日のウオーキングコースは、博多湾の北部に位置する志賀島にした。
晴天であったら、さらに素晴らしい光景が見れただろうに。いささか残念。
                        
   それでも、新型コロナウィルスによる閉塞感から逃れるように、
   高層マンションがにょきにょき建つアイランドシティを抜け、
   今は営業を休んでいる海の中道公園を横目に車を1時間ほど走らせた。
   「島」と言っても砂州によって道路(これを海の中道と呼んでいる)が
   整備されており陸続きとなっている。
            
1周10㌔ほどの小さな島なのだが、古代日本において
大陸・半島との海上交易の拠点として重要な位置を占めていたらしい。
それを証明するかのように、漢の皇帝から与えられたものとされる金印が
この島から出土している。これには「漢倭奴国王」と刻まれており、
現在は国宝として福岡市博物館に常設展示されている。
           

             島の南東部にある志賀海神社近くの福岡市中心部
             を望む海岸で、久しぶりに潮の香を嗅いだ。


その志賀海神社は綿津見三神を祀り、
全国の綿津見神社の総本山である。


   島北部の玄海灘沿岸のエリアは玄海国定公園に指定されており、国民
   休暇村などがある。目の前の勝馬海岸は、夏場は海水浴客で賑わう。
   この日はやや風が強く波が立っていた。


            国民休暇村には宿泊施設、温泉など
            があるが、コロナにより臨時休業中。
            


軍曹殿

2020年04月26日 05時59分12秒 | 小ネタ
              
軍曹殿はますます“鬼”になっておられる。
「はい、これ」「はい、あれ」と次々に新しい任務を与えられる“新米主夫”二等兵。
勝手が分からず右往左往させられる。

    最前線での40年余に及ぶ戦いを終え、
    「もういいだろう」と一線を退き15年になる。
    それでも最前線で戦う若い兵士を支援するため、
    週3回は後方部隊に配属され、それが今日まで続いている。
    そうなった二等兵をつかまえて軍曹殿は、
    「前線で戦うことはなくなったのだから、
    新たに風呂掃除、ごみ出しの任務を与える」と命じられたのである。
    ここらあたりの任務は、同じような境遇の同輩がたくさんいるようだから、
    さして苦痛でもなければ、不平を言うほどのことでもない。                                                                      
だが、任務は徐々に増えていった。
毎週土曜日には、兵舎の掃除が新たに加わった。
部屋中隅々に掃除機をかけるだけで、拭き掃除ということまでは免れているが、
自分が寝起きし、寛ぐ場所とあれば、掃除には念を入れる。
兵舎の掃除が終わると、今度はこれまで通りの風呂掃除だ。
さらに、たまに兵舎出入口(玄関)や周辺(ベランダ)にデッキブラシをかけたりする。
ここらあたりが、主任務というところか。

    これに最近、配膳係という新たな任務が加わった。
    テーブルに食器を並べ、箸をきちっと揃えて置く。
    軍曹殿は食事の際、ビールを飲まれるからグラスも忘れてはいけない。
    お茶の用意、茶器に茶を入れ、湯を沸かして注ぎ、
    自分の湯飲みを用意するのは二等兵の任務になっている。
    このように新たな任務を次々に命じられるのである。



しかも、このところ軍曹殿のご機嫌があまりよろしくない。
得体の知れない新型コロナウィルス軍とかいうものが攻め込んできており、
我が軍は基地、兵舎にくぎ付け状態にされているのだ。
相手の正体がよく分からないまま、じっと我慢を強いられると、
どうしてもストレスが溜まってくる。それは、この二等兵とて同じだが、
軍曹殿の方がややひどいように見受けられる。
おまけに、軍曹殿は3度、3度の食事を担当されておるから、
余計にそうなのであろう。

    だからなのだと思う。
    命令口調が日増しに厳しくなってきた。
    たとえば、掃除機をかけようとすると、
    「その掃除機、前のごみが入ったままだろう。ちゃんと始末してからにせよ」
    「ここはちゃんとやったのか。まだ、ごみが残っているではないか。
    それでは二度手間になってしまう。何をしているのだ」などと叱責される。
    風呂場に行けば、
    「浴槽だけではだめ。床もしっかり磨け。ついでに鏡、壁、天井も」
    「流し部分のごみはちゃんと処理したか」
    細々とした命令が飛ぶ。
    つい、「では、ご自分でどうぞ」と言いたくなるが、
    そこをぐっと我慢できるのが古参兵だ。
    世間では堪え切れず、軍曹殿に手を上げてとんでもない事態を
    招いていることもあるそうだが……。

当分は我慢するしかあるまい。
コロナ軍が退却してくれれば、軍曹殿の苛立ちも少しは収まるだろう。