毎月第2水曜日は、定例のゴルフ親睦会だ。
集合したのは総勢9人。うち7人が女性で、日ごろ何かにつけ
LINEで語り合う妻の友人、70歳を過ぎたお婆さんたちだ。
そんなご婦人たちが集まればどうなるか。
ご想像通り、僕ともう一人のご主人は彼女たちの賑やかさ、
いや気迫に気押されてしまう。
でも、何事も慣れというものがある。
それもいつの間に気にもならなくなり、
今ではこの日が待ち遠しいような……そんな会になっている。

ゴルフ会と言っても距離が5㌔も6㌔もある
ゴルフ場でラウンドするわけではない。
僕らのコースは全長わずか712㍍、
一番短いパー3のショートホールは22㍍しかないし、
パー5のロングホールも長くて81㍍だ。
普通のコースの7分の1ほどの可愛いコースで、
『パークゴルフ』と呼ばれている。
ここでラウンドするのにドライバーやアイアン、
それにパターといった10数本のクラブは一切いらない。
スティック1本、ティーショットも寄せもパットもこれでよい。
だが、侮るなかれ。
コースは上りあり下りあり、右ドッグレッグ・左ドッグレッグありの、
結構ややこしいコースなのである。
特にグリーン周りには随所に意地悪くOBゾーンの罠が仕掛けられており、
ここに2度、3度とはまり込むと大きくスコアを崩してしまう。
せっかくグリーンオンしたボールが傾斜によってスルスルとOBゾーンへ。
「下手くそ」思わず自分を罵ってしまいたくなる、
本当に厄介なコースなのだ。

とあって頭を使う。まずはティーショットの力加減だ。
下りのショートコースを強く打ちすぎると
グリーンを突っ切って間違いなくOBゾーンに転げ落ちる。
ドッグレッグとなっているロングホールだと
1打目の置きどころを考えなければならない。
要するにコースを読み、的確な加減で打たなければならないのである。
これは結構〝頭の体操〟になる。
それと、全長712㍍と言っても約3000歩は歩く。
僕らは昼食を挟んで2ラウンド回るから、
だいたい6000歩のウオーキングになるわけだ。
ここでプレーしている他のグループを見ても、
やはり僕らみたいな高齢者がほとんど。
同じように「心身の健康維持のため」と、やって来るのだろう。

「お~、ナイスショット」「ええっ、それってイーグルですよね。すごいな」
「残念、OBになってしまいました。次のホールでバーディーといきましょう」
などと、まるで何10年も前の日々を思い出したように
表情豊かにはしゃぎ、また悔しがる。
そして、1ラウンド回り終えた後の昼食時は、お婆さんたちの雑談会となる。
あれやこれや呆れるほど話題豊富で男2人は完全に蚊帳の外に放り出される。
今や妻の友は我が良き友である。
彼女たちと何の屈託もなく楽しむパークゴルフ。
身を心を揉みほぐしてくれる。