盛者必衰──僕らサラリーマンの世界でもそうだが、
どんな世界でもいずれ第一線から退かなければならない時がくる。
特にプロスポーツの世界は、世代交代による非情とも
思える現実をたびたび見せつけられる。
まずは、福岡ソフトバンクホークスの3年ぶりの
リーグ優勝にお祝いを言おう。
これで19度目、1リーグ時代を含めると21度目、
さらに福岡移転後は9度目の優勝となる。
今シーズンの大きな目標が「リーグ優勝・4年連続日本一」だったから、
その一つ、リーグ優勝は達成した。
あとはクライマックスシリーズ、さらに日本シリーズを勝ち抜くのみだ。
もちろん、地元のテレビも新聞もこの優勝を
大々的に報じているのだが、それらの中に、
なんとも切ないニュースが紛れていた。
「内川聖一選手(38)が今季限りで退団、他球団への移籍の意向固める」
内川選手といえば、数々の輝かしい記録の保持者だ。
大分工業高校を卒業し、2000年ドラフト1位で横浜ベイスターズに入団。
2008年には3割7分8厘の右打者史上最高打率を記録した。
2011年にホークスへFA移籍、史上2人目の両リーグでの
首位打者となったほか、2018年には史上51人目の
通算2000安打を達成するなど、チームの主軸として
6度の日本一に貢献した大打者とも言える選手だ。
だがプロ20年目の今季は、故障もあって2軍スタートとなり、
1軍で1度もプレーしていない。
それでも2軍では40試合に出場し、3割4分のさすがの
打率を残しているのだ。
「なぜ内川を1軍に上げないのか」との声も当然と思えたが、
結局、1軍での活躍を見ることなくシーズンを終えようとしている。
優勝セレモニーにも内川選手の姿はなかった。
なぜなのか、本当の理由を知る由もないが、
報道ではすでに来季の戦力構想から外れているのだという。
やはり周東、栗原といった若手選手が成長し、
「内川のポジションがなくなってしまった」ということのように思える。
あなあはれ。まさに盛者必衰──プロスポーツの世界は容赦ない。
あの内川でさえ、38歳にもなると体は衰え、故障がつきまとう。
その間に若手がどんどん伸びてくる。
そして、押し出されるようにポジションを
明け渡さざるを得なくなる。
内川選手に盛大なエールを送ろう。
「まだやれる」他球団での活躍を期待する。