Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

今村天主堂

2022年05月29日 19時09分48秒 | 出歩記


福岡県三井郡大刀洗町に、双塔ロマネスク様式風
レンガ造りの今村天主堂がある。
1913(大正2)年、本田保・第5代主任司祭が
熱心な信者の奉仕作業、外国からの資金援助を受け
完成させたものだ。



これを設計・施工したのが教会建築の
名工と言われた鉄川与助氏で、
彼は50を超す教会を手掛けているが、
この今村天主堂のほか、長崎県新上五島町の青砂ケ浦天主堂、
頭ケ島天主堂、それに同じ長崎県平戸市の田平天主堂が
国の重要文化財に指定されている。
特に今村天主堂は鉄川氏の作品の中でも
最大かつ秀逸とされている。











その今村天主堂が6月から耐震補強工事に入り、
約10年間は信者といえども立ち入り禁止になるという。
それで、工事前の28、29の2日間、
〝お別れ見学ツアー〟と称し一般に公開。
普段は教会内部の写真撮影はできないが、
それもOKというので、訪れてみた。

ビートルズを歌う

2022年05月22日 13時29分48秒 | エッセイ

     何年、いや何十年前に買ったものであろうか。
     ビートルズの8枚組LP盤を今も大事に持っている。
     プレイヤーもステレオもないから、今は聞くことのないレコードだが、
     まさに青春そのものの思い出を処分するつもりはない。
     そのビートルズについて、2020年3月5日の当ブログに
     「ビートルズを歌う」をアップしている。
     これは、その再掲です。




「何、このうるさい歌。こんなの長続きするはずないわ。
麻疹みたいなもの。すぐに消えてしまうに決まっている。
私、こんなの嫌い」――レコードプレイヤーの上で、
ビートルズが「抱きしめたい」と歌っていた。
ほどなく彼女は去り、ビートルズは傷心の僕を
「Let It Be~これも神の思し召し。なすがままさ」
と慰めてくれたものだ。
学生時代の淡い、そして苦い思い出話の一つである。

あれから50年余経った。
今、ライブハウスのステージに立ち、
そして、ビートルズを歌っている。
側でギターを気持ちよさそうに弾いているのは孫息子である。
孫との共演で「Something」を歌うなんて、
50余年前には想像すらつかないことであった。
マイクを持つ手が、小さく震えている。
それと、やっぱり照れ臭い。そりゃそうだ。75という年齢。
加えて、もともとのかすれ声だ。
ひいき目に見てくれる人は「魅惑のハスキーボイス」
などと持ち上げてくれるのだが、
それさえも相当にすり減ってきた。
それでビートルズを歌うというのだから、
我ながら厚かましい奴だと思う。
まあいい。声まで真似て歌うわけではない。
音程をはずしながらもそれらしく
シャウト出来ればОK、本望なのだ。

なぜ、それほどにビートルズを……
なんて野暮は言わないでほしい。
「ビートルズの音楽性はここが素晴らしいんだ」
なんていうのもなしだ。
そういったことは音楽評論家にでも任せておく。
歌も、それに女性も好きになるのに理屈はない。
たとえば、女性を好きになるのはほとんどが
「見る」「聞く」「嗅ぐ」「味わう」「触れる」、
つまり五感の為せるワザだと思う。
そこから先は互いの感性が大いにものをいい、
それを昇華できれば真の恋愛として成立するのだろう。
いくつかの若き日の〝あのときめき〟を思い起こせば、
そのようなことではなかったか。
随分昔のことだから少々心もとない話ではあるが……。


ビートルズ嫌いの彼女は去った。
でも、ビートルズは50余年もずっと僕の側にいて、
時に心を弾ませ、あるいは励まし、慰めてくれた。
ジョンもジョージもすでに亡く、ポールとリンゴの2人だけに
なったビートルズは、今もなお生き続けている。


セロトニン

2022年05月21日 14時33分06秒 | エッセイ


ベランダの花々は、どれも美しく、可憐であるが
ヤマアジサイの可愛らしさはひと際だ。
「おはよう」と呼びかければ、
まぶしいほどの陽の光を浴び、ニッコリしながら
「はーい、おはようございます」と答えてくれそうだ。



陽の光は植物を育ててくれるだけでなく、
人を幸せにもしてくれる。
「セロトニン」というのは、神経伝達物質の一種だが、
これが増えると、人は「意欲的になる」「快感が増す」
「気持ちが明るくなる」「闘うファイトが湧く」などが起こり、
逆にこれが減ると「うつ症状が出る」「衝動的になりやすくなる」
「体の痛みや不調を訴えやすくなる」「無気力になる」そうだ。
それで、「幸せホルモン」と言われており、
陽の光がこの「セロトニン」の分泌を促すのだという。



早速「セロトニン」を増やそうと、先月開業したばかりの
複合商業施設「ららぽーと福岡」へ
ウォーキングを兼ねて出かけることにした。
自宅から歩いて片道20分弱、格好のウォーキングコースである。
正面に立ち、客を迎えるガンダムと対峙する。
陽の光を浴び、闘うファイトが湧き、
ガンダムに戦いを挑もうというのではない。
毎度のことながら、「また来たよ」のご挨拶だ。
あとは、店内をあちらこちら。
多少の買い物をし、ランチを食べて帰路へ。


     
     道すがら、街路樹の幹に目が止まった。
     幹をコケが覆い、老木には、老木ならではの
     なにがしかの味わいがある。


どうする ワンちゃん

2022年05月12日 18時28分50秒 | エッセイ


「お散歩を続けたいの? 
     それとも家に帰りたい?」
「あんたね、若いんでしょう。
  若いもんはどちらにするか、さっさと決めるもんだよ。
   さあ、さあ どっちにするか決めてちょうだい」

思わず笑ってしまった。
ウオーキング途中の昼下がり。曇り空なのに、やけに暑い。
おばあさんに引かれるワンちゃんも音を上げているふうだ。
ベロを出しハアハアするのは熱を発散させる
犬たちの体温調節法なのだろうが、それが一段と激しい。
木陰の中から出ようとしない。
それで、ご主人様はイラっとされたのか、
「あんたね、若いんでしょう。
   若いもんは、さっさと決めるもんだよ」
などと急かしているのである。
人にも、犬にも若いからといって決断力があるのかどうか。
おばあさんはそう思われているのだろう。
でもワンちゃんはそう言われても、座り込んだまま動こうとしない。
どちらでもなく、一休みさせてほしそうだ。

       

この何とも微笑ましい光景の成り行きを
最後まで見届けたいとも思ったが、
ワンちゃんが何だか照れ臭そうな顔をしてこちらを見ているから、
笑いを含ませながら通り過ぎることにした。
すると、後ろからまた「若いんだから……」との声が聞こえる。
もう、こらえきれない。
とうとう、笑いが声になって出てしまった。

犬をペットとしている人は多い。
犬に限らずペットというものを飼ったことのない、
この爺さんにすれば、
「それほどまでに」と思えるほどの情愛を見せる。
確かに、テレビなどで見る犬や猫たちの
何とも言えない愛らしい仕種には癒されることが多いから、
実際、側にいて愛嬌をふりまかれるとなると、
なおさらのことであろう。
中には、愛犬、愛猫を亡くし、
ペットロスに陥る人もいるそうだから、
それもまた分かるような気がする。

だが人というのは、時に残酷だ。
子犬の時は「かわいい、かわいい」と言いながら、
しばらくすると持て余したように捨ててしまう。
そして、その犬は殺処分という運命をたどりかねないのである。
中には、一命をとりとめ保護犬として育てられるものもいるが、
一度裏切った人への信頼は、なかなか取り戻せないらしい。
あのおばあさんは、そんな人とは思えない。
「若いんだから、さっさと決めなさい」との言いようには、
犬君に対する愛情がたっぷりと……
だって、おばあさんも笑顔だったからね。



バラと一緒にスクスクと

2022年05月07日 14時34分31秒 | 出歩記




太宰府に日本経済大学がある。
我が家から車を20分ちょっと走らせれば着く。
別に講義を聞きに行くわけではない。
ここには、イングリッシュ・ガーデンと
呼ばれるバラ園があるのだ。
1996年、イギリスの庭師により
造園された英国式の庭園で、
約10万平方㍍の国内最大規模の
イングリッシュ・ガーデンだそうだ。
春と秋には約10万本のバラが咲き誇るというから
今が見頃とあれば、車で20分ちょっとの距離は訳ない。
それと、実はもう一つの楽しみもあった。



それが、このハクチョウの親子です。
4月10日に孵化したそうで、10羽もの雛鳥が可愛い。







     バラとハクチョウの親子に癒された1日であった。