東側の戸を開け、西側の戸を開けると
鳴き出したセミの声と一緒に
早朝の涼しい風が部屋の中を吹き抜け、
カーテンが優雅に揺すられる。
この朝戸風がことのほか心地良い。
もうしばらく身に浴びながら眠りたい。
リビングのソファに30分ほど横になれば、
スマホが6時を知らせた。
東の空はすでに明るい。だが、厚い雲に遮られ照りは弱い。
ネットから借用
ソファから飛び出し歩き出した、いつもの川沿い。
遠く東の山を見れば、山頂から中腹あたりまで
真っ白な雲がもくもくと覆っている。
川面から吹き上げてくる風がやはり心地良い。
すると、半袖のTシャツから覗いた両腕を雨粒がポツポツと打つ。
水面も雨粒が紋を描いている。
でも、引き返すほどではない。この程度の雨に濡れたところで、
シャツ、パンツを取り替え、シャワーを浴びれば済むことだ。
そのまま歩き続ける。
今日はことのほか静かだ。
他にウオーキングをしたり、ジョギングしている姿もない。
水辺に鳥たちの姿さえない。
道路沿いの電柱にカラスが1羽いて、
何やら鳴き声を上げているくらいなものだ。
近くの水田の緑が美しい。
水路からの澄んだ水が田を潤している。
「風に吹かれて」歩き続ける。
ボブ・ディランの歌を口ずさみながら……。