オリンピックの熱戦にも劣らぬ激しい戦いだ。
10時に開店したばかりの近くのスーパーマーケット。
その野菜売り場の一角が戦いの場だった。
おそらく、朝刊のチラシを見て駆け付けたのであろう
奥さんたちが早くも群がっている。
目当ては「詰め放題100円のキュウリ」だ。
我が家もこの道にかけては腕に自信の妻を参戦させた。
と言うより、妻自ら望んで駆け付けたのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/81/74e5c34c423d2645ce697da1edd1d216.jpg)
さて、ビニール袋に何本のキュウリを詰め込めるか。
隣に陣取った奥さんは、早くもぎゅうぎゅうに詰め込んでいる。
シニア、シルバー世代の女性の、
こうしたことに対するパワーは凄まじい。
これでもかこれでもかとばかり、キュウリを詰め込んでいく。
「今、何本ですか」と尋ねれば、
「えーと」と数え始め、「15本ね。まだまだ」。
さらにキュウリが気の毒と思えるほど
隙間にぎゅうぎゅうねじ込んでいく。
そこに店員さんがやって来て、
「手で押さえてレジまで持っていけるものもOKですよ」
そう言われて、「それでは」と一層熱を上げ、
その結果、ビニール袋からこぼれ落ちそうになっているものまで
手で押さえてレジまで持ち込んでいた。
なんと21本ゲットされていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/4b/8c52bd0e05e1a77178f17c9f7f395055.jpg)
こちらとて負けてはいられない。
妻の手さばきがスピードアップする。
「18本までなんとか入ったわ。
あとは、手で押さえてOKのものを何本足せるか」
妻もオリンピック選手並みに最後の力を振り絞る。
「やった! 22本になった」見事な金メダル。
意気揚々と我が家に凱旋だ。
だが、待てよ。
こちとらは、キュウリが大の苦手なのだ。
絶対に食べない。
それなのに、これほどのキュウリを一体どうする気だ。
もちろん、妻は知っている。
そして、唯一の例外があることも知っている。
しば漬けだと何の苦もなく、むしろ美味しく食べられるのだ。
その夜、妻のしば漬け作りが遅くまで続いた。
こちらは、オリンピックのテレビ観戦である。
いやはや、ご苦労様。
そして、ありがとうございます。