Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

爺と孫のデュエット   I don't wanna talk about it

2023年06月30日 09時49分16秒 | 思い出の記

もう8年ほど前になる。
僕は72歳、この孫娘は高校3年生だったと思う。
僕が通うミュージックスクールの生徒発表会に
「一緒に出ないか」と誘ったら、2つ返事でOKしてくれた。
そして、先生の指導で練習を重ねた。
高校で合唱部だったこの子は、ハモル部分は自分で考えたりして、
結構良いものにしてくれた。


さて、本番の日。
前ぶりは英語が得意なこの子がぺらぺら。
爺さんは何と言っているのかさっぱりだった。
ところどころ怪しいところもあったが、
そこはしょせん素人。お許しねがいたい。
途中でやめないで最後までお聞きください。



80歳の『別れの朝』

2023年06月28日 14時55分25秒 | エッセイ


ミュージックスクールに通い始めたのは70歳の時だった。
もともとは孫がギターのレッスンに通い、
その発表会を欠かさず観に行っていたら、何だかムズムズとし始め、
「俺もあのステージで歌ってみたい」との気持ちを抑えきれなくなり、
恥ずかしげもなくヴォーカルのレッスンに通い始めたのだった。

あれから10年余。年齢も来月で81歳になる。
もともとのかすれ声に加え、年を取るとともに声も出にくくなった。
それでも、まさに性懲りもなくレッスンに通っている。
声は出にくくなりはしたが、とにかくできる限り声を出して歌う。
これは、なにものにも代えがたい爽快感である。


そして年に2回、レッスンの成果を聞いてもらう発表会がある。
生徒たちが自分の歌いたい曲をステージで披露するのだ。
もう相当数、発表会に出ているのでひどく緊張することはないが、
最初の頃は、マイクを持つ手が震えたり、歌詞を忘れたりしたものだ。

25日にも、いつものライブハウスでその発表会があった。
選曲したのは『別れの朝』。世良公則バージョンだった。
ご存じのように、この曲は思い切り
声を出さなければならないところがある。
声が出にくくなっているのに、敢えてこの曲にしたのは、
実は思い切り声を出したかったからだ。
レッスン中は、その部分で咳き込むことがしばしばだった。
だが、練習を続けているうちに少しずつ声が出るようになってきた。

さて本番。咳き込まないように……それだけを願っていた。
歌い進むうちに次第に自信みたいなものが出てきた。
声も出ている。咳き込む様子もない。
何箇所か間違えはしたが、曲を止めるようなものではなかった。
よし、いけた。久々の快感である。



長生きしようと思い歌うのではない。
ただ歌うのが好き、楽しいというだけだ。
その時を精一杯生きたいのだ。
80歳爺さんの『別れの朝』に大きな拍手をいただいた。
それは、「いつまでも歌い続けなさい」との励ましのようでもあった。
「はい、頑張ります」心の中で大声で答えたのだった。



今度はダーツだぞ

2023年06月22日 06時00分01秒 | エッセイ


毎月第3水曜日はパークゴルフの定例会。
ところが21日はあいにくの雨模様。
急きょ、メンバーのご夫婦宅でのダーツ競技となった。
こちらのご主人がダーツのベテランで、
この方の手ほどきを受けながら、このご夫婦を含め
女性7人、男性2人のいつものメンバーが
パークゴルフに劣らずにぎやかにプレーを楽しんだ。



僕にとっては初めての競技。初心者は基本的には
2㍍44㌢先のダーツボードに1ラウンドにつき
矢を3本投げ得点を競うわけだが、
初めてだと、まず矢がボードにきちんと刺さるかどうかだ。
ポンと投げてもボードに届かずポトリと落ちてしまったり、
ボードに当たっても空しく跳ね返されて落下したり。
そのあたりから始まる。

どうやらボードに矢が刺さるようになったら、
狙い通りの所に投げられるかどうかになる。
これは、なかなか思うようにはいかない。
ボードには、それぞれのエリアに点数が付されており、
弓道やアーチェリーみたいにボードのど真ん中だと最高得点の50点だが、
必ずしも中心に近ければ得点が高いわけではない。
中心近くに刺さったと思っても1点、2点と低得点になることもある。
さらに得点が2倍、3倍になるエリアもあるから
当然そこを狙うのだが、そううまくいくはずがない。



そういう次第で、初心者の僕が投げる矢はボードに
届かなかったり、跳ね返されてポトリと落下するなど惨憺たるありさま。
しばらく投げているうちにボードに刺さるようにはなったが、
成績は下から2番目のブービー賞だった。

1ラウンド終えたところで、パークゴルフと同じくランチタイム。
同様にお婆ちゃんたちの賑やかな団らんが続く。
実を言えば、お婆ちゃんたちにとってはこのランチタイムでの
おしゃべりがこの会の目的なのではないか。そうに違いない。
このおしゃべりには、男性2人はいつものように蚊帳の外となる。

どうやら団らんのネタも尽きたところで2ラウンド目の開始だ。
少し慣れてきて得点も1ラウンド目より上がってきた。
ただし、上達したとまでは言えない。
さらに競技方法を変えて第3ラウンドへ。
ちなみに競技方法は20数種あるそうだ。

他の人に掛け声をかけたり、冷やかしたりと笑いが絶えない。
個人のお宅にお邪魔しての、このありさま。
最後には「皆でカラオケにも行きましょうよ」と
テンションは上がりっぱなしである。




娘からのプレゼント

2023年06月18日 20時07分47秒 | エッセイ


18日の父の日。ちょっとしゃれた箱に入った菓子が届いた。
配達伝票を見ると、長女と次女の連名だった。
「言葉だけで良いのに……」とお礼を言いながらも
「プレゼントをしてくれるなんて」心中は相当に嬉しかった。
早速、妻にもおすそ分けして2人でいただいた。
もちろん、おいしいに決まっている。

       

2人の娘は、幾つになったろうか。
長女には一昨年社会人となった女の子と、
大学院に通っている男の子がいる。
次女の方には大学生3年生の一人娘だ。
孫の年齢をみれば、娘は何歳かと言わなくとも、
2人とも立派なおばちゃんである。

それほどの年齢だから、もうとっくに「親離れ」しており、
自分たちの世界を築いている。
対する親の方はなかなか「子離れ」できず、
そんな親心に任せて子どもの世界に迂闊に立ち入ろうものなら
鬱陶しがられ、時には冷たくあしらわれて寂しい思いをさせられる。

       

特に男親は哀れなもので、
そんな年齢になった娘に対する術を見つけきれないのが常だ。
2人とも福岡市内に在住しており、
車だと30、40分で行き来できるのだが、
格別な用事がなければ会うことはほとんどない。

長女は自宅でネット通販会社を営んでおり、
妹である次女がそれを手伝っている。
親にすると、姉妹が仲良く一緒に
仕事をしている姿を見るのは何よりのことである。

さらに2人の娘には感謝しなければならない。
言うまでもなく、合わせて3人の孫を
私たち祖父母に抱かせてくれたことである。
孫のかわいさは言うまでもない。
その成長を楽しみに余生を送る。
これこそ他に代えがたい最高のプレゼントである。

ありがとう。あなたたちも幸せに。



AIに超えられる日

2023年06月08日 17時25分47秒 | エッセイ


氷が解けると□になる──AIにこう問うたらどう答えるか。
試みにLINEアプリの『AIチャットくん』に尋ねてみた。
予想通り「水に変化します」だった。
そして、「通常、氷は0度以下の温度で存在しますが、
気温が上がって熱を吸収すると、氷は徐々に解け始めます。
氷が解けるとき、氷の分子が熱を吸収してエネルギーを得、
分子間の結合が弱まります……」などと詳しく解説してくれた。

ところで、実話とも伝えられている試験ものの小話がある。
この「氷が解けると……」の問いに「水」とは言わず、
「春」と答えた子供がいたという。
この新聞記事を読んだ時、
「どうだ!」といささか誇らしい気持ちになった。

同じ記事からもう一つ。
先生が四字熟語の問題を板書した。
「□肉□食」の空白を埋めろというわけだ。
一人の学生が手を挙げた。
「はい、焼肉定食です」
──国語が苦手なのか、ふざけただけなのか。
これもまた試験ものの小話なのだが、
素直に「弱肉強食」と正答を言わない学生に身を寄せたくなる。
そして、こうつぶやく。
「AI君、君はこんな柔らかな感受性は持ち得まい。
君には対抗できるはずがない」

       
 
だが、「どうだ!」とばかり言ってはおれない。
精緻な文章や画像などを作り出す生成AIは、
人間の仕事や創造活動の生産性を飛躍的に高めるに違いないが、
ただ懸念材料もさまざまに指摘されている。
その一つ、生成AIが文章や画像を生み出す〝思考回路〟が
開発者自身にも分かっていないのだという。
将棋のプロ棋士がAIに敗れたことがある。
そのAIは勝つ手順をどう考えていったのか、
その〝思考回路〟は解明できないままなのだ。
それは人間がAIを制御するのは不可能だということを意味する。

AIに関し「2045年問題」ということが言われている。
人工知能の性能が2045年に人類の知能を超える、
つまり人工知能が人類に代わって
文明の主役になる転換点というわけだ。
その転換点を「技術的特異点=シンギュラリティ」と呼ぶ。

言うまでもなく、AIは国境を越えて広がる。
先に広島市で開かれたG7で、
このAI問題が主議題の一つになったのも、
そんな懸念があるからだ。
AIの恩恵を受けつつも、
空恐ろしさもまた急速に強まってくる。