Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

名探偵カマナン氏 

2022年08月22日 09時34分19秒 | 小ネタ


ウォーキング途中、スーパーマーケットの駐車場を横切った。
朝の6時半。おや、駐車場に黒の革靴がきちんと揃えられて
脱ぎ捨てられている。
どうしたことか。周囲にはそれらしい人は誰もいない。
脱ぎ捨てたまま裸足で帰ったのか。
あるいはここで別の履物に履き替え、古い奴は放ったままにしたのか。
それとも、やんちゃな兄ちゃんたちがここで酒盛りをし、
酔った挙句履き忘れてしまったのか。
何やかやと推理を巡らす。
そこへ、名探偵カマナン氏の登場である。
カマナン氏はこれまで数々の難事件を解決した
コナン君と並ぶ名探偵である。



「現場をご覧になっていかがでしょう? 
殺人事件など何か大変な事件なのでしょうか」
「いや、いや その可能性はないな」
「それでは……」
「いくつかのことが考えられるな。
一つには別の履物に履き替え、古い奴はゴミ箱に捨てに行くのも
面倒なものだからそのまま置きっぱなしにして去って行った」
「やはり」
「あの革靴をよく見てごらん。かかとの部分がかなり傷んでいる。
新しいものに履き替える時期だったのではなかろうか」
「あっ、なるほど。このかかとのところがかなり傷んでいますね」
そうだろう。それからここのスーパーには何か履物を売っていないかな」
「ああ、ありますね。ゴムのサンダルみたいなものですけど」
「それだ。傷んだ靴のせいで、かかとに豆ができるなどして、
その痛みに耐えかねてここでサンダルを買い、履き替えたのかもしれない。
古い奴を置きっぱなしにしたのはけしからぬ話だがな」

「それと、このスーパーは24時間営業で、
しばしば夜中にやんちゃな兄ちゃんたちが
駐車場で酒盛りしているらしいんですよ。
その挙句のことだとは考えられませんか」
「それも考えられるな。ほれ、靴の側にジュースの容器が転がっとる。
アルコール類の瓶や缶は見当たらないがな。
酒盛りの締めのジュースだったのかもしれん」
「酔った挙句、脱いだ靴を履き忘れてしまった」
「いやいや、何とも頓馬な話だがね。
泥酔すれば何をするか分からんからね。
だが、こっちの説はどうだろうか。
可能性は低いように思えるがな。
酒盛りでひと騒ぎしたのなら、ビールの空き缶や瓶が
転がっていてもおかしくない。
それだけはちゃんと片付けて帰ったとは思えないんだがな」



「そうすると、前の説が有力ですか」
「そうとも断定しかねる。ここはコイントスで決めることにしよう。
表が出れば前者、裏だと後者ということにしよう。
ほかにもあるかもしれないが、いいじゃないか」

  名探偵カマナン氏は、
     鮮やかな緑の服のポケットから
           100円玉を取り出した。




軍曹殿

2020年04月26日 05時59分12秒 | 小ネタ
              
軍曹殿はますます“鬼”になっておられる。
「はい、これ」「はい、あれ」と次々に新しい任務を与えられる“新米主夫”二等兵。
勝手が分からず右往左往させられる。

    最前線での40年余に及ぶ戦いを終え、
    「もういいだろう」と一線を退き15年になる。
    それでも最前線で戦う若い兵士を支援するため、
    週3回は後方部隊に配属され、それが今日まで続いている。
    そうなった二等兵をつかまえて軍曹殿は、
    「前線で戦うことはなくなったのだから、
    新たに風呂掃除、ごみ出しの任務を与える」と命じられたのである。
    ここらあたりの任務は、同じような境遇の同輩がたくさんいるようだから、
    さして苦痛でもなければ、不平を言うほどのことでもない。                                                                      
だが、任務は徐々に増えていった。
毎週土曜日には、兵舎の掃除が新たに加わった。
部屋中隅々に掃除機をかけるだけで、拭き掃除ということまでは免れているが、
自分が寝起きし、寛ぐ場所とあれば、掃除には念を入れる。
兵舎の掃除が終わると、今度はこれまで通りの風呂掃除だ。
さらに、たまに兵舎出入口(玄関)や周辺(ベランダ)にデッキブラシをかけたりする。
ここらあたりが、主任務というところか。

    これに最近、配膳係という新たな任務が加わった。
    テーブルに食器を並べ、箸をきちっと揃えて置く。
    軍曹殿は食事の際、ビールを飲まれるからグラスも忘れてはいけない。
    お茶の用意、茶器に茶を入れ、湯を沸かして注ぎ、
    自分の湯飲みを用意するのは二等兵の任務になっている。
    このように新たな任務を次々に命じられるのである。



しかも、このところ軍曹殿のご機嫌があまりよろしくない。
得体の知れない新型コロナウィルス軍とかいうものが攻め込んできており、
我が軍は基地、兵舎にくぎ付け状態にされているのだ。
相手の正体がよく分からないまま、じっと我慢を強いられると、
どうしてもストレスが溜まってくる。それは、この二等兵とて同じだが、
軍曹殿の方がややひどいように見受けられる。
おまけに、軍曹殿は3度、3度の食事を担当されておるから、
余計にそうなのであろう。

    だからなのだと思う。
    命令口調が日増しに厳しくなってきた。
    たとえば、掃除機をかけようとすると、
    「その掃除機、前のごみが入ったままだろう。ちゃんと始末してからにせよ」
    「ここはちゃんとやったのか。まだ、ごみが残っているではないか。
    それでは二度手間になってしまう。何をしているのだ」などと叱責される。
    風呂場に行けば、
    「浴槽だけではだめ。床もしっかり磨け。ついでに鏡、壁、天井も」
    「流し部分のごみはちゃんと処理したか」
    細々とした命令が飛ぶ。
    つい、「では、ご自分でどうぞ」と言いたくなるが、
    そこをぐっと我慢できるのが古参兵だ。
    世間では堪え切れず、軍曹殿に手を上げてとんでもない事態を
    招いていることもあるそうだが……。

当分は我慢するしかあるまい。
コロナ軍が退却してくれれば、軍曹殿の苛立ちも少しは収まるだろう。

言いたくはないが……

2020年04月23日 06時13分01秒 | 小ネタ

緊急事態宣言中、あれほど外出自粛を呼び掛けているのに
湘南海岸はサーファーであふれているし、付近の道路は東京など
県外ナンバーが数珠つなぎになっている。
あるいは、自分の県のパチンコ店が休業したからと、隣県にまで押しかける。
テレビがそんな光景を伝えているのを見て、驚くやら、呆れるやら。
東日本大震災の際、非常時であるにもかかわらず、整然と並ぶ人たちの姿に
世界各国が驚き「世界一規律正しい日本人」と称賛したのが、嘘のようだ。
あれは何だったのか。
                            
マスコミが「不偏不党に徹し、自らの主義・主張をもって権力を正す」
との崇高な理念を掲げているのは承知している。
だが最近、それが少々怪しい。
大衆迎合的に過ぎないか。そう思うことが多くなった。

家にじっとこもって2週間。目の前のテレビは一日中、
新型コロナウイルスの話を流している。
そのテレビは「単に政権を批判しておればよい」という姿勢が色濃く、
番組は政府に対する批判めいた話を柱に組み立て、しかも並ぶ評論家や専門家は
その局お気に入りの人ばかり。局の代弁者の役割を担わせている。
放送内容もネガティブなものが大半を占めているとあれば、
2週間の苛立ちがさらに煽られ、気持ちが落ち込む。
ええぃ、と電源オフにする。

そして、腹立ちまぎれにマスコミに対しこう言いたくなる。
「テレビや新聞は、『こんな時にサーフィンやパチンコに興じている人は、
警察なり自衛隊を使って取り締まれ』とでも言ってみたらよい」と。
とんでもない話であるのは分かっている。
「そんなことをしたら、一党独裁の中国と同じになってしまうではないか」
そう反論されるに決まっている。

だが仮に、「外出自粛さえ出来ない日本人、日本であってはいけない」
との大義を振りかざし、「やはり公権力で民を支配する方が秩序は保てる」
との野望を持つ政治家がいたとしたら……秩序を保てない日本人が自ら、
その野望に絶好の口実を与えかねない。
日本人はそれを望んでいるのか。
そうでは決してあるまい。
そんな国、そんな時代にならないためにも、自らを律しておいたがよい。

ご冗談を

2020年04月22日 05時44分12秒 | 小ネタ
「よくマラソンランナーは短命と言われるが、実際、体育会系の人は、
そうではない人よりも平均寿命が約6年短いという調査結果がある」
ネットをあれこれとのぞいていたら、
週刊誌から拾ったこんな話に、ぎょっとなった。
まさに運動漬けとも言える4年間の大学生活を送った身だ。
とんでもないことを言いやがると、少々腹も立った。
             
「若い頃に激しい運動をしてきた人は、
心臓の摩耗と機能低下を抱えていることが多い。
その蓄積されたダメージが歳を取ってから露見することがある」
さる医師が、その理由をそう語っていた。
確かに、運動選手の心臓は普通の人より大きく、よく『スポーツ心臓』と言われる。
それが原因で突然死したスポーツ選手がいるにはいる。
ただ「平均寿命が約6年短い」と言われると、ただ事ではない。

突然死で思い出した。30年ほども前になるか、ある医師と知り合いになった。
何気ない話をしていたら、その医師がこんなことを言い始めたのだ。
「あなた、何年のお生まれですか」
「昭和17年です」
「ああ、そうですか。私よりちょうど一回り下だ。
ところで、あなたの世代、突然死のリスクが高いんですよね」
死というものを、まだ意識することもない50歳にもならぬ男をつかまえ、
医師たる者が何たることを……。
「先生、何故なんですか。それって」
少しばかりの怒りを込めて聞いてみた。
「そもそも、あなたたちは幼少期が食糧難だった世代なのです。
つまり栄養不足だったんですね。
青洟を垂れた子が多かったでしょう。あれもタンパク質の摂取不足です。
突然死が多いのは、この幼少期の栄養不足が一因らしい」
そう言われれば、確かに垂れた洟を服の袖で拭い、
袖口がテカテカ、ゴワゴワとなった子が多かった。
「あなた、ご兄弟は?」医師が続ける。
「兄3人に、姉2人の末っ子です」
「なるほど、そうだとお母さんのおっぱい、あまり飲めていませんね」
「さあ、どうでしたでしょう。よく覚えていませんね」
「おっぱい、大事なんだがなぁ」医師のつぶやきが重く響く。
嫌になって早々に退散したのだった。

あと数カ月で78歳となる。突然死のリスクが高いと言われながらも
何とか生きてきた。せめて平均寿命81.25歳までは生きてみたい。
それにはマラソンランナーみたいにもう少しペース配分を
考えた方がいいかもしれない。
思い立ったら何事も突っ走ってしまうのが悪い癖だ。
途中ではーはー、ぜーぜーとなり、ガクンとペースを落とさざるを得なくなる。

このブログにしてもそうだ。
知人にやり方を簡単に教えてもらって始めたブログ、一気呵成とばかりに書いてきた。
なのに、コメントをいただきながら返信する方法さえいまだに分からずにいるのだ。
ありがたいコメントに返信もできぬまま、誠に申し訳ない次第になっている。
お詫びしたい。もうしばらくお時間をいただきたいと思う。
                           
ブロガーの皆さんの中には、長期にわたり書き続けておられる方が多い。
おそらく、速めたり緩めたり、マラソンランナーみたいに強弱つけておられるのだろう。
このブログを始めて55日になる。
先輩たちを見習い、心臓に過大な負担をかけぬよう、
ペースを緩めることも必要なのかもしれない。


認知機能検査

2020年04月01日 06時32分22秒 | 小ネタ
通常、試験問題というのは極秘事項のはずだが
75歳以上の人が運転免許を更新する際、課せられる認知機能検査はそうではない。
ネットで問題をたやすく見ることができるし、問題集まで売られている。
つまり、大っぴらになっているのだ。
だから事前に勉強しておけば、何の心配もないはずだが……。
そうはいかない。年寄りの記憶力は何とも危ういのだ。

免許の有効期限は今年8月23日となっている。
その更新通知書、正確には「認知機能検査・高齢者講習通知書」
が、驚くことに半年も前の2月に届いた。
免許を更新するには、まず認知機能検査をクリアし
そのうえで適性検査や実車試験に合格しなければならない。
以前はこの2つを自動車教習所で同じ日に行っていたが
教習所の負担が大きいとして認知機能検査は運転試験場、警察署、
交通安全協会などで行うようになっている。
               
早速、運転試験場で受検した。今回が2回目だから
どんな問題が出るかは分かっている。
難関は絵の記憶問題。それぞれに4種類のイラストが書かれたボードを4枚、
つまり4×4=16種類のイラストを見て記憶する問題だ。
意地悪なことに簡単な問題をはさみ、16種類のイラストを全部書き出せというのだ。
直前に見たイラストだから簡単に思い出せそうだが、これが簡単ではない。
なかなか思い出せない。
受検している人たちは、一様に「うーん」とうなることになる。
全部書き出せる人は、「まずいない」と試験官氏から聞いた。
他にも2問あるが、この問題がメーンであるのは間違いない。
                                         
そして、この認知機能検査で49点未満だったら
別に認知症専門医の診断を受け、認知症と診断されたら免許の取消・停止処分となる。
さらに後日、適性検査や実車試験などの高齢者講習を教習所で受けるわけだが
認知機能検査が「49点以上76点未満」だったら3時間講習
「76点以上」なら2時間講習となる。
幸いなことに、2時間講習で乗り切れた。
認知機能検査を終えた日に4月に講習を受けるべく予約した。
それをクリアすれば免許更新できるわけだ。
                        
言うまでもなく高齢者の交通事故が増えている。
身体能力の衰えのほか、記憶力、判断力も落ち
それらがペダルの踏み違え、逆走など事故の一因ともなっている。
検査問題が半ば公になっているとはいえ
事前の勉強がさして役に立たないのが記憶力なのだ。
自分では「まだまだ」と思っていても、衰えは隠せない。
免許返納もそろそろか。