【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

読んで字の如し〈金ー1〉「銭」

2011-04-25 18:38:21 | Weblog

「無銭飲食」……カードがあれば……え、ここでは使えない?
「悪銭身につかず」……“善人”の思いこみ
「安物買いの銭失い」……悪銭で買ったらしい
「銭形平次」……銭の形の平次さん
「守銭奴」……江戸っ子ではない
「江戸っ子は宵越しの銭は持たない」……小判だったらどうかな?
「盗人に追い銭」……学習しなさい
「勘定合って銭足らず」……銀行だったら帰れない
「金銭」……金貨と銭
「小遣い銭」……永楽銭か天保銭で渡すもの
「銭轡」……口に食い込んで痛い
「六文銭」……六文分の銭
「蓄銭叙位令」……実は今もひそかに残っている
「賽銭」……本来は奉納するもの
「一銭を笑う者は一銭に泣く」……いちいち一銭を笑うなんて非効率的なことをしているからだ

【ただいま読書中】『魔法博物館の謎』ジョン・ベレアーズ 著、 三辺律子 訳、 アーティストハウス、2003年、1600円(税別)

 「ルイスと魔法使い協会」第7弾です。シリーズの創始者ジョン・ベレアーズが亡くなったため、本作から著者はブラッド・ストリックランドに変っていますが、本の表記はジョン・ベレアーズのままです。シリーズの継続性のためでしょうが、ストリックランドにはちょっと気の毒な感じがします。
 ルイスとローズ・リタは中学生になりました。男の子はまだ小学生とそれほど差はありませんが、女の子は思春期に突入したらしく、ローズ・リタはそれまでは回りから浮いている状態でしたが、中学では女の子の中では孤立しさらに笑いものにされるようになっています。さらに大変なことが。中学校では新入生の「タレント・ショー」というものをしなければならなのです。舞台に立って、集まった町の人を前に“ナニカ”を演じなければならないのです。でも、何を? マジック! ただし、本物の魔法ではなくて、手品です。問題は、二人が手品をしたことがないこと。
 二人は町の魔法博物館に、手品の種を仕入れに出かけます。腕自慢の手品師が様々な資料を集めてオープンしたばかりだったのです。そこで二人は本を借りますが、そのときに霊媒師ベル・フリッソンの巻物を見つけてしまったことから、新たな魔法のトラブルに巻き込まれてしまいます。ゆっくりと迫ってくる黒い蜘蛛の恐怖。ローズ・リタは心を半分誰かに奪われたようになります。
 舞台で二人は大失敗。みじめな気持ちでしょぼんとするルイスをは対照的に、ローズ・リタはなんと激高します。やじる観客に向かって「うるさい! あんたたちなんて大きらい! ぜったい仕返ししてやるから!」と大声で。これはビックリです。ローズ・リタのキャラではそんなことは絶対しないことですから。ルイスはその姿を見て「まるで人間の姿をしたクモ」だと思います。
 墓場の中のベル・フリッソンは、ローズ・リタの怒りや復讐心が熟成するのを待っていました。ローズ・リタが復讐を始めるとき、それを利用して何か邪悪な目的を遂げようとしているのです。ルイスたちはそれに気づきますが、ローズ・リタは他人と関わろうとしません。さらに、ルイスたちには内緒で、ベル・フリッソンが葬られている墓地に行こうとします。一体何が墓場で起きるのでしょうか。
 ニュー・ゼベダイは、メインストリートが3ブロックしかない小さな町なのに、よくもまあこれだけいろいろと「魔法のネタ」が転がっているものだと感心します。しかし、タレント・ショーの開催場所が、かつて二人が大冒険をした町のオペラ座だったのには笑ってしまいました。
 少しずつルイスとローズ・リタの二人は成長しています。それでも二人が良い友達であることは変りません。丁寧に描かれる「変ること」と「変らないこと」、そして魔法のおどろおどろしさ。本当に魅力的なシリーズです。