「斎藤茂吉」……斎藤家には吉が茂っている
「逆茂木」……茂木さんのとは逆路線
「賀茂」……祝賀が茂っている
「鬱茂」……鬱が茂っている
「千葉繁」「杉下茂」「水原茂」「牧野茂」……名が残っている野球選手
「野茂英雄」……この人もお忘れなく
【ただいま読書中】『20億の針』ハル・クレメント 著、 井上勇 訳、 創元推理文庫、1963年(85年23刷)、430円
著者の作品で初めて読んだのは『重力への挑戦』でした。で、たぶん本書は著者のものでは2冊目。ハインラインの『人形つかい』とほぼ同時期だったかな。「異星生物」を描く作家の姿勢がここまで違うのか、と感銘を受けましたっけ。
「ホシ」を追跡して宇宙空間を飛行していた「捕り手」は、ホシもろとも地球に墜落してしまいます。この異星人は重さ4ポンド程度のゼリー状の体で、惑星上では大きな生物の体内に寄生して酸素や栄養を受け取り、見返りとしてその褒賞を与えるという共生生活を送る生物でした。「捕り手」は浜辺に打ちあげられ、寄生できる生物がやって来るのを待ちます。
ここでの浜辺の描写が徹底的に「異星人の視点」からなのが新鮮です。異星人から見たら地球人もまた立派な「異星人」なのです。
「捕り手」は首尾良く、地球人の少年バブ(ロバート)の体内に潜り込みます。彼(それ?)の使命は、同族の犯罪者を逮捕すること。しかしそのためには「この星」「この文明」「この種族」がどのようなものかを知る必要があります。幸い少年は寄宿舎学校の学生だったため、学習は順調に進みます。しかし、どうやって少年に自分の存在や使命を知らせたら良いでしょうか。そして、それに成功したとして、次は「ホシ」をどうやって探せば良いでしょう。おそらく「ホシ」も人類に寄生しているはずです。しかし20億(本書発表当時の世界人口)の中からどうやって特定の一人を探し出せます?
「人間の中に潜んだ協力的な異星人」と言えば、私はすぐに「ウルトラマン」を思い出すクチです。で、この“二人”のコミュニケーションはきちんと成立してしまいます(それも、論理的でちっとも不思議ではないやり方で)。
容疑者は20億人、ではさすがに物語が成立しにくいので、まず第一段階のスクリーニングで160人に、ついで第二段階で数人に容疑者は絞り込まれます。ところが様々な事件が続き、容疑者は全員“シロ”であることがわかります。さて、また「20億人」に戻さなくちゃいけないのか、と思っていると、ちゃんと“名探偵”が容疑者を特定してしまいます。いや、きちんと伏線は張ってあったので、フェアな展開ではあるのですが。ただ、いくら“犯人”を特定できても、15歳の少年がその人を“逮捕”はできません。ではどうするか、の問題が生じます。そして……
ちょっと古風な文体ではありますが、物語としては今読んでも十分楽しめます。さて、次に読むべきは本書の続編らしいタイトルの(まだ私は未読です)『千億の針』です。