女学校生徒の作品の中には生活文化の変化で活用目的が不明な物もあります。
押し絵と同じつくりの着物の後ろ姿で、吊るすように紐がつけてあります。
ここに入るのは帯結びでしょうか。
裏面です。
観音開きで、片方の紐は失せていますが、左右の紐を中央で結んで収納したのでしょう。
開いた中です。
贈答品やお祝い品など、その折々の包装法だったのかもしれません。
左右の端には大小のタトウがあり、それを開いたところです。
現在でも着物は一枚づつ和紙のタトウ紙に包まれていますので、産着や七五三の衣類のお祝いの贈り物に飾り物造りの見本かも知れません。
中央のものは上下違う折り方です。
実際の場合は、両端の折り方のどちらか一方に上下とも揃えて折りますが、2種類の飾り折りがあるという意味の見本ではないでしょうか。
贈答品の包装に心を配る国柄ですから、地域だけの特徴なのか、身分階級によるものなのかはわかりません
私が小学生まで生活したススキを使った草葺きの生家の鴨居には、親戚縁者から贈られた同形に折った和紙の祝儀袋がズラーーっと貼られていました。
農協の売店にのし袋が並ぶようになると、もう誰も和紙で折らなくなりました。