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「家づくり」の周辺で感じることを、建築士がなんとなくつぶやき解説しながら・・・自由に語るかも

スジカイの秘密

2007-05-25 06:37:23 | 家づくり

5-18:スジカイの秘密

耐震性能を語る上で、木造住宅にはスジカイを避けて通ることは出来ません。震災以後、スジカイの量が少なすぎるとか、バランスが悪いとか・・・一般向けの誌上では大体のところこういったゴシップが目に付くのです。

それでは、「スジカイの秘密」に迫ります。

先ず、スジカイの量は、建築基準法により地震力や風圧を考慮した計算式により定め、定められた量以上のものを施工することになっています。

次に、バランスよく配置する訳ですが、最近では剛心(強さのバランス軸)と重心(建物の面積的な中心)が出来るだけ近い事がバランス具合を探ったり、建物をタテヨコ4分割しそれぞれのスジカイ量を満足させる方法などがあります。

この2点で、表向きは何にも問題は無いのです。それでは秘密って何でしょう?

これまでの、量とバランスの計算は1階と2階がバラバラに考えられたことに問題があるのです。というか、別物として考えれることに問題があるのです。上下階のつながりの無いスジカイは一部の材に負担をかけたり、効果の薄い無駄なものであったりします。

たとえば、下階に柱が無いのにスジカイが上階にあり、梁に余計な荷重をかけるもの・・・頭つなぎ(梁と梁をつなぐ短い梁部材)の小さく短いものにスジカイを入れる・・・ようは、縦方向にスジカイを見ることが出来ていないのです。

計算上、同じ量でも耐震性能には大きな違いがある訳です。

今日の住宅現場では、お構いなしに施工されている事実を知らなくてはなりません。パソコンに頼る計算と未熟な現場施工者が多いためと思われます。そして、スジカイが入っているから大丈夫というものでもない事実を・・・

工事現場で、スジカイを見るだけで大工さんや会社の質が垣間見れます。

次回は、「補強金物のカラクリ」について話しましょう。


間取りのズレ

2007-05-24 16:02:35 | 家づくり

5-17:間取りのズレ

耐震性能を見抜くということで、今回は、間取りのズレについて考えます。

イワユル「乗りが良い」といわれる間取りの方が、耐震的にも強いことは間違いではないのですが、全てがすべて、乗りを良くしたところでとても住めるような空間構成を造ることは難しいのです。大まかな見方をした場合、総2階建ては理想ですが、ぐるりと下屋が廻った日本家屋が極端に弱いわけではありません。

そこで、一般的な木造住宅の2階6帖間から考えることにします。

6帖を囲む4面の壁、下階にも同じように壁があることが良いのですがそれは無理というものです。2面もしくは3面あれば良いといえます。が、時には全く無い事もあります。(一般的な住宅において1階にLDKの大空間、2階に個室を配置するスタイルにあります)これでは「間取りにズレ」があり不安ですね。

そこで、6帖の4隅にある柱の下階の状態を・・・4隅の同じ位置に柱があることが理想的です。これだけで、壁は無くとも柱だけでもあれば何とかなります。

木造住宅の場合、柱があるところに梁や桁と呼ばれる横架材が集まってきます(そういう造りになっています)。垂直荷重は勿論ですが、水平方向の揺れに対して強くなります。その柱の延長に壁があれば大丈夫です(チャンとしていれば・・・)。

「間取りのズレ」は大まかなところで四角く形成されていれば問題はありません。ポイントは「柱の位置」にあるようです。上棟時や最近流行の構造見学会で柱の位置をチェックすると面白いかもしれません。6帖が8帖?と錯覚を起こしそうな大きな梁で囲んでいるところが、最初に触れた「大まかな」構造なのです。「柱の位置」がシッカリしていればある程度は補整が可能なのです。

次回は、「スジカイの秘密」について考えます。


頼りすぎてはイケナイ                           

2007-05-23 22:04:38 | 家づくり

5-16:頼りすぎてはイケナイ

近年の建物は、地震に対する構造強度について、ことさら注意をはらった建物造りをしている。一般の木造住宅においても同じで、耐震補強金物や面材耐震パネル、剛床パネルといった類いの技術製品のおかげで強度を上げていった。

それで大丈夫か?という疑問を投げかけるとする・・・計算上は・・・と答えるしかない。残念ながら、これが今日の大多数を占める木造住宅の生産である。

これらの製品は一度根を上げるともろい物となる性質を持ち合わせているのです。同時に使う場所ひとつで意味の無い耐震補強になるわけです。特に、これで大丈夫!これなら安心!的な使い方には注意が必要で、あくまで補強ということを忘れてはいけないのです。

次回より、解かりやすく耐震性能を見抜く力を考えていきましょう。


スイッチのはなし

2007-05-22 22:04:43 | 家づくり

5-15:スイッチのはなし

家を建てるとなると、アー使用コー仕様と色々と考えるものである。最近では照明器具も凝ったりするものである。で、その照明にホボ付きもののスイッチのはなしです。

ここのところ、バリアフリーという言葉の影響かスイッチはとりわけ大きい物が主流のようである。老化しても押しやすい事で間違いではなさそうである。大体のところ、床から1300mmほどの高さに設置するものである。そういえば、あるHMでは両手がふさがっていても操作できるように高さを若干低めに設定しているところもあった。

使い易さから見ると間違いではなさそうである。

さてさて、ここで和室のスイッチを考えることにする。その前に、「和室の襖(入口)をどうやって開けますか?」という質問を投げかける・・・部屋の前で座って開ける・・・昔の人は、そして、座って閉める・・・昔は、   そう!座っているのです。

どうせ座っているなら、スイッチを低くシツラエル事も間違いではないのでは・・・と思う。

今時、和室の襖(入口)を開ける時に部屋の前で座るヒトはいったいどの位いるだろうか?意味が無いかもしれない・・・

ただひとつ、日本古来からの作法みたいなものを継承するには、有効なシカケになるはずである。


ビルトイン?新聞受

2007-05-19 09:50:20 | 家づくり

5-14:ビルトイン?新聞受

朝起きて、新聞を取りに行くのが日課の人も多かろうと思うのですが・・・あなたは何処まで取りに行きますか?

たぶん、外まで出る方はクローズタイプのアプローチがあり、門扉の所までパジャマ姿で歩きます。玄関に届く方は、比較的オープンな暮らしが目に浮かびます。大体のところ、インターホンの屋外機設置場所近くに届くことになります。

ということで、今日のお題は「ビルトイン新聞受」です。

先にも述べたように、パジャマ姿で取りに行け、ノーメイクでも大丈夫、朝寝坊してもご近所さんに知られない、雨が降っても大丈夫・・・など等、理由もいっぱいある優れものです。最近では、特に人気が高いのです。

失礼!昔からありました。が、何となくのぞき窓の様な構造でしたね?

人気も高いのですが、思い付くのは少し遅れ気味になりがちで追加工事になります。そうすると、追加料金は安く押さえるように簡単に付けてしまうのです。

で、結局のところ昔タイプののぞき窓風になります。差し込んだままか、押し込まれると床に散乱してしまいます。(0点)

それを解決する為に、シューズクロークに設置しました。なるほど、今度は覗かれる事はありません。(20点)でもまだ問題が・・・内側の棚受を入り口と同じ高さにしてしまいました???折りたたまれた新聞が次から次に押し寄せ詰まったところで外に溢れてしまいました。(15点)棚受けを10cm程下げれば2,3日分は大丈夫なのですが・・・(50点)

ここまでで、エ~50点と思うでしょ?

防火の対策を忘れています。火を放たれても直ぐには燃え広がらない工夫が必要です。アルミやステンレスとかで内部に箱を作る事が大切です。(100点)

何でも簡単に決めるよりも、一度立ち止まって考えることが大切なのです。便利の裏側にはリスクがあるということですね。こんな商品しらな~いって業者さんもいますが・・・一体型で3万円くらいからありますので・・・興味のある方は自力で探してくださいな(笑)