「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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秋葉原の凶行から考えること

2008-06-10 14:00:22 | 署名などの報告(会の活動報告)
秋葉原の凶行について思うのですが、
もちろん通り魔事件というのは、
一定の頻度で今まで起きてきていて、
精神医学的にも犯罪予防的にも
全面的にとめることは
ほとんど無理に近いのですが
それでも今回の事件はいろいろと
考えさせることは多いです。
たぶんメディアを中心にして、記号的な場所に
仕立て上げられた秋葉原で
あの事件を引き起こすことが
あの男にとって重要なことであったことは
間違いないでしょうし、
ある類の欲望をシンボライズした場そのものが
いろいろな事柄を引き起こす誘因になりえます。
欲望が街にどういう形で反映させるかを
街を形成する人々がもう少し思考することが
どうしても必要な気がしています。

また、男が手にできた凶器が
武器として設計された
両刃のダガーナイフ(刃渡り13センチ)
であったことから
ああいった犯行形態にいたりました。
殺傷能力はサバイバルナイフよりも
高いものだそうです。
これが銃が楽に入手できれば
乱射という形をとったことは間違いないでしょう。
銃は規制されているから
日本での銃犯罪は少ないことからすると
だとすれば、
人体を連続的に殺傷する能力のある
刃物全般について
販売・保持に関して
もっと統括的な規制を
かけるしかないかもしれません。
通常の刃物よりも連続的に人を殺せるだけの
頑強さをもった刃物が
本当に必要な用途は何か
警察庁は考えてもよいと思います。

それから、
この男の供述を真に受けて
話をするべきではないと僕は思います。
会社で満足すべき立場にない人や
自分のすべきことを見出せない人や
実は世の中の大半です。
だからといって
こんなおろかなことをする人間は
もちろん、ほぼ皆無です。
こいつの内面分析は不可欠ですが
この男の動機に本質的な意味を
見出すことは
意味あることにつながらないと
考えます。

2トントラックという
大きな車を歩行者天国に突っ込ませなければ
場を支配できないと考えた人間の
ダガーナイフでの連続凶行は
多くの人の死と悲しみをもたらしました。
ぼくらにとっての実効的な予報策が
限定的なことが
現代日本の閉塞的な環境を
反映していると思います。

直接、
長井健司とこのことに関係はありませんが
長井さんをめぐるぼくらの運動は
こうした悲劇を生み出さないためにも
世界の中のいろいろな人々に
思考し行動することを促しているものでもあります。
こうした無差別テロ行為を
否定し続ける運動体であることが
たぶん、求められ続けていることは
間違いありません。
そのためにも一人でも多くの方に
いろいろなことを考え始めてほしいと
訴えている訳なのです。