中沢彰吾×竹田圭吾 「『中高年ブラック派遣』とは?」2015.05.25
派遣法改悪の問題
派遣法改悪の国会審理が山場を迎えていて、衆議院厚生労働委員会での採決が近いとの報道もでています。
ですが、国会の場に、当事者である派遣労働者の生の声が、全く伝わっていません。
簡単にまとめると、今回の派遣法改悪は、2つの大問題に集約できます。
1つが、一生派遣の問題。
これまで派遣は、一応臨時的・一時的なものとされてきました。ですが、今回の改悪はこれを事実上取っ払い、一生派遣を合法化してしまいます。
2つめが、「3年でクビ切り」の問題。
これは、あまりこれまで注目されてきませんでしたが、派遣労働者の職を奪うことにつながる、重大問題です。
これまで(多くの方は正社員の道がなく生活のためやむを得ず)専門26業務で派遣を続けてきたのに、3年で雇用を失わせることになってしまうという問題です。
派遣労働者はどう感じているのか?
今回の改悪の2つの問題について、肝心の当事者である派遣労働者の声が、ほとんど国会には反映されずに、審議が進められています。
この間、私も参加した日本労働弁護団の緊急派遣ホットライン結果や、非正規労働者の権利実現全国会議で実施中のアンケートには、様々な派遣労働者の声がよせられています。
いくつか、派遣労働者の声を紹介したいと思います
派遣労働者の声を聴け!~当事者の声を無視した派遣法改悪の採決は許されません~
派遣法改悪の国会審理が山場を迎えていて、衆議院厚生労働委員会での採決が近いとの報道もでています。
ですが、国会の場に、当事者である派遣労働者の生の声が、全く伝わっていません。
簡単にまとめると、今回の派遣法改悪は、2つの大問題に集約できます。
1つが、一生派遣の問題。
これまで派遣は、一応臨時的・一時的なものとされてきました。ですが、今回の改悪はこれを事実上取っ払い、一生派遣を合法化してしまいます。
2つめが、「3年でクビ切り」の問題。
これは、あまりこれまで注目されてきませんでしたが、派遣労働者の職を奪うことにつながる、重大問題です。
これまで(多くの方は正社員の道がなく生活のためやむを得ず)専門26業務で派遣を続けてきたのに、3年で雇用を失わせることになってしまうという問題です。
派遣労働者はどう感じているのか?
今回の改悪の2つの問題について、肝心の当事者である派遣労働者の声が、ほとんど国会には反映されずに、審議が進められています。
この間、私も参加した日本労働弁護団の緊急派遣ホットライン結果や、非正規労働者の権利実現全国会議で実施中のアンケートには、様々な派遣労働者の声がよせられています。
いくつか、派遣労働者の声を紹介したいと思います
派遣労働者の声を聴け!~当事者の声を無視した派遣法改悪の採決は許されません~
実質賃金は前年比3.0%減で4年連続のマイナス
厚生労働省が、5月19日に発表した2014年度の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は前年比3.0%減で4年連続のマイナスでした。この下落率は、現在の方法で統計を取り始めた1991年度以降で最大となっています。
月別にみても、同省が5月1日に発表した3月の毎月勤労統計調査(速報)で、実質賃金は前年同月比2.6%ダウンで、23カ月連続でマイナスとなっています。
実質賃金が下がり続ける理由
問題としているのは、額面上の給与である「名目賃金」ではなく「実質賃金」で、物価の上昇との関係を考慮に入れたものです。額面上の賃金が増えても、それ以上に物価の上昇が大きいと家計に余裕は生まれません。
実質賃金が下がり続ける理由は、名目賃金の上昇が見られるものの、それ以上に物価上昇が大きいからです。一番の犯人は、昨年4月の消費税率引き上げです。税率アップ・2%分そのままの物価上昇をもたらしました。その後、少しずつ消費税率引き上げの影響が薄らいできたものの、原発稼働停止による電気料金の値上げが続き、さらには急激な
実感できない景気回復、実質賃金が下がり続ける理由
厚生労働省が、5月19日に発表した2014年度の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は前年比3.0%減で4年連続のマイナスでした。この下落率は、現在の方法で統計を取り始めた1991年度以降で最大となっています。
月別にみても、同省が5月1日に発表した3月の毎月勤労統計調査(速報)で、実質賃金は前年同月比2.6%ダウンで、23カ月連続でマイナスとなっています。
実質賃金が下がり続ける理由
問題としているのは、額面上の給与である「名目賃金」ではなく「実質賃金」で、物価の上昇との関係を考慮に入れたものです。額面上の賃金が増えても、それ以上に物価の上昇が大きいと家計に余裕は生まれません。
実質賃金が下がり続ける理由は、名目賃金の上昇が見られるものの、それ以上に物価上昇が大きいからです。一番の犯人は、昨年4月の消費税率引き上げです。税率アップ・2%分そのままの物価上昇をもたらしました。その後、少しずつ消費税率引き上げの影響が薄らいできたものの、原発稼働停止による電気料金の値上げが続き、さらには急激な
実感できない景気回復、実質賃金が下がり続ける理由
維新の党が採決を受け入れる姿勢に転じたため、派遣法案の衆院通過が見えてきてしまいました。
改正派遣法:今国会で成立へ…維新、採決受け入れ
派遣法改正案、衆院採択へ…維新と自公折り合う
上記の報道によれば、維新の党が提出している「同一労働同一賃金」の議員立法の成立に、与党が協力するということで、これまでの「徹底審議」という姿勢を一転して、採決容認に転じたということです。
なお、採決では維新の党は反対する予定とのことです。
素人目に見ても「無理筋」な政治取引に応じてしまった維新
しかし、この維新の党の姿勢には首を傾げざるを得ません。
維新の党は、労働政策について、
同一労働・同一条件の徹底により、正規雇用と非正規雇用の垣根の解消。
出典:維新の党「基本政策」
と掲げています。
これが維新の党の基本政策ですから、この政策の実現の確約が取れたというのであれば、与党と妥協する政治もあるのだろうと理解できます。
ところが、報道によると、今回は「施行後3年以内に法制上、財政上、税制上の措置」などを講じるとの文言を入れることで満足してしまったといいます。
言うまでもありませんが、同一労働同一賃金を実現するためには、使用者にそれを義務づけしないといけませんが、これについては「企業への同一賃金の義務づけなど必要な法制上の措置は今後の検討課題にとどまるため、実現するかどうかは不透明だ。」と毎日新聞が報道するとおり、全く確約は取れていません。
私は政治の世界の駆け引きについては全くの素人ですが、素人目に見ても、この程度で妥協するのは、維新の党はいいように与党に利用されているだけにしか見えません。
反対するのなら徹底審議の姿勢を崩しては筋が通らない
維新の党は採決では反対する姿勢は崩さないようです。
反対するほど問題のある法案だという認識があるのでしたら、最後まで徹底審議して、抵抗するのが筋だと思います。
そもそも、これでは派遣法案成立推進派からも支持されませんし、もちろん、反対派から見れば、成立に手を貸した「戦犯」であり、やはり支持を得られません。
誰得なの?と思わざるを得ません。
少なくとも維新の党に支持が集まる政治姿勢とは言えません。
もっとも、維新の党といえども一枚岩ではなく、いろいろな考えの議員がいるものと思います。
維新の党の良識ある議員は、この派遣法案の成立にこういう形で手を貸すことについてどう思っているのでしょうか。
今からでも遅くありません。引き返す勇気も必要です。
もう一度、徹底審議の構えをとってほしく思います。
法案は派遣労働者にメリット全くなし
そもそも、派遣という働き方が臨時的・一時的でなくてはならないのは、間接雇用ゆえ、中間搾取が存在するからです。
もし派遣に期間がなければ、労働者の賃金から永遠と中間マージンが抜き取られ、本来は労働の対価としての賃金が派遣元業者に永遠に「天引き」されることになります。
この構造が臨時的・一時的であれば許容される、というのがそもそもの派遣法の始まりだったはずで、期間の限界なく派遣されることは、本来はあってはならない形でした。
今は「派遣」という働き方が広く浸透していますので、想像しにくいですが、元来、派遣先で長期に働くのであれば、単なる人材紹介でよく、派遣である必要はないのです。
現行法下にも、専門26業務と呼ばれる業務についての派遣には期間の限界はありません。
ただ、これも一応「専門」だからという言い訳があります(もちろん、その26業務の中には「専門」といえるのか疑問であったり、実際は専門的でない仕事をさせているという例もあって、これだけでも問題は多いのですが・・)。
いずれにしても、長期間、同じ派遣先で働くことを前提に労働者を供給することは、これまでは否定的に考えられていました。
しかし!
今回の派遣法改正案は、これを完全に転換し、派遣元と派遣労働者が無期の労働契約を結べば、期間に関係なく派遣先で働くことができることになります。
その間、派遣労働者は中間マージンを取られ続けます。
期間の限定無く人を送り込むのであれば、人材紹介でよく、何も派遣にすることはないはずですが、派遣先はいつでも切れる労働力がほしく、派遣元も送り込む分だけ売上になるといううま味があるので、こういう形を作ることは悲願だったのでしょう。
他方、法案では、派遣労働者と派遣元が有期契約を結んでいる場合は3年という限定がつきます。
したがって、人をコロコロ変えながら同じ業務に永遠に派遣社員を使い続けることができます。
そのため、派遣先としては現行法の「業務単位」の制限がなく、ずーーっと派遣労働者を合法的に使えることになるので、派遣労働者が直接雇用される機会は激減することが想定されます。
「一生ハケン」と批判される所以はここにあるのです。
政府も直接雇用の契機が現行法より減ることは重々承知しており、派遣元に派遣先へ直接雇用を「頼む」ことを義務づけています。
しかし、派遣先には何らの義務もないので、ほとんど無意味です。
そもそも派遣元的にも派遣労働者が直接雇用されてもメリットはないので、どこまでがんばって「頼む」のかも疑問があります。
やばい!維新の党が徹底審議の方針を転換したため派遣法改悪案が衆院通過の危機!!
改正派遣法:今国会で成立へ…維新、採決受け入れ
派遣法改正案、衆院採択へ…維新と自公折り合う
上記の報道によれば、維新の党が提出している「同一労働同一賃金」の議員立法の成立に、与党が協力するということで、これまでの「徹底審議」という姿勢を一転して、採決容認に転じたということです。
なお、採決では維新の党は反対する予定とのことです。
素人目に見ても「無理筋」な政治取引に応じてしまった維新
しかし、この維新の党の姿勢には首を傾げざるを得ません。
維新の党は、労働政策について、
同一労働・同一条件の徹底により、正規雇用と非正規雇用の垣根の解消。
出典:維新の党「基本政策」
と掲げています。
これが維新の党の基本政策ですから、この政策の実現の確約が取れたというのであれば、与党と妥協する政治もあるのだろうと理解できます。
ところが、報道によると、今回は「施行後3年以内に法制上、財政上、税制上の措置」などを講じるとの文言を入れることで満足してしまったといいます。
言うまでもありませんが、同一労働同一賃金を実現するためには、使用者にそれを義務づけしないといけませんが、これについては「企業への同一賃金の義務づけなど必要な法制上の措置は今後の検討課題にとどまるため、実現するかどうかは不透明だ。」と毎日新聞が報道するとおり、全く確約は取れていません。
私は政治の世界の駆け引きについては全くの素人ですが、素人目に見ても、この程度で妥協するのは、維新の党はいいように与党に利用されているだけにしか見えません。
反対するのなら徹底審議の姿勢を崩しては筋が通らない
維新の党は採決では反対する姿勢は崩さないようです。
反対するほど問題のある法案だという認識があるのでしたら、最後まで徹底審議して、抵抗するのが筋だと思います。
そもそも、これでは派遣法案成立推進派からも支持されませんし、もちろん、反対派から見れば、成立に手を貸した「戦犯」であり、やはり支持を得られません。
誰得なの?と思わざるを得ません。
少なくとも維新の党に支持が集まる政治姿勢とは言えません。
もっとも、維新の党といえども一枚岩ではなく、いろいろな考えの議員がいるものと思います。
維新の党の良識ある議員は、この派遣法案の成立にこういう形で手を貸すことについてどう思っているのでしょうか。
今からでも遅くありません。引き返す勇気も必要です。
もう一度、徹底審議の構えをとってほしく思います。
法案は派遣労働者にメリット全くなし
そもそも、派遣という働き方が臨時的・一時的でなくてはならないのは、間接雇用ゆえ、中間搾取が存在するからです。
もし派遣に期間がなければ、労働者の賃金から永遠と中間マージンが抜き取られ、本来は労働の対価としての賃金が派遣元業者に永遠に「天引き」されることになります。
この構造が臨時的・一時的であれば許容される、というのがそもそもの派遣法の始まりだったはずで、期間の限界なく派遣されることは、本来はあってはならない形でした。
今は「派遣」という働き方が広く浸透していますので、想像しにくいですが、元来、派遣先で長期に働くのであれば、単なる人材紹介でよく、派遣である必要はないのです。
現行法下にも、専門26業務と呼ばれる業務についての派遣には期間の限界はありません。
ただ、これも一応「専門」だからという言い訳があります(もちろん、その26業務の中には「専門」といえるのか疑問であったり、実際は専門的でない仕事をさせているという例もあって、これだけでも問題は多いのですが・・)。
いずれにしても、長期間、同じ派遣先で働くことを前提に労働者を供給することは、これまでは否定的に考えられていました。
しかし!
今回の派遣法改正案は、これを完全に転換し、派遣元と派遣労働者が無期の労働契約を結べば、期間に関係なく派遣先で働くことができることになります。
その間、派遣労働者は中間マージンを取られ続けます。
期間の限定無く人を送り込むのであれば、人材紹介でよく、何も派遣にすることはないはずですが、派遣先はいつでも切れる労働力がほしく、派遣元も送り込む分だけ売上になるといううま味があるので、こういう形を作ることは悲願だったのでしょう。
他方、法案では、派遣労働者と派遣元が有期契約を結んでいる場合は3年という限定がつきます。
したがって、人をコロコロ変えながら同じ業務に永遠に派遣社員を使い続けることができます。
そのため、派遣先としては現行法の「業務単位」の制限がなく、ずーーっと派遣労働者を合法的に使えることになるので、派遣労働者が直接雇用される機会は激減することが想定されます。
「一生ハケン」と批判される所以はここにあるのです。
政府も直接雇用の契機が現行法より減ることは重々承知しており、派遣元に派遣先へ直接雇用を「頼む」ことを義務づけています。
しかし、派遣先には何らの義務もないので、ほとんど無意味です。
そもそも派遣元的にも派遣労働者が直接雇用されてもメリットはないので、どこまでがんばって「頼む」のかも疑問があります。
やばい!維新の党が徹底審議の方針を転換したため派遣法改悪案が衆院通過の危機!!
大学生らを酷使する「ブラックバイト」の問題で、厚生労働省が学習塾業界に、適正に賃金を支払うよう異例の要請をしていたことがわかった。「未払い賃金がある」といった相談が労働組合などに相次いでおり、業界全体で改善に取り組むよう求めている。
講師らが授業時間の前後に働かされているのに賃金が支払われていない事例があり、厚労省が調べていた。残業の割増賃金を支払わなかったり、時給が最低賃金を下回ったりする例もあったという。
厚労省は具体的な件数を公表していないが、労働基準法や最低賃金法の違反事例も目立つとして、塾業界で不適切な労務管理が広まっている可能性があると判断。労働基準局長からの改善の要請文を、全国学習塾協会や私塾協同組合連合会など関係7団体に3月末に送った。
要請文では、労働基準監督署が実際に指導した違法なケースを例示している。授業後に生徒からの質問対応をさせる際に、時間給ではなく一律「100円」だけ払っていた事例もあったという。
全国学習塾協会は、約470の塾運営会社などに内容を伝えて法令順守を徹底させるようにした。担当者は「一部の塾による賃金未払いは、業界が以前から抱える
塾のブラックバイト、厚労省が改善要請 違法な例示す
講師らが授業時間の前後に働かされているのに賃金が支払われていない事例があり、厚労省が調べていた。残業の割増賃金を支払わなかったり、時給が最低賃金を下回ったりする例もあったという。
厚労省は具体的な件数を公表していないが、労働基準法や最低賃金法の違反事例も目立つとして、塾業界で不適切な労務管理が広まっている可能性があると判断。労働基準局長からの改善の要請文を、全国学習塾協会や私塾協同組合連合会など関係7団体に3月末に送った。
要請文では、労働基準監督署が実際に指導した違法なケースを例示している。授業後に生徒からの質問対応をさせる際に、時間給ではなく一律「100円」だけ払っていた事例もあったという。
全国学習塾協会は、約470の塾運営会社などに内容を伝えて法令順守を徹底させるようにした。担当者は「一部の塾による賃金未払いは、業界が以前から抱える
塾のブラックバイト、厚労省が改善要請 違法な例示す