会社はエゴむき出しの場
昨年は、衰退していく国らしく、犯罪やモラルに反する行為をする会社が後を絶ちませんでした。名が通った大企業も、問題を次々と起こしました。釈明の記者会見では、社長や役員らは自己弁明に徹し、自らの判断や考えを正当化しました。社員や労働組合は反旗を翻すわけでなく、頬かむりをしたままです。
会社はエゴむき出しの場であり、自己主張や自己正当化が激しい人のためにあるのだ、とあらためて確信します。
会社という競争社会では、他人を押しのけ、這い上がることが暗に奨励されています。社長になった者は過去をねつ造して、「清く・正しく・美しい経営者」を演じます。社長がこんな有り様だから、大半の会社員は、採用試験で嘘に嘘を塗りかためた「自己PR」をしたことも、入社後、お客さんや取引先に嘘をついたことにも口をぬぐっています。同僚の昇進・昇格に一喜一憂し、妬んだことも隠します。ひぼう中傷をしたことも白状しません。
もちろん、上司や先輩が同僚をいじめていても、助けることはしませんでした。上司の側につき、いじめに加担する者もいます。同僚が辞めると、「うちの会社に向いていなかった」と、20~30年も働いたかのような物言いをします。
管理職になると、自らの身を脅かす部下を他部署へ異動させたり、人事評価で低く扱ったりします。部下が自分の意見などを否定することを言えば、報復をします。部長や本部長になると、社長になったかのような発言を繰り返し、自分に酔います。
社長になると、嘘の上に嘘を塗り固め、生きています。この人たちは、強いエゴや虚栄心、自己顕示欲、出世欲などがあるからこそ、勝ち名乗りを上げることができたのです。
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常に自分は正しく、常に部下の側に問題がある
私は、こういう悪党たちを皮肉っているのではありません。もちろん、彼らを冷めたまなざしと軽蔑の思いで眺めていることは事実です。しかし、実は私もここまでひどい悪党ではなくとも、グレーの男なのです。
例えば、会社員の頃、30代半ばのとき、40代後半の上司を心の底から軽く見ていました。ほかの部員がいる前で、ののしったことがあります。あまりにも要領をえない人でした。判断や意思決定がスムーズにできないのです。それにも関わらず、現場をかき回し、私たちに非をなすりつけます。「常に自分は正しく、常に部下の側に問題がある」という考えに凝り固まっています。部下としては、迷惑極まりなかったのです。
上司も私に因縁をつけてきたり、喧嘩をしかけてきたりしましたから、両成敗でしょう。しかし、一応は上司です。ずいぶんと自尊心を傷つけられたに違いありません。私も、プライドに傷をつけられました。今でも、憎しみを持っています。
やはり、私はグレーの人であり、模範になるタイプではないのです。私だけでなく、その部署にいたほかの社員のほぼ全員が、悪党の1歩手前の、プチ悪党でした。20代後半から30代前半の女性社員が数人いましたが、なかなかの悪です。
上司が、30代前半の男性社員をいじめいても、無関心を装います。それどころか、男性社員のミスを針小棒大に騒ぎ、上司に報告をしていました。自分がいじめを受けないように、予防線を張っておこうと
職場は妖怪の棲む世界