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弱法師

2011-03-18 00:25:15 | 日記
弱法師

弱法師は三島由紀夫の近代能楽集に収められた戯曲集の1つである。近代能楽集は以前読んだことがあり、好きな本の一つである。

近代能楽集の中で、特に弱法師が強烈に記憶に残っている。それは劇場に足を運び、演劇の舞台を生で観たからだ。蜷川幸雄演出。藤原竜也主演。卒塔婆小町との二本立て。しかし圧倒的に強烈に記憶に残っているのは、弱法師だった。

舞台装置は真に簡素。戦争で目が見えなくなった男のお話なのだが、弱法師の告白が始まると、周囲の登場人物が消えていき、まさに弱法師の一人舞台となる。

弱法師の告白は、戦争での体験を生々しく語り、次第に精神状態が耐えきれないほど、告白は熱を帯びエスカレートしていく。そのすさまじい体験を狂おしく叫ぶ、その恐怖が自分が見た最後の光景であると嘆く。

この熱演ぶりを蜷川幸雄が演出し、藤原竜也が演ずる。テレビで見る藤原竜也は、あまり印象が少なく興味をもたなかったが、この舞台での存在感は圧倒的だった。私は、その時、この人は舞台栄えする人なんだな、と感じた。

とにかく、数少ない私の舞台観劇の中でも、もっとも心に焼きついた舞台だった。

後記
その後、藤原竜也主演の映画「カメレオン」を観た。この時の藤原竜也はカッコ良かった。
コメント
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