ナカナカピエロ おきらくごくらく

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怒りの残業170時間 epilogue

2011-05-04 01:05:23 | 日記
怒りの残業170時間 epilogue

結局6月ぐらいから12月にかけて半年程、この案件の対応に費やした。お正月は実家でゆっくりと過ごすことができた。

1カ月で残業170時間と言っても、前後の月も100時間超の残業をしていたから、まあ大変だった。

会社の規則で長時間残業すると健康診断を受けることになっており、私はお正月の休み明けに診断を受けた。そうしたら、医師から、”熱がある”と言われ、薬をもらってすぐ帰るように命じられた。

私は上長に事情を話して寮に帰り、体温計で熱を計ったら、40度の熱があった。私の平熱は36度5分で、これまで熱があると言っても、せいぜい37度5分がいいところだ。私は体温計が壊れているのではないかと、目を疑った。苦しくはなかったが、一週間高熱が続いた。インフルエンザである。

ようやく熱が引き、病みあがりで出勤した時、アメリカのテクニカルスタッフは、私のことをずいぶん心配してくれたらしい。復帰を喜んでくれた。また最初は猜疑心を持って見ていた上長も、今回の苦難を共に乗り越えたことで、私を一技術者と認めてくれた。その後、部署は分かれてしまったが、今でも兄貴のように私と親交してくれている。

非常につらかったが、振り返れば、とても稀有で価値ある時間だった。頑張って良かったと思う。とにかく、最後に皆が幸せで終われてよかった。とりあえず、”終わりよければすべてよし”である。

でも、もう二度と経験したくない。というより、経験しなくともよいようにするためにどうするべきか、考える知恵をもつべきである。この経験には学ぶべき点が多い。

私が座右の名としている”おきらくごくらく”は、一見ふざけているように見えるが、実は難しい渡世なのだ。
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怒りの残業170時間 episode 9

2011-05-03 01:45:36 | 日記
怒りの残業170時間 episode 9

その後、苦労したかいがあったのか、事態は収束方向に進みつつあった。ついには、お客さまの不具合も見つけて報告するまでに至った。少しずつだが、お客さまの信用も取り戻していった。

そしてお客さまの納期を遅らせることなく、無事システムのサービスが開始できた。多分、今でも動いていると思う。

私には、もう怖いものなどなかった。
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怒りの残業170時間 episode 8

2011-05-03 01:38:59 | 日記
怒りの残業170時間 episode 8

その後も、製品の不具合が多発。

平日の午後7時頃、上長から不具合の連絡があり、調査のために必要な資料を言ったら、”そんなので分かるのか?”といぶかしく聞かれたので、私は”分かるっ!”と一喝した。

資料を貰ったら、開発元に問い合わせるまでもなく、明らかに不具合個所を特定できた。10時ぐらいに、私は修正したものをメールで送って確認依頼を上長に電話で伝えた。

問題ないことの確認ができると、メールで添付したものが”正式な修正版”になってしまった。本来なら絶対にありえないんですけど。しかしこの異常な対応の速さにお客さまも驚いたようだった。何より私の技術力に疑心暗鬼だった上長から強い信頼を得たことが大きかった。

その後、発生した問題も開発元に依頼しつつ、何とか自力で問題の個所を見つけて、徹夜で直し、修正版を作成した。アメリカの会社には修正のチェックをしてもらった。その日に発生した不具合は、徹夜してでも、次の日までには何とか直して、お客さまに修正版を提供した。

度重なる不具合に対し、迅速な対応を続けることにより、最悪の事態はなんとか回避できた。
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怒りの残業170時間 episode 7

2011-05-03 01:33:57 | 日記
怒りの残業170時間 episode 7

その後、我々の製品の不良が現地で発生し、アメリカのテクニカルリーダーに連絡して、修正版を大急ぎで作ってもらった。問題の個所が正しく処理されていることを早急に確認し、その修正版を即品質担当部署の人が、現地に持っていった。現地は飛行機に乗って行かなければならない程、遠かった。

修正版を適用した後、立ち会って対策確認したところ、別の個所で。。。

   内部エラー

まさかの対策失敗。一番やってはいけないことをやってしまった。現地からすぐに連絡が来て、資料が送られてきた。

私は大急ぎで調べ、この問題の回避策を見つけた。そしてさらに調査をしていたところ、”偉い人”がツカツカやってくるのが視界に入った。私は、無視、無視と言って調査を続けていたところ、いきなり頭の後頭部を、皮張りの手帳で、パシッ!とはたかれた。そして、”おまえ、なにやってるんだよー。もー。”と言われたが、仕方がなかった。

”回避策はあるのか”と聞かれ、”ある”と答えたら、またツカツカと歩いて嵐のように去って行った。

現地に修正版を持っていった品質担当の人も”長年この仕事しているけど、こんなの初めてだ”と言われた。

ここまでくると、もうギャクにしかならなかった。
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怒りの残業170時間 episode 6

2011-05-02 02:56:56 | 日記
怒りの残業170時間 episode 6

”偉い人”は意外にも結構面白いおっちゃんだった。

とにかく、お客さまのプログラムを理解しなければならないと思ったのか、”来いっ!”と言われ、同じ画面を二人で肩を並べながら、お客さまのプログラムを見始めた。そして、”これは何だっ”という質問に、私は一つずつ説明をした。

同じファイルでも、ファイルを見るツールがお互い異なり、”何で、君はこのツールを使わないのか。こっちの方が便利だろ。”と言われたが、”いや、そっちは正規表現が使えないんすよ。”と言ったら、”ほう。好みの問題なんだな。”と言って笑った。

その後、我慢できなくなったのか、お客さまのプログラムを全て印刷するよう秘書に命じたらしい。大昔はよくやっていたことだ。その後、私は”偉い人”から会議室に呼ばれた。”偉い人”は一人ぽつんと座っており、その前に高さ30cmはあろう紙の束が積みあがっていた。

”偉い人”は一言言った。”ナカナカピエロ君、一体これ、どうすればいいんだ。” 私は内心、”知らねーよ、そんなの。てめーが秘書に命じたんだろうが。”と思ったが何も言えなかった。

また”偉い人”は一言言った。”ナカナカピエロ君、これじゃあ、ただの紙の無駄使いじゃないか。” 私は内心、”知らねーよ、そんなの。てめーが秘書に命じたんだろうが。”と思ったが何も言えなかった。

”偉い人”は放心状態だった。

その後、この案件は一筋縄ではいかないと思ったのか、方針を変え、事態の収拾を加速すべく、現地にいる上長と連絡をとって、細かい指示を出していった。
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怒りの残業170時間 episode 5

2011-05-02 01:48:00 | 日記
怒りの残業170時間 episode 5

ついに上長と部長が現地で拘束され、こちらの対応は、私だけになった。課長は別のプロジェクトばかり面倒を見て、この案件の面倒など、見てはくれなかった。

そういうことになると、部長よりももっと偉い人が対応せざるを得なかった。本当なら、しゃべることすらできない雲の上の存在の人だ。しかも以前、我々の部の部長を歴任しており、おっかない人で有名だったそうだ。

その”偉い人”と品質担当部署の部長と配下の恐い人たちで、会議をしているらしく、ひっきりなしに電話がかかって来て説明しては電話を切り、すぐまた電話がかかってくる。その繰り返し。何もできねえじゃねえか!と思っていたら、ついに会議に呼ばれ、今回発生している問題の技術的内容を説明しなければならなくなった。

何で役職もない末端の担当者が、”偉い人”や品質担当部署の部長配下の恐い人たちの前で説明せねばならないのかっ!一体、私は何者なんだ?と捨て鉢になって説明いるところに、アメリカのスタッフから電話がかかってきて、英語で対応。

もう何がなんだか、訳わかんねーよっ!と自分の不運を嘆いた。
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怒りの残業170時間 episode 4

2011-05-01 02:22:51 | 日記
怒りの残業170時間 episode 4

アメリカの技術者が支援にやってきた。

UCLA大学出身で大学では日本語を習っていて、ほんの少しなら日本語が話せる。とても格好が良く、庶務担の女性の間でうわさになっていた。ベジタリアンで食事は少し難儀したが、宮崎駿のアニメが好きだと言っていた。

しかし、こいつが全然使いものにならなかった。まず出社するやいなやガールブレンドと長電話。障害調査も一向に進まず、夜の10時頃まで働かせるな否や、次の日は午後から出社し、”僕にはこうなるのが分かっていた”と言い訳を言う。泣いたような腫れた目をしながら、仕事をしていた。

上長と相談し、もうほっとけ、という話になった。最初の来日で、さぞかし期待をもっていただろう。申し訳ないと思ったが、ここはアニメの世界ではなく、戦場なのだ。悪いがすぐさま帰国させた。

その後、向うの会社の取り締まり役から電話があった。彼も少し日本語が話せる。私を気遣って”Are you all right?”と言ってくれた。もう半分頭がおかしくなった私は、”I'm OK. I'm safe. Because I'm alive.” と言って自嘲気味に笑いながら、まるで戦場にいるかのような返答をした。彼は日本語でねぎらってくれた。

上長は、徹夜もいとわず、屈強でタフな技術者を依頼したらしい。今度は、その取締役とともに大リーガーのような大男を連れてきた。しかし結局は頼りにはならなかった。

しかし、まあ、さぞかし日本人はcrazyだと思ったことだろう。
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