だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

夏休みと言えば・・・本の紹介?!  ~さくまゆみこの巻~

2014年08月07日 | クリエーター・モード
翻訳家・さくまゆみこさん

ワタクシメ、翻訳本は苦手で、絵本については語れるほどの知識はありませんが、今回はさくまゆみこさんが翻訳なさった絵本を何作がご紹介します。

まずはざっくりとプロフィールから・・・

東京生まれの翻訳者、編集者。
アフリカ子どもの本プロジェクト代表。
青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など多数。
翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。


さくまさんとの出会いは10ン年前(といってもネットの中ですが)
ワタクシメ、時々「岡田なおこ」で検索を掛けて、ちまたでの自分の評判をリサーチします(苦笑)
当時エッセー集《なおこになる日》が出た頃で・・・簡単には言い表せませんが・・・もろもろナーバスになっていました。
そんな時に検索に引っかかったのが、さくまゆみこのHP《バオバブの星と木のうた》

このHPの中の「子どもの本で言いたい放題」というコーナーで拙著が取り上げられていました。
結構けちょんけちょんに批評されていましたがwww
ワタクシメ自身も「なおこになる日」の創り方には不満があったので、「けちょんけちょんでスッキリした感」もあったのです(複雑な気持ち)
ネットで自分を検索して、その後で先方にメールすることはないんですが、
さくまさんには、ワタクシメの“複雑なスッキリ感”を伝えたくてメールを差し上げたら、お優しい励ましのメールが返ってきました。
それがお付き合いの始まりです。

でも、ワタクシメ、さくまさんの翻訳された本の紹介文を書いていました。
メールが先か?
紹介文が先か?
気づかぬうちにご縁があって(?)、最近はFacebookで毎日のようにさくまさんからの発信を見て勉強させていただいています。
ご本人とは面識はないかも知れませんが(笑)、ワタクシメはさくまさんを身近に感じているので、「本の紹介 第二弾」は翻訳絵本にしました!

※ 初っ端から余談になりますが、若き日のワタクシメが真面目に書いた紹介文はこちら⇒-ハンディを負ったモノの描き方「海外の童話にみる障害者像」-font>


一押しは「やくそく」

Amazonの「著書一覧」を見たら、あまりに数が多いので、ワタクシメが紹介するまでもないと思いましたが(笑)、やっぱり書きます。

やくそく  2014/2/1  ニコラ デイビス (著), ローラ カーリン (イラスト), BL出版。



内容(「BOOK」データベースより)

わたしは、スリだった。じぶんと同じようにまずしい人たちから物をぬすんで、生きていた。
ある晩、くらい通りで、ひとりのおばあさんに出会った。カバンをひったくろうとすると、おばあさんが言った。「おまえさんにやるよ。これを植えるってやくそくするんならね」
あのとき、おばあさんとかわした「やくそく」。
その意味に気づいたとき、少女は、それをまもるためにうごきはじめた。


少女がおばあさんから盗んだカバンにはどんぐりが入っていました。
少女は「やくそく」を守り、どんぐりを植え続けます。
どんぐりを植えることで森ができます。
絵本のページをめくるたびに、画面が明るく優しく変化していきます。
それは、すさんだ街・ささくれた人の心が再生を表現しています。
本の表紙から前半はグレーで暗い画風ですが、どんぐりを植えることで変わる街々は個性的に美しくなっていきます。
ワタクシメは「個性的に変わる」ところが好きです。
「花さか爺さん」のように、バーッと明るくなるのではなく、街によって、そこに生きる人々によって、息遣いが違うということ。
内容的に子どもには難しいと思いましたが、「絵」だけ見ていても作者が訴えたいことは伝わってきます。

スリの少女は次の街、次の街とどんぐり(希望の種)を植えていきますが、ある晩、若い泥棒が「カバン」を盗もうとしました。
その時、少女はにっこりして「やくそくするならね」と言いました。
自分がおばさんから渡されたように、少女も泥棒に「どんぐり」を託します。
「盗んだ・盗まれた」ではありません。
両者の間に「約束」があれば、それは「バトンを託す」ことにシフトできるのです。

ーー人の気持ちが変わることを、わたしはもう知っていたから。
  やくそくがつながっていくことが、もうわかっているから。

                  この言葉で、物語は締めくくられます。


プロフィールにも書いた通りさくまさんは「アフリカ子どもの本プロジェクト代表」をなさっていて、アフリカの子どもだけでなく貧困や内戦に苦しむ子どもたちの心に寄り添っておられます。
「やくそく」はさくまさんの、祈りにも近いを信条を表していると感じました。
国内外を問わず、きな臭い風が吹いている昨今、私たち一人一人ができることは、地道にどんぐりを植え希望をつなぐことだと思います。


※ たびたび余談ですが(*_*;
  この作品、東京新聞2014年4月4日の暮らし欄、長田弘さんの「小さな本の 大きな世界」で取り上げられました。
  ワタクシメは「小さな本の 大きな世界」を欠かさず読んでいます。
  まさにこの作品は「小さな本の 大きな世界」ではないでしょうか!?


バラエティーに富んだ作品群

さくまさんが、どのような基準で作品を選ぶのか? 依頼された作品を訳すのか存じませんが、ジャンルやグレードが幅広く驚きました。
でも逆に、さまざまなジャンルをこなすことで一層「作品を見る目」が肥え、知識が豊富になり、たくさんの作品を手掛けられるのでしょうね(^^ゞ

  200冊目(たぶん)となる「ちいさなタグは おおいそがし」は読み聞かせ童話です。

 「海のひかり」は学絵本ですね。ワタクシメのチョー苦手分野(-"-)
理科の好きな子どもにオススメ。

 「ひとりでおとまりしたよるに」 
『トムは真夜中の庭で』を描いた巨匠・ フィリパ・ピアス作、絵はヘレン・クレイグ。
ピアスとクレイグには、「共通の孫」がいて、孫たちのために創られた絵本のようです。ほのぼの系でバタークッキーの香りがしました。

 「ネルソン・マンデラ」。”そのものズバリ!“です。
表紙だけで打ちのめされそうな迫力です。この一作とさくまさんはどのように向き合われたか、機会があればお尋ねしたいです。

異なる分野の本を4作選んでみましたが、もっともっと素晴らしい作品を翻訳されています。
眠れない熱帯夜、絵本の読み比べ等いかがでしょうか(*‘ω‘ *)




コメント
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