だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

真面目なお出掛け「ドリアン助川さん」の巻

2018年12月19日 | 日記
正しくは「フォーラム『子どもの本の翻訳 フランスの子どもたちに届いた『あん』〜」


12/15、今年最後の「お出掛け」・・・たぶん(笑)
日本ペンクラブ「子どもの本」委員会主催の、翻訳フォーラム。一年を締めくくるにふさわしい真面目な所に行ってきました♿
映画を観て大ファンとなった、話題の一冊「あん」(ポプラ社)。
  ※ ネット通販@amazonの日本文学部門で1位となっているそうです。

2013年に出版され、2015年に故・樹木希林さん主演で映画化。
樹木さんが亡くなられてから注目度が増した気もしますが、ブルガリアでの刊行が決まり、『あん』は日本語を入れると世界14言語での作品となりました。
なかでもフランスが熱いそうです。

原作を読まれたり、映画を観た方はわかると思いますが、「フランス人が好むだろうなー」という作品です。

フォーラムは完成したばかりの「日本出版クラブのホール」で行われました。
新しい建物でおまわりさんに尋ねても場所がわからなかった・・・というオマケも付きましたが(笑)とても有意義な時間を過ごせました。

原作者のドリアン助川さんさんとフランス語訳されたミリアンさんとの対談。進行役は翻訳家の河野万里子さん。

『あん』が世界中に広がった理由について考えたり、
翻訳の際の裏話(?) 「どら焼き」を翻訳するにあたり思慮されたこと(どら焼きに限らず、その国にしかない物を他国に伝える苦労話)
今年の2月にアルザスの小中学校で行なった講義のエピソード。
ドリアンさん自身による朗読。
日本語とフランス語と読み比べ・・・などなど。

盛りだくさんなトークショーでした。



「あん」が世界で読まれている理由

まず「あん」をご存知ない方のために、ネットからあらすじを抜粋しご紹介します。

桜の咲き乱れる公園に面したどら焼き屋、『どら春』で、辛い過去を背負う千太郎は雇われ店長を続け、日々どら焼きを焼いていた。
ある日この店を徳江という手の不自由な老婆が訪れ、バイトに雇ってくれと千太郎に懇願する。
彼女をいい加減にあしらい帰らせた千太郎だったが、手渡された手作りのあんを舐めた彼はその味の佳さに驚く。
徳江は50年あんを愛情をこめて煮込み続けた女だったのだ。
店の常連である中学生ワカナの薦めもあり、千太郎は徳江を雇うことにした。
徳江のあんを使ったどら焼きのうまさは評判になり、やがて大勢の客が店に詰めかけるようになるが、
店のオーナーは徳江がかつてハンセン病であったとの噂を聞きつけ、千太郎に解雇しろと詰め寄る。
そしてその噂が広まったためか客足はピタリと途絶え、それを察した徳江は店を辞めた。
徳江を追い込んだ自分に憤り、酒に溺れる千太郎。ワカナは彼を誘い、ハンセン病感染者を隔離する施設に向かう。
そこにいた徳江は、淡々と自分も自由に生きたかった、との思いを語るのだった。


この物語はハンセン病の徳江が主人公ではありますが、「ハンセン病患者の苦悩」を声高に描いていません。
淡々とあんこを作る徳江。
時に「小豆の声」を聴きながら作業する姿は、仙人のようにも見えるのです。
徳江はすべての生き物の声を聴き、目には見えない姿も感じ取り、なぜ生きているのか? なぜ生まれてきたのか?
その答えを見出し、千太郎とワカナに語ります。
その光景は美しく、「言葉」が読者の心にすーっと沁みてゆきます。

「本」においては、文字として、
「朗読」すれば、音として、
そして「映像」にしても、
その世界観はとても自然で、読者(リスナー・観客)を包み込んでくれます。

「生まれてきたわけ」
「生きていくこと」

万国共通、誰でも自問自答するテーマでしょう。
それを作家・詩人・歌手・道化師というユニークなパーソナリティのドリアンさんの切り口で描いた故、
若者から高齢者まで、各々の感じ方で共感し読める作品に仕上がったのだと思います。



まだお読みでない方は、ぜひお手に取って下さい。
長編ですが、読みやすいので、すぐ読めます❣

どうしても「本は苦手ー」という方は、映画(DVD)をご覧になって👀
ほぼ「原作通り」ですから。

「あん」の世界に身を置くと、人生のリセットボタンを押した気がしますよ。
年末年始、「リセットボタン」を押す時間を作ってみてはいかがでしょうか?





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする