だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

「人間力」とでも申しましょうか!?

2013年10月21日 | クリエーター・モード
“岩崎京子“先生から学んだこと

前回「恩師・岩崎京子先生云々」と書き、改めて、
ーー岩崎先生に何を教わったかな? と、考えてみたら、何も思い出せません、ワタクシメ。

先生とお近づきになれてから四半世紀になります。
デビューの際には大変お世話になり、ずっと励ましていただいてきましたから、
ーー何もないはずはない!

実はフォーラムの後、寝ても覚めても居眠りしてても「岩崎京子先生に教わったこと」を考えていたんですが(マジです)、具体的に「このことをご指導いただいた」と書けないのです。

岩崎先生は御年91才(92才だったかも・笑)。
いずれにせよ、ご高齢です。
が~~~、お元気です p(^_^)q

3年位前に講演を聞きに行きましたが、90才(卒寿)を過ぎたら、ますます元気(笑)

ワタクシメが先生と知り合えた頃、体調も悪くご家族にご不幸が続き、岩崎先生には常に「お大事に!」とごあいさつしていた記憶がありますが・・・

先生いわく、
「卒寿を迎え、人間を卒業した」 (笑)

いえいえ、
“岩崎京子”という人は、お若い頃から「人間を超えた人間)だったのではないかしらん!
ワタクシメを含め周りの凡人たちが勝手に、
「岩崎先生、大丈夫かしら?」と心配していただけで、岩崎先生自身は昔も今もお元気で、漂々としていらしたような気がします。

岩崎先生は、
やさしくて、キュートで、チャーミングです。
好奇心旺盛でおてんばな女の子が親の目を盗み、大人になってからは夫の留守中に(笑)、こっそりいたずらしていたら・・・
「あら、こんなことになっちゃったわ。どうしましょう」と、顔を隠している感じ。
とっても可愛らしい方(おばーちゃまです)。

でも、フォーラムの時「新作」についての質問が出たら、
「企業秘密…」と上手にかわされていました。
フォーラムにK社の編集さんが来ていたから、ワタクシメには予想ができましたが、90過ぎたおばーちゃまが「企業秘密」を握ってるって、スゴイことです(@_@;)

後で、岩崎先生の「すごい功績」をざっくりご紹介しますが・・・

ワタクシメ、この四半世紀を本気で振り返りまして、
ーー岩崎先生から学んだのは「人間力」ではなかろうか、と。
そんな結論に達しました。


例えば、「取材の裏話」もお聞きしたことはありますが(随筆に書かれているかも知れませんが)、岩崎先生のお話は、まさに「口伝」で、直接聞いた者にしかわからない「匠の技」といったところ。

「可愛いおばーちゃま」になりすましておられるけれど、誰もいなくなると「ヘンシン!」して、馬車馬の如くお仕事をされているのだと思います。

岩崎先生は現在でも原稿は「手書き」とのことです。
前回の講演では、
「ワープロを覚えてもそんなに先はないから(笑)、手書きのままでいく」とおっしゃっていましたが、
先生の頭の中に「ワープロ」があって、ブラインドタッチですらすら言葉を紡ぎ出しているのだと思います。

そう「思わせる」ほど、岩崎先生は精力的にご執筆されているんです。





“岩崎京子”といえば、「かさこじぞう」です

「かさこじぞう」が、最初に国語教科書に掲載されたのは、1959年。
「かさこじぞう(笠地蔵)」はスタンダードな昔話で、何人もの作家が再話して絵本もたくさん出ています。
1959年当時、まだ無署名の「かさこじぞう」でしたが、1977(昭和57)年から「岩崎京子作」として4社の教科書で、小2年生の教材として一斉に掲載。
現在も教科書教材として採用されている息の長い教材の一つです。

30数年間、日本中のどの子も小2になると必ず「岩崎京子作・かさこじぞう」を読むということです。
「これって、すごい・・・」と、評論家の藤田のぼる氏がおっしゃっていましたが、
ーー本当にすごい! “岩崎京子”は国民的な作家なのだわ  ( ..)φ

「昔話≒児童文学」はマイナーなジャンルですが、子ども(つまりは人間)の中に自然に浸透していく力を持っていると言えるでしょう。
前回書いた、小沢俊夫先生のお話にも共通します。

いろいろなタイプの作家さんがいて、書き方、スタンスも様々です。
甲乙つけることはできませんが、ワタクシメは「人間力」で書き続ける岩崎京子先生と出会えて幸せです。

最近ナンもカンもが「お疲れモード」のワタクシメですが、岩崎先生の約半分しか生きていません。
人生を一からやり直すことはできないけれど、自分の中で眠っている「人間力」を引っ張り出すことはできるかも知れません。

今回の講演の中で岩崎先生はチョロリと、
「死ぬのが惜しくなった」とおしゃいました。
ーーこれぞ、まさに「人間力!」
子どもに伝えていきたいですね。


岩崎京子先生、ありがとうございました。



参考資料
岩崎京子、東京生まれ。
1959年、短編「さぎ」で児童文学者協会新人賞を受賞。
1963年、『シラサギ物語』で講談社児童文学作品受賞。
1970年、『鯉のいる村』で野間児童文芸賞、芸術選奨文部大臣賞受賞、
1974年、『花咲か』で日本児童文学者協会賞を受賞。
2009年、横浜文学賞受賞。
2010年、『建具職人の千太郎』で第40回赤い鳥文学賞を受賞。
その他、著書多数。
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