家族から家の中にアリがいる、この間もらった柿についていたのじゃない?と聞かれた。11月14日のことである。マンションの高階に住んでいるので、アリがやってくることはまずないと思っていたのだが・・・。台所を見ると、数は少ないけれど、確かに小さなアリが歩いている。柿は畑の草むしりをしたお礼にもらったものだ。それだと、どうせよく知った種類だろうと思ったのだが、一応、採集をして、冷凍庫に入れておいた。忘れるといけないと思って、昨日、冷凍庫から取り出して、検索をやってみた。
採集したのはこんなアリである。体長を測ってみると、3.1 mm。結構、小さなアリである。今回は検索に「日本産アリ類画像データベース」の検索キーを使わせていただいた。検索した結果、ヤマアリ亜科アメイロアリ属のケブカアメイロアリになった。忘れないうちに、まとめてブログに出しておくことにした。
①腹柄は1節(腹部第3節は第4節とほぼ同じかむしろ大きい)
②腹部末端に刺針を欠く;腹部第1節と第2節の間にくびれがない
③腹部末端は円すい形で丸く開口し、多くの属ではその周囲に輪毛がある ヤマアリ亜科
④胸部や腹柄節に突起はない
⑤中胸の気門は背面もしくはごく背方よりに位置する
⑥大あごは多少とも三角形で複数の歯がある
⑦前胸背板は短い;腹柄節は比較的薄く偏平
⑧触角は12節
⑨前伸腹節の気門はほぼ円形
⑩複眼は頭部側面中央部に位置する アメイロアリ属
⑪触角柄節は頭部後縁を越えても,越える部分は柄節の1/2以下;複眼は小さく,その後端から頭部最後縁までの距離は,複眼の直径の約3倍
⑫前伸腹節背面に剛毛はない;触角第3,4節は幅よりも長さが大きい
⑬前胸背板に4対以上の剛毛がある
⑭体色は黒褐色;中胸背板には3対以上の剛毛がある ケブカアメイロアリ
検索はこの14項目を確かめていったのであるが、検索キーは絵解きになっているので分かりやすい。実際の検索ではこの14項目を順に調べていくのだが、そのために何度も同じ写真を使うことになるので、ブログではいつも写真ごとにまとめて出すことにしている。
最初は中胸背板から腹部にかけて斜め上から写したものである。この写真は生物顕微鏡に10倍の対物鏡を取り付け、ステージを少しずつ上下させ、全部で50枚ほどの写真を撮り、Windows用のフリーソフト「CombineZP」を用いて深度合成したものである。ただし、このソフト、最近のWindowsには対応していないのか、途中で止まってしまうことがよくある。それでも、何とか出来あがった画像をここでは載せている。この写真では、腹柄節が1節であり、中胸の気門が背側にあること、腹柄節が薄く扁平なこと、それに前伸腹節に剛毛が生えていないことを確かめる。
次は腹部末端の写真で、やはり生物顕微鏡で40枚ほど写真を撮って深度合成をした。この写真では、腹部末端に刺針がないこと、腹部末端は円錐型で丸く開口し、その周囲に毛が生えていることを見る。
これは顔面を撮ったものである。この写真で大顎をみるのはちょっと苦しいが、顎の一部にある歯が見える。この項目自体は鎌状の大顎を持つサムライアリを除外する項目なので、これでもOKであろう。
この写真は実体顕微鏡で20枚ほど写真を撮り、深度合成したものである。この写真から腹部に特にくびれのないこと、トゲアリに見られるような突起が胸部や腹柄節にないこと、アシナガキアリのように前胸背板が伸びていないことを見る。
これは触角を実体顕微鏡で撮ったものである。この写真では触角が柄節(1番)を含めて12節あること、触角第3,4節に特に異常がないことを見ればよい。
これは前胸背板から前伸腹節までを背側から生物顕微鏡で撮ったものである。この写真では前伸腹節気門が円形であることがよく分かる。同時に中胸の気門が背側についていることも分かる。
これは頭部を斜め上から実体顕微鏡で写したものである。複眼が頭部側面中央にあることがよく分かる。触角柄節は長いが、頭部を越える部分が柄節の1/2以上にはなっていないことはすぐに分かる。次の「複眼は小さく,その後端から頭部最後縁までの距離は,複眼の直径の約3倍」はよく分からなかった。というのは、複眼の直径と頭部の端までの直線距離で比較するのか、それとも、文章にあるように頭部最後縁までの距離を頭部の曲線に沿って測るかである。どちらにしても、柄節の長さがそれほど長くないので、いいことにした。
最後は毛についてである。毛は深度合成をすると消えてしまうことがよくあるし、深度合成をしないとピントが合うのがごく一部だけになるので、毛の数まで写真で数えるのは至難の業である。ただ、前胸背板に4対以上あることは確かだし、⑭では、頭部と胸部が黄色のオガサワラアメイロアリと比較するので、体色が黒褐色だけというのでよいだろう。
ということで、ケブカアメイロアリということになった。「日本産アリ類図鑑」によると、このアリは東南アジア原産で、もともとは小笠原諸島や南西諸島に分布していたが、最近では鹿児島、広島、兵庫、大阪、愛知、神奈川、東京などで確認されているようである。実は、このアリ、2022年2月22日にも調べていたことをすっかり忘れていた。この時はアレチウリについていたアリを捕まえて調べたようだった。奈良県のこの辺りにもかなり分布しているのであろう。
一応、標本を置いておかなくてはと思って、こんな風にチャック付きのクリアパックに入れて保存した。以前はドイツ箱何十箱かに保存していたのだが、奈良に引っ越して部屋が狭くなったので、最近は、アリとか、ハエとか、小さな甲虫とか、こんなささやかな標本だけを残すことにしている。
採集したのはこんなアリである。体長を測ってみると、3.1 mm。結構、小さなアリである。今回は検索に「日本産アリ類画像データベース」の検索キーを使わせていただいた。検索した結果、ヤマアリ亜科アメイロアリ属のケブカアメイロアリになった。忘れないうちに、まとめてブログに出しておくことにした。
①腹柄は1節(腹部第3節は第4節とほぼ同じかむしろ大きい)
②腹部末端に刺針を欠く;腹部第1節と第2節の間にくびれがない
③腹部末端は円すい形で丸く開口し、多くの属ではその周囲に輪毛がある ヤマアリ亜科
④胸部や腹柄節に突起はない
⑤中胸の気門は背面もしくはごく背方よりに位置する
⑥大あごは多少とも三角形で複数の歯がある
⑦前胸背板は短い;腹柄節は比較的薄く偏平
⑧触角は12節
⑨前伸腹節の気門はほぼ円形
⑩複眼は頭部側面中央部に位置する アメイロアリ属
⑪触角柄節は頭部後縁を越えても,越える部分は柄節の1/2以下;複眼は小さく,その後端から頭部最後縁までの距離は,複眼の直径の約3倍
⑫前伸腹節背面に剛毛はない;触角第3,4節は幅よりも長さが大きい
⑬前胸背板に4対以上の剛毛がある
⑭体色は黒褐色;中胸背板には3対以上の剛毛がある ケブカアメイロアリ
検索はこの14項目を確かめていったのであるが、検索キーは絵解きになっているので分かりやすい。実際の検索ではこの14項目を順に調べていくのだが、そのために何度も同じ写真を使うことになるので、ブログではいつも写真ごとにまとめて出すことにしている。
最初は中胸背板から腹部にかけて斜め上から写したものである。この写真は生物顕微鏡に10倍の対物鏡を取り付け、ステージを少しずつ上下させ、全部で50枚ほどの写真を撮り、Windows用のフリーソフト「CombineZP」を用いて深度合成したものである。ただし、このソフト、最近のWindowsには対応していないのか、途中で止まってしまうことがよくある。それでも、何とか出来あがった画像をここでは載せている。この写真では、腹柄節が1節であり、中胸の気門が背側にあること、腹柄節が薄く扁平なこと、それに前伸腹節に剛毛が生えていないことを確かめる。
次は腹部末端の写真で、やはり生物顕微鏡で40枚ほど写真を撮って深度合成をした。この写真では、腹部末端に刺針がないこと、腹部末端は円錐型で丸く開口し、その周囲に毛が生えていることを見る。
これは顔面を撮ったものである。この写真で大顎をみるのはちょっと苦しいが、顎の一部にある歯が見える。この項目自体は鎌状の大顎を持つサムライアリを除外する項目なので、これでもOKであろう。
この写真は実体顕微鏡で20枚ほど写真を撮り、深度合成したものである。この写真から腹部に特にくびれのないこと、トゲアリに見られるような突起が胸部や腹柄節にないこと、アシナガキアリのように前胸背板が伸びていないことを見る。
これは触角を実体顕微鏡で撮ったものである。この写真では触角が柄節(1番)を含めて12節あること、触角第3,4節に特に異常がないことを見ればよい。
これは前胸背板から前伸腹節までを背側から生物顕微鏡で撮ったものである。この写真では前伸腹節気門が円形であることがよく分かる。同時に中胸の気門が背側についていることも分かる。
これは頭部を斜め上から実体顕微鏡で写したものである。複眼が頭部側面中央にあることがよく分かる。触角柄節は長いが、頭部を越える部分が柄節の1/2以上にはなっていないことはすぐに分かる。次の「複眼は小さく,その後端から頭部最後縁までの距離は,複眼の直径の約3倍」はよく分からなかった。というのは、複眼の直径と頭部の端までの直線距離で比較するのか、それとも、文章にあるように頭部最後縁までの距離を頭部の曲線に沿って測るかである。どちらにしても、柄節の長さがそれほど長くないので、いいことにした。
最後は毛についてである。毛は深度合成をすると消えてしまうことがよくあるし、深度合成をしないとピントが合うのがごく一部だけになるので、毛の数まで写真で数えるのは至難の業である。ただ、前胸背板に4対以上あることは確かだし、⑭では、頭部と胸部が黄色のオガサワラアメイロアリと比較するので、体色が黒褐色だけというのでよいだろう。
ということで、ケブカアメイロアリということになった。「日本産アリ類図鑑」によると、このアリは東南アジア原産で、もともとは小笠原諸島や南西諸島に分布していたが、最近では鹿児島、広島、兵庫、大阪、愛知、神奈川、東京などで確認されているようである。実は、このアリ、2022年2月22日にも調べていたことをすっかり忘れていた。この時はアレチウリについていたアリを捕まえて調べたようだった。奈良県のこの辺りにもかなり分布しているのであろう。
一応、標本を置いておかなくてはと思って、こんな風にチャック付きのクリアパックに入れて保存した。以前はドイツ箱何十箱かに保存していたのだが、奈良に引っ越して部屋が狭くなったので、最近は、アリとか、ハエとか、小さな甲虫とか、こんなささやかな標本だけを残すことにしている。
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