初めて船越桂の彫刻を見たのは、天童荒太の単行本の表紙だったと思う。静かで荘厳なんだけど、ちょっと気持ち悪くて狂気を含んでいる感じがして近寄りがたかった。今も見る時は居住まいを知らず知らずにただしてしまうのだが、共感の感情も生まれてきている。魂を生み出しているじゃないか。僕もこんな彫刻をつくりたい。
ねこがきたよ。
うすよごれているきじねこで。
のらでずんぐりしてるやつ。
いつもだったらおっぱらうけど。
たいせつなものにおもわれて。
じっとみつめていたんだよ。
ねこはしばらくすわったまんま。
ちらちらとなんどかぼくとめをあわせ。
すうっとあるいていってしまった。
そのあとぼくはないたんだよ。
なみだはなく。
こえもなく。
うすよごれているきじねこで。
のらでずんぐりしてるやつ。
いつもだったらおっぱらうけど。
たいせつなものにおもわれて。
じっとみつめていたんだよ。
ねこはしばらくすわったまんま。
ちらちらとなんどかぼくとめをあわせ。
すうっとあるいていってしまった。
そのあとぼくはないたんだよ。
なみだはなく。
こえもなく。