パク・チャヌク監督による2003年の韓国映画『オールド・ボーイ』のハリウッドリメイクだ。企画当初からスピルバーグやウィル・スミスら大物の参入が報じられ、その後著作権を巡って原作の出版元双葉社が韓国の映画会社を提訴。流れ流れて公開まで10年の月日を要し、スパイク・リー監督、ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャルト・コプリーで撮影される事となった。香港映画『インファナル・アフェア』のリメイク『ディパーテッド』がオスカー作品賞に輝くなど、リメイクブームは言語や文化、さらには作家性の違いを楽しむ1つのジャンルとして定着した感も強い昨今、果たしてその仕上がりは…。
この機会にパク・チャヌク版を見直してみたが、韓国映画を見慣れた今になってもなおパワフルな“怨”のエネルギーに圧倒されてしまった。チェ・ミンシクのほとんど狂気の沙汰のような演技、ユ・ジテのヒールっぷり、ヒロイン役カン・ヘジュンの大胆さと演出に応えた俳優陣の演技も実に見応えがあった。
スパイク・リーも“熱気”においては引けを取らない映画作家だが、残念ながら本作はオリジナルに屈した失敗作と言わざるを得ない。何の理由もわからず20年間監禁された男の復讐劇、というプロットを損なう事なく踏襲したのはまだしも、チャヌク版のハイライトである横移動ワンカットの乱闘シーンをそのままフォローする等、リーは自らの作家性を試そうともしていないのだ。
当時、新進女優だったエリザベス・オルセンのヌードも辞さない熱演はマーベル映画で多忙を極める昨今からは想像もつかない大胆さであり、出世作『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で注目した身としては、多才な俳優を1つの役に押し込め、スケジュールを逼迫するマーベルの多作ぶりも如何なものかと思わなくもなかった。
『オールド・ボーイ』13・米
監督 スパイク・リー
出演 ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャルト・コプリー、サミュエル・L・ジャクソン
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