長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『窓辺の女の向かいの家の女』

2022-05-14 | 海外ドラマ(ま)

 なんとも奇妙なタイトルだが、原題も“The Woman in the House Across the Street from the Girl in the Window”。主人公アナが窓辺から向かいに住む女が殺される場面を目撃する…というヒッチコック風のサスペンスだ。彼女の通報によって警官が駆けつけるも、死体どころか殺人の痕跡すら見当たらない。アナはかつて起きた恐ろしい事件によってアルコールに依存しており、そもそも目撃者として信頼性が怪しいのだ。警察の捜査に納得がいかないアナは、素人探偵よろしく独自に事件の真相へと迫るのだが…。

 ここまで読んでもらえればわかる通り、アナは所謂“信頼できない語り手”であり、彼女の目から見える世界はちょっとおかしい。凄惨なトラウマにも関わらず主演のクリステン・ベルにまったく悲壮感がなく、かといってドラマはコメディにもサスペンスにも振り切らないのだ。この違和感の正体を確かめるべく全8話を付き合ってみれば、これはただただ作劇と演出の不手際ではないか。オチきらないオチにも腰が抜けてしまった。


『窓辺の女の向かいの家の女』22・米
監督 マイケル・レーマン
出演 クリステン・ベル、マイケル・イーリー、トム・ライリー、メアリー・ホーランド、シェリー・ヘニッヒ、キャメロン・ブリットン
※Netflixで配信中※

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