長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『王様のためのホログラム』

2019-09-03 | 映画レビュー(お)

2017年、トム・ハンクスはどういうわけかテック企業に勤める役柄が連続した。まんまスティーヴ・ジョブズ風のSNSサービス設立者を演じた『ザ・サークル』と、中東の王族にホログラフ投影機を売るセールスマンに扮した本作だ。砂漠のど真ん中に未来都市を建設しようとする王族と一介のサラリーマンの交流を描くお仕事モノかと思いきや、王様もホログラフも映画の主題ではなく、テーマは人生のやり直しだ。妻とは別れ、新しく着いたこの仕事にも大した熱意は湧かず、そして背中には何やら悪そうな“おでき”がある。ひょっとして、自分はそう遠くないうちに死ぬんじゃないだろうか?時差ボケで眠れぬサウジアラビアでトム・ハンクスは中年に危機に瀕するのである。テック企業である事は物語において重要な意味はない。ハンクスのさすがの貫禄で飽きはしないが、これでは散漫過ぎやしないか。

監督は『ラン・ローラ・ラン』『クラウド・アトラス』でも“生まれ変わり”を描いてきたトム・ティクヴァ。自ら脚色も手掛け、キャリアの転換を模索したのだろうか。


『王様のためのホログラム』16・米
監督 トム・ティクヴァ
出演 トム・ハンクス、アレクサンダー・ブラック、サリタ・チョウドリー、シセ・バベット・クヌッセン、ベン・ウィショー、トム・スケリット
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ザ・サークル』 | トップ | 『スイス・アーミー・マン』 »

コメントを投稿

映画レビュー(お)」カテゴリの最新記事