ロザムンド・パイクはさながら『ゴーン・ガール』の再演だ。主人公マーラ・グレイソンは裕福な高齢者をターゲットに後見人を請負い、資産を徹底的に搾り取る極悪人。「私に負けはない」と豪語し、非道の限りを尽くすこのヒロインをしかしながら痛快に演じている(恋人役エイザ・ゴンザレスの相性もいい)。マーラは身寄りのない老女ジェニファーに目を留め、狡猾な手段で老人ホームに送り込むが彼女には秘密が隠されていて…。
脚本も手掛けたJ・ブレイクソン監督はピーター・ディンクレイジ演じるロシアンマフィア登場のタイミングを決定的に見誤っているが(もう少し遅らせないとマーラが予想外の事態に追い込まれているサスペンスが機能しない)、強欲を是とするヒロイン像は格差が広がる今日の資本主義社会を象徴しており、醜悪ながら目を逸らせない魅力がある。なお後見人制度は特に日本のような高齢化社会には重要な仕事なので、誤解なきよう。
『パーフェクト・ケア』20・米
監督 J・ブレイクソン
出演 ロザムンド・パイク、ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス、クリス・メッシーナ、イザイア・ウィットロック・Jr.、ダイアン・ウィースト
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