よほどウマが合うのか2013年の『ローン・サバイバー』から始まる監督ピーター・バーグ、主演マーク・ウォールバーグのコンビも第5作目だ。当初はメキシコ湾重油流出事故を描いた『バーニング・オーシャン』や、ボストンマラソン爆破テロ事件を描いた『パトリオット・デイ』等、実録社会派映画路線だったが、2018年の『マイル22』でジャンル映画に転身。本作もロバート・B・パーカーの小説を基にしたクライムアクションだ。2人の個性を考えるとこちらの方が性に合っているのだろうが、実録映画路線で発展途上にあった気鋭コンビがわざわざNetflixでソフトスルーのB級映画を作った感は否めない。
上司に暴行を働き、5年間の服役を終えた元警官スペンサー。彼が警察内部の汚職に立ち向かう…という筋書きを詳しく紹介する必要はないだろう。地元ボストンを舞台にケンカっぱやく、反権力的なスペンサーを演じるウォールバーグはハマリ役。ここ20年ボヤキ老人しか演じていないアラン・アーキンや、『ブラックパンサー』のエムバクことウィンストン・デュークの暴れっぷりなど、わき役も程よい味加減である(デュークは所謂マジカルニグロ的扱いで、これにちょっとミスターT風味が足されている)。またウォールバーグの恋人を演じるコメディエンヌ、イリザ・シュレンガーはキャラクター性なんてまるでない役柄だが、出てくるだけですごく可笑しいのでぜひとも名前を憶えて帰りたい。シリーズ化を狙っている節があるので、その暁にはぜひとも全員再登板して欲しいところだ。
ウォールバーグが通りがかりの犬に襲われる場面が異様に長かったり、モンスタートラックを使ったダイナミックなアクションがあったりとバーグの演出は豪快な大味さで、わざとBの線を狙っている感がある。“ピーター・バーグと言えば『バトルシップ』”という人はぜひ。
『スペンサー・コンフィデンシャル』20・米
監督 ピーター・バーグ
出演 マーク・ウォールバーグ、ウィンストン・デューク、アラン・アーキン、イリザ・シュレンガー、マーク・マロン、ボキーム・ウッドパイン
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