ジェームズ・キャメロンがここ20年ほど映画化すると公言し続けてきた木城ゆきと原作『銃夢』がついに登場となったが、鉄を長く打ち過ぎた感はある。当初、監督を務める予定だったキャメロンは『アバター』続編に(かれこれ10年以上)専念するため製作、脚本に回り、監督にはロバート・ロドリゲスが抜擢された。ここ数年、マトモな映画を撮っているとは言い難いロドリゲスは雇われ仕事に終始しており、彼らしいデタラメな個性を感じさせるのはせいぜい酒場での乱闘シーンくらいだろう。
そしてこの20年はストーリーテリングも変えた。コミックや小説を原作とした映像化はMCUやPeakTVにおいて豊富な時間と資金、創造性が担保され、“原作〇巻分”といったダイジェスト的実写映画化はほとんど姿を見なくなった。かつては1作目のヒットが続編開発につながり、作者の語りたいナラティブが認められていたが、今はヒットと同等、それ以上にストーリーが重要視されていると言っても過言ではない。
さらにアメコミ映画全盛の現在、CG技術の発達によってマンガ的ルックスのキャラクターが実写で生身の役者と共存する事は容易となっており、アリータを全身CGで描き、原作コミックに近づけるという本作のアイデアは奇抜な実験で終わっている。
ちなみにクライマックスでは黒幕でエドワード・ノートンがカメオ出演。20年前は『ファイト・クラブ』で時代を揺るがし、最も次回作の気になる俳優だった。こんな所にも隔世の感である。
『アリータ バトル・エンジェル』19・米
監督 ロバート・ロドリゲス
出演 ローラ・サラザール、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ、エド・スクライン、ジャッキー・アール・ヘイリー
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この映画はCG技術が見どころの一つなんですね。
メインビジュアルを見た感じだと、確かにすごくリアルですね。
この映画の”奇抜な実験”というものをぜひ堪能してみたいです。
CG技術、表現は日進月歩なので、もうこの映画はちょっと古いかも…。