毎夜ジョギングをしていると無意識に月や星に目を向けている自分に気が付く。
月を見上げては、その色や満ち欠けの変化にちょっとだけ元気をもらって走ったりしている。
月明りで銀色に輝く雲とその隙間から覗く星々に、宮崎駿の世界じゃん・・・って呟いたり。
オリオン座の位置で季節の移り変わりを感じたり、流星群を見ながら走ったり。
おかげで、足を挫いたり・・・・・・。
北アルプス山行中、夜中にテントから出て、静まり返った稜線から満天の星空と天の川を見上げると、何時も音が聞こえて来る気がする。
それは星々が奏でる『チリチリッ チリチリリッ』って微かな音だ。
夜空から見えない糸で吊るされた、星形の繊細なガラス細工が擦れ奏でる音の様であり、氷の結晶が砕ける繊細な音の様でもある。
錯覚なのだろう、聞こえるはずの無い音が聞こえる。
幻想的な時間だ。
サン=テグジュペリの小説に『星の王子さま』と言う作品がある(世界で最も読まれている小説だそうだ)。
存在は知っていたが、内容は全く知らなかった。
十代の時に知り合った同級生から、この物語に出て来る『象を飲み込んだウワバミ』の話を聞いたのを今でも覚えている。(アレは電車の中でだった)
その人が星へ帰った王子さまの様に、遠い存在になって暫く経った頃『星の王子さま』を読んだ。
絵本も出ているし児童文学と言われる事もある様だが、この物語を子供が理解できるとは思えない。
『目に見えない大切なもの』を無くした大人に向けた物語なのだろう。
大好きになった。
この物語に出て来る、詩人の様な『キツネ』が一番好きだ。
あのキツネが、『アプリポワゼ』の意味を王子さまに教える場面、麦畑の金色と王子さまの髪の色を重ねるくだりで、キツネに心を鷲掴にされた。
なんて素敵な事を言う奴だ!ってね。
(日本語訳では『アプリポワゼ』を『飼いならす』『絆を結ぶ』『仲良くなる』等々、各本が訳しているが、中々日本語に訳すのは難しいそうだ)。
ラストの『五億の鈴』のくだりは、星を眺める人のロマンに満ちている。
サン=テグジュペリにも星々が奏でる音は、聞こえていたって訳だ。
彼と同じで、星空を眺めニヤニヤしている自分が嫌いじゃない。
~追記~
年に一二回行く金時山の近くには『星の王子さまミュージアム』がある。
俺自身は、一度も足を運んだ事が無いので・・・。
次の機会には行って来ようと思います。
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