母の余命があと1週間から10日と言われた。
元々若い頃から高血圧持ちの母、それが災いして腎不全となり、4年ほど前…80歳を目前にして透析を受ける様になっていた。
母を守らなければとの思いから、私が透析に連れて行ったり、家の事を行い、時に母に厳しく接して体調管理を促して来た。
しかし去年の秋、膀胱癌が発見された。(透析患者の発病率は高いそうだ)
一見気の強そうな、だが実は臆病な母は、何年も前から血尿が出ていたのに、それを誰にも報告していなかったのだ。
日本人には「悪い事」は、「口に出せば現実になってしまう」と考えて、思う事すら忌避する「言霊」の文化があるが…。
お袋はまさに「そんな事を言って、本当になったらどうするんだ」とよく口にする人間なので。
既に末期であった様だが、母の検査や手術に付き添った兄は、私や姉、母にも、その事を黙っていた。
元々、幼い頃から感が鋭い私は、それに気が付いていたのだが「そんな事は無い」と思いたい気持ちが強く、目を逸らしていた。
最近は母の肺に水が溜まるようになり、家でも酸素吸引が必要になって、トイレにも一人で行けない様になっていた。
どう目を逸らそうが、現実が迫って来ていた。
そして昨日、令和4年 2022年の7月7日。何時も通りの朝8時前、透析を行う病院へ送って行ったのだが、透析中に血圧が50代まで下がり、心不全を起こす危険性から透析が中止になり、癌でかかっていた病院へ救急車で搬送された。
その病院で医師から、母を除いた我々に「もう透析は難しい」と伝えられた。
透析患者が透析を行なってもらえないと言う事は、死ぬと言う事。
覚悟をしようと努めて来たが、いきなり「透析が出来ず、あと1週間から10日」と言われるのは辛いキツイ。
武漢から始まったコロナウイルスのせいで、病院では様々な制約と障害があり、面会すらままならない。
歳の離れた末っ子の私を溺愛している寂しがり屋の母は、きっと今も寂しい思いをしているだろう。
母のPCR検査が陰性なら、今日は母に面会できる。
兄は母に事実を告げる事を避けたい様だが、私はどの様な形にしろ残された時間が限られている事を母に伝えて、自宅へ帰るか、病院に残るのか、はたまた別の病院を探して移るのか、母の気持ちを最大限尊重して決めたい。
私が看病をすると決めているが、今まで以上にキツイ時間が待っていると想像できる。
残された僅かな時間は本当に限られているので、テレがあって今まで伝えられなかった母への思い(父の時は出来なかった)を、私の母に対する気持ち、恐れなくて良いこと、感謝と愛情を全部伝え、自宅で過ごすなら夜は隣に寝て、思い出話をして凄そうと決心している。
その時間だけは何とか残してくれます様に。
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