AM2:00位から、テントを叩く風が強くなった。
隣のテントから話し声と、人が外に出て何か作業する音がガサゴソと聞こえる。
恐らく、風でフライシートを固定する張り綱が緩んだのだろう。(殆どペグは効かない)
俺はこんな事も予想し、石でしっかりと固定してあったので問題なし。(ナイス俺!ナイス!)
『ヒュンヒュン、ヒュンヒュン』
昨夜の消灯時間で止まった風力発電のプロペラが再び回りだした。
10月6日、AM5:00頃起床。
作り置きの朝食を食べる。
昨夜は、カイロを背中に2枚と靴下の中に靴用カイロを入れて寝たのだが、少々寒かった。
時計の針が5:30を回った頃(と言っても時計は電池切れ)外に出てテントを撤収。
この日の天気は『曇り時々晴れ』の予報。
東へ目を向けると、上下の雲の間に富士山が顔を覗かせている。
北アルプス(南岳)から見た富士山3776m
空は曇っている。
しかし雲は高い所にあり、これから行く『大キレット』は、ガスも無く、まずまずのコンディション。
水が塩素臭かったのでポカリスエット500cc×2本を購入、2本で1000円なり。
(たけ~!今まで五色ヶ原山荘の一本350円が最高だった)
AM7:30、本日の目的地『涸沢』を目指して出発。
下半身の服装は昨日と同じ(パンツも同じ中身も同じ)
上は、『c3fitのパフォーマンスロングスリーブ』(筋肉のブレを軽減するピッタピッタのシャツ)
その上に『黒の速乾Tシャツ』(バグーハウス)更に『トレントフライヤージャケット』(モンベルのレインウエアー)
首にファイントラックの『バラクラバ』をネックゲーター代わりにし、手にはフリースのグローブ(手の平はラバー)
と、まあこんな恰好で、文字通り山を越え谷を越え紅葉とおでんと山ガールの待つ涸沢を目指して歩き出す。
南岳からキレットへの最初の鎖までは、トレッキングポールを一本だけ使って下る(ザレていて滑りやすい)
そこから先は両手と両足だけが頼み。
最低鞍部とは、簡単に言えば一番低い所(大キレットの最低鞍部は2748m)
ここでちょっとした小技を・・・
登山の登りでは、筋持久力の消費を抑える為、出来るだけ小股で段差を避けて登って行くのが基本と云われる。
しかし北アルプスは、そうは行かない段差のある急な登山道(道と言え無い所も)が続く場合も。
そんな時は『片足ぶら~ん』の出番。
①段差を右足で『よいしょっ』と登る、②両手は岩を掴みつつ右足の膝を伸ばし(三点支持)で身体を支える。
③この時、先の一歩で使った左足を写真の様に『ぶら~ん』として、回復・休ませる。(その間1~2秒)
④『ぶら~ん』した左足で次の段差を登る。
これを繰り返し登って行くと少し楽に、なお且つゆっくり三点支持で登って行く事になるので安全度も増します。
暫く進むと『長谷川ピーク』へ
Hピンクじゃ無く、Hの後に続くHな言葉を自己修正してる訳でもなく、『長谷川ピーク』です。
この三角屋根の様な『Hピーク』ナイフリッジに跨り、写真を撮る。
すると、俺の尻の割れ目を境に、右は飛騨(岐阜県)で左は信濃(長野)となる。
『う~ん、気分爽快!』
そんな事をしていると、あれ?っと思う事が・・・
先行していた男性2人が、長谷川ピークから飛騨側に下りるルートを間違えていたのだ。
『そこ違いますよ!ルートはその先!』と声をかけると・・・
『いや、ここにピンがあるから・・・ここでも平気でしょ?』と不満げな声(いや、あぶねって)
結局正しいルートに戻った二人なのだが、2人を見て更に驚いた。
緑ジャケットの人が、伸ばしたトレッキングポールを両手に大キレットを進んでいる。
ありえねぇー
注意しようかと思ったが、2度目となると気が引ける。
さっきの感じだと『若造が偉そうに、うるせーよ』そう思われそうだ 苦笑
後から来た人に話すと『注意した方が良いんじゃない?』と俺に言う・・・
え?俺が?
ここは、落石の多い大キレット。(一昨年はレンガ大の石を落とされ、去年は隣の人に石が当った)
『あの2人の下を登るのは、や~めたっ』
石やトレッキングポールが落ちて来るのも嫌だが、人が落ちて来たらタマラナイ。
『A沢コル』で長い休憩を取り、距離をあける事にした。
その緑ジャッケットのおじさんは、急な岩場やザレた登りを器用にダブルストックで登っていく。
しかし、『足』か『ポール』が滑ったら、谷へ真っ逆さまだろう。
『あの人、今回は無事でも、いつか事故を起すかもな』
『三歩だったら優しく注意するんだろうなぁ・・・』
そんな事を思いつつ、昨日出合った登山者に貰った『キットカット』を頬張る。
俺は三歩ほど優しく無い。
しかし、去年ザイテングラートであった事故の様に巻き込まれて失う命の事を思うと注意するべきだったと後悔。
『長谷川ピーク』ナイフリッジを行く登山者達。
A沢コルでは女性2人組み、俺と同年代?の男性1人と休憩を共にした。
一息いれたら、↓を登る。
↓少し登ったところで振り返る↓
今まで『大キレット』を通る時は、天候に恵まれて来なかった。(途中から雨)
今回も『天気は曇り』だが、キレットに雨は勿論ガスも掛かっていない。
きっと、北穂から迫力のある景色を目に出来ると『わくわく』する。
何より岩場は楽しい!
そして最後の危険箇所(と言っても高度感があるので皆慎重になるから、かえって安全かも?無論落ちたら終り)
『飛騨泣き』へ。
『飛騨泣き』を越えれば、後は『北穂高小屋』まで登るのみ。
体力には、十分な余力がある。
落石に注意しつつ、最後の登りを上って行く。
10:40、北穂高小屋へ到着。
去年も一昨年も、雨の中の大キレットだった。
しかし今回は、『青空の下』とは行か無いが、『大キレット越しの槍ヶ岳』を目にする事が出来、
小屋のテラスに腰を下ろす事も無く、ひたすらこの景色を心に焼き付けた。
胸焼けになる位焼き付けたら、北穂高小屋と売店の間の石段を上り『北穂高岳』山頂へ!
『北穂高岳3106m』
長谷川ピークを過ぎた辺りから北穂高山頂の動画も撮影。
前日購入のマフィンを味わいつつ、山頂からのパノラマを楽しむ。(風が冷たかったー)
キレットで出会った男性は上高地発の最終バスで帰るべく、一足先に涸沢へ下って行った。
山で出会った人との別れ際に交わす
『また何処かで!』
爽やかなこの言葉が俺は好きだね。
しかし、頭の中は『おでん おでん おでん 紅葉』
休憩後、涸沢へ下ります。
つづく
写真・・・すごいですね(・。・; 長谷川ピーク!
あんなに両脇何も無い岩の上から写真と動画を撮ったなんて!すごい!
『何より岩場は楽しい♪』・・その気持ちは、よ~く分かりますよ。私も岩場好きです♪
でも、この↑ここの岩場は自分が登るとなると恐いですよ~(@_@;)
しかし[E:heart04] 山・・きれいですね\(^o^)/♪
槍ヶ岳がきれいに写っている[E:shine]
こんなに素晴らしい景色が眺められたら気持ちいいでしょうね[E:heart04]
私も写真を見せて頂いて嬉しくなりましたよ[E:lovely]
あっ!それから・・『かむかむ』ってなんだろう?って思っていたのですが、
我が家の台所のテーブルの上にありました~♪
『チューイングキャンデーかむかむ』・・娘が食べてました[E:happy01]
槍ヶ岳を目指し、槍ヶ岳を見ながら歩けたらきっと楽しいだろうと想像してます。
去年の大縦走、槍を見ながら歩きたかったなぁ・・・と。
槍から穂高連峰は岩、岩、で北アルプスらしい風景ですよね
『かむかむ』は普段食べないんですよ、俺(菓子自体食べないですが)
でも山で食べると元気が出るんです。『かむかむ』!
あの『すっぱさ』が良いんですねぇー
因みに俺が食べるのは梅味です[E:scissors]