
先日 学会でインプラントメーカーの方と話す機会がありショックなことをいくつか聞きました
現在 台湾の人口は日本の4分の1ですが インプラントの売り上げ本数は日本よりも多いとのこと
最近、台湾の個人当たりのGDPが日本を抜いたという話を聞きましたが
台湾では歯を失った時に入れ歯よりもインプラントを選択する人の割合が日本よりも多いとのことです
なので日本の多くのインプラントメーカーが台湾に進出しているとのことでした
調べてみると台湾では保険証を持っていると半年に一度の歯の検診とクリーニングを受けることができるそうで
歯の健康意識も高いそうです
予防でも治療でも世界からどんどん取り残されている日本の歯科事情を目の当たりにしてちょっとショックです

週末は浜松で開かれた 第44回日本口腔インプラント学会中部支部学術大会 に参加して発表してきました
午前中の発表だったので前日に現地入りして発表前に精をつけようと思い 浜松の名産のうなぎをいただいてきました
ふっくらと焼き上げた鰻のおかげで次の日の発表も滞りなく終わりました
発表内容は
「開咬を伴う下顎臼歯部の欠損症例においてインプラント治療と歯列矯正治療を併用した包括的治療を行なった一症例」
要するに奥歯しか噛んでいない噛み合わせの患者さんで奥歯を失ってしまったのをインプラントで治療するだけでなく
噛み合わせも治してインプラントを13年良好に経過しましたという内容です
インプラント治療は歯を失った歯を補うことはできますが、歯を失った原因を治さないと
せっかく入れたインプラントも壊れてしまいます
あくまでもインプラント治療は治療の一部でお口の健康を守るには
総合的な治療計画が大切です



コロナ蔓延で外出できなかった時、「歯医者も感染が怖くて行けませんでした」という方が時々おられますが
実は当時から歯周病とウイルスの相互作用によってコロナやインフルエンザが重症化することは取り上げられており
むしろ歯科医院にて歯周病の管理をすることが感染予防になることは知られていました
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsotp/39/3/39_21.03/_pdf/-char/en
この冬はコロナよりもインフルエンザが猛威を振るっていますが
歯科医院で歯石をとって歯ブラシやフロスを使用してお口の中を清潔に保つことが
インフルエンザ予防につながります
身体の健康はまずお口から

ある歯周病の患者さんに歯周病の治療の為に禁煙を勧めていたところ「先生!タバコやめて加熱式タバコにしました!」とのこと
加熱式タバコは普通のタバコに比べてお口の健康に良いのか?
色々論文があって賛否両論でしたがこの度
口腔9学会(日本顎顔面インプラント学会 日本口腔インプラント学会 日本口腔衛生学会日本口腔外科学会 日本口腔腫瘍学会
日本口腔内科学会日本歯周病学会 日本有病者歯科医療学会 日本臨床歯周病学会)より共同声明が出ました
1.加熱式タバコには多くの有害化学物質が含まれています。
2.紙巻きタバコと比較して加熱式タバコの健康影響が少ないかどうかは明らかではありません。
3.加熱式タバコの使用は禁煙を阻害する可能性があります。
とのことでした
現時点では普通のタバコに比べて良いというデータはなく、結局ニコチンなどの有害なものは含まれており
ニコチン依存はなくならないということなのでお口だけでなく体の健康を維持する為には
やめておいた方がいいようです

老化の原因の一つに体の酸化があります
体内で発生する活性酸素のバランスが強くなると酸化ストレス状態になります
この酸化ストレスを防ぐ抗酸化力を上げるにはビタミン、カロテノイド、ポリフェノールといった
抗酸化成分が豊富に含まれる食品をしっかり食べることが必要です
かといって何か一つの食べ物ばかり食べるのではなく色々な物を
バランスよく食べることが必要です
抗酸化成分が多く含まれるのは緑黄色野菜、根菜、果物、海藻、キノコ、豆など
どれもしっかりと噛むことができないと食べれないものが多いので
そのためには入れ歯にならないように歯を守ることが大切になります

今回愛知インプラントインスティチュートの所長である堀田先生に日本口腔インプラント学会指導医の更新のための書類審査も受けてきました
日本口腔インプラント学会の専門医と指導医は5年ごとに更新の必要があり
その5年間での学会参加、各種セミナー受講、学会発表、症例報告などをこなして
下記のチェックリストを埋めないと更新できません
その上で研修施設の施設長のチェックを受けた上で学会で書類審査を受けてやっと更新できます
アメリカインプラント学会は試験が難しいですが更新のための義務はありませんが
日本口腔インプラント学会は資格所得後も研鑽に努める義務があり
それを維持することは大変ですが「自称、インプラント専門医、指導医」ではなく
患者さんの信頼を得る「日本航空インプラント学会認定インプラント専門医、指導I医」であるための義務ということです
写真は新大阪駅で昼食に購入した「とん蝶」です
これもまた素朴ながら癖になる味でおすすめです



週末は愛知インプラントインスティチュートの生徒さんのアメリカインプラント学会の口頭試問対策の為、新幹線で名古屋へ
レントゲンやお口の写真から診断、治療方針、手技を答えていく試験ですが
逆に人に教えるということは自分のためにもなります
写真は新大阪駅のキヨスクで朝食に買ったシズヤさんのカスクート
シンプルですがその分パンのおいしさが引き立つ逸品です

TVの給湯器のCMで「壊れてからじゃ遅いんです!」と言ってました
確かに給湯器壊れてから修理しようとしてもなかなか在庫がなかったり工事の都合がつかなかったりして
毎日使うものなので不便な思いをしばらく強いられますよね
日頃お湯が出て当たり前に慣れていると家の外で働いている給湯器の状態を把握することもできず
気がついたら結構使い込んでいたなんてことはよくあります
コレ、歯も同じです
でもせっかくレントゲンで問題を見つけて患者さんに治療を勧めても
「でも、症状がないのでしばらく様子見ててもいいですか?」と時々言われます
壊れてしまったら治療するのに傷が治るのに時間がかかったり治療によっては選択肢が限られたり費用も拡大します
給湯器もエアコンも身体も歯も「壊れてからじゃ遅いんです!」
定期検診で早期発見、早期治療をお勧めします

東北大学の研究で55歳異常の患者さんで歯の数と海馬の体積を4年間追跡したところ
歯周病の歯が多いほど海馬の萎縮速度が速かったそうです
患者さんの歯を失いたくない気落ちは理解できますが
重度の歯周病の歯を沢山残すと認知症になる可能性が高いということです
歯周病は痛みのない病気なのでまずは歯科医院で検診を受けましょう