前回に引き続きインプラント治療のための新材料のお話です
基本的に皆さん歯を抜きたくないですよね
特に痛みや症状がなければなおさらですよね
歯周病でグラグラになって患者さんが諦める時には歯の周囲の骨はほぼなくなってきています
そして入れ歯やブリッジは避けたいとの思いでインプラントを希望されるのですが
インプラントを入れるためにはしっかりした骨が必要です
その骨を作る手術を骨再生誘導手術、通称GBR法と言います
顎の骨の上に人工の骨や骨を移植するのですが、そのままだと歯ぐきなどの組織が入り込んできて骨になりません
骨の方が再生スピードが遅いので骨ができるまで他の組織が入り込まないように膜で遮断する必要があります
この膜のことをメンブレンと呼びかなりの種類がありますが厚労省の認可のインプラント治療の膜はありませんでした
今年になってとうとう登場しました!上記の写真のハニカムメンブレン です
メンブレンにはレーザーで開けた極小の穴が開いており他の組織は入り込めませんが
骨の再生に必要な栄養素は通過できるようになっています
しかもチタン製なのでアレルギーや感染のリスクが少なく今までの膜の欠点を改良したものになります
30年待ってやっとこれで認可済みのインプラント製品のラインナップがやっと揃いました
新しいインプラント治療用の人工骨が厚生省の認可され販売されました
今までの人工骨は粉末状だったので骨が凹んでいる部分に詰めるのには問題ないのですが
立体的に骨を作る場合はバラバラと崩れるためとても苦労しました
今回の骨はコラーゲン繊維でスポンジのような形態をしているため高さや骨の幅が欲しい場合
かなり扱いやすいとのこと、、
手間が減ることにより手術時間を短くできますし母校の口腔外科でもすでに使用されており
臨床成績も良いとの情報を得たので早速当院でも使用していきます
母校である愛知学院大学歯学部インプラント科の村上教授が大阪に学会で来られていたので会食してきました
以前よりインプラント治療に関する貴重なアドバイスをいただきお世話になっておりますが
今回もインプラント最新モデル、新しい人工骨、最近のトレンドなどを忖度なしに教えていただきました
インプラントに限らず新しい医療材料は基礎実験を経て大学病院で患者さんの同意を得てまず試験的に臨床に使用します
その結果が良ければ厚生省の認可がおりて製品化されてやっと購入可能になります
なので大学病院では開業医よりも新しい材料の情報が豊富に蓄積されています
インターネットや書籍だけではわからない実際の使用感や効果や予後を
忖度なしに教えていただけることはとても有益です
それに明石沖の太刀魚と淡路島産の玉ねぎはとても美味しかったです
食材も情報も産地と鮮度が大切だとあたらめて思います
7月も愛知インプラントインスティチュートでアメリカインプラント学会の専門医取得のための勉強会のお手伝いです
今月も暑い中、皆さん頑張って試験勉強です
何せ英語、しかも範囲がインプラント治療全般、しかも基礎から臨床まで総括して試験に出ます
勉強の範囲が広すぎて勉強会で知恵を出し合ってもインターネットで検索してもなかなか解けない問題もあるのですが
最後はインターネットが普及する40年以上前からインプラント治療をしている堀田所長が答えてくれます!
毎回試験を受ける頃には生徒の皆さんのインプラントの知識は一気に上がって行くのを嬉しく思います
写真は名古屋のシャチホコをデザインしたシュークリーム「シャチボン」です
しっぽの中までクリームが入っていてボリューム満点です!
歯科検診を全国民に義務化するとの話が上がってきます
政府は「持続可能な社会保障制度の構築」の中で全身と口腔の健康に関する推進事項として「国民皆歯科健診」を構想しています
歯を治すことによって健康寿命を伸ばしていこうという政府の考えで間違っていはいないのですが現実的には難しい気がします
もし検診を義務化してもその後の治療には費用と時間がかかるため検診だけで終わってしまう可能性があります
実際、患者さんの中には「歯医者は嫌い、あまり行きたくない、何かあったら行くところ」と言われる方が少なくありません
その反対に一方で自ら定期検診を定期的に受け、予防、早期治療をされる意識の高い患者さんも多くおられます
実際その方が重症化してから治療を行うより費用と時間の節約になります
「国民皆歯科健診」に加えて「国民皆歯科教育」も併せて行っていただければ、
そういった健康意識の多い患者さんが増えていくと思うのですが、、、