透水の 『俳句ワールド』

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NO10【COSMOS】コスモス俳句会 高橋透水

2024年12月21日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
NO10【COSMOS】コスモス俳句会 高橋透水
(再掲2024年12月)
  身をそらす虹の/絶嶺/・・処刑台  重信
 句集『蕗子』(昭和二十五年)収録され、重信の代表句に挙げられる。冨澤赤黄男の、〈乳房や ああ身をそらす 春の虹〉が下地になっていると考えられるのが一般的だが、その点を四ッ谷龍の見解から見てみよう。
 女性が身を反らせた姿と、虹のアーチ形とが、アナロジーによって重ね合わされる。さらに乳房の丸みと虹の半円形も相似形を作っている。高柳重信の俳句〈身をそらす虹の/絶巓//処刑台〉にはこの句(乳房や ああ身をそらす 春の虹〉)からの影響が見える。
 確かに重信が赤黄男の影響は受けているのを認めたい。ところがこの句を夏石番矢の「精神的かつ性的エクスタシーの頂点の形象化。嘉悦の極みには、悲哀が、破滅が来る。『処刑台』はその象徴」(「高柳重信」蝸牛俳句文庫・蝸牛社)と鑑賞するのはいかがであろう。特に「性的エクスタシーの頂点の形象化」という解釈には与しがたい。不快ですらある。
 重信はただ従来の俳句形式を打破したかったのだ。『蕗子』は実験であり、それは重信が次ぎのように述べていることから明らかだ。
 「数ある文学のジャンルの中から、特に俳句という歯がゆいものを選んだという動機――その動機の中に、見逃がすことの出来ない虚無的な考え方、敗北主義の萌芽のあることを、改めて注目したいと思う」「そして、多少の飛躍を感じながらも、僕は、この敗北主義の中に俳句の特殊性を考えたいのである」「僕は、その最後の虚無的な数条の光芒の中から、敢て最短詩とは言わなくても、日本語による新しい短詩の芽生えが始まるであろうことを、かすかながら予期したい」(「敗北の詩―新興俳句生活派・社会派へ―」、昭和二十二年七月「太陽系」第十二号)より。
 つまり、重信は問題提起や自己の方法論を述べるだけで、結論は出さない主義なのだ。要は実検的な多行詩は創るが、鑑賞と解釈は読者に委ねるという方法を取ったのである。
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◆第二年度『ビッグバン通信句会』 案内(都区現代俳句協会)

2024年12月16日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
◆第二年度『ビッグバン通信句会』 案内(都区現代俳句協会)
『ビッグバン通信句会』は二年目を迎えました。
皆さまのご協力に感謝いたします。
2025年1月より開始!!ただし奇数月の開催です。
メール句会でどなたでも参加できます。協会・結社にこだわりません。
★まずはメールでお問合せください!!案内書・投句フォームを送ります。
acenet@cap.ocn.ne.jp
●応募規定 (必ず2句出句)ただし、はがき・FAXの投句は不可。
当季雑詠 1句
詠込句  1句  (2025年1月の詠み込みは「世」)
●投句先パソコン : (下記URLをクリックしてください)
https://ws.formzu.net/fgen/S31510800/
スマホ専用 :
https://ws.formzu.net/sfgen/S31510800/
投句締切は 2025年1月20日 選句締切は 1月30日
■費用は一回500円 年3000円
◇投句方法のわからないかたは
acenet@cap.ocn.ne.jp まで。
担当:高橋透水 090-3231-0241
  (都区現代俳句協会会員)

●参 加 費:500円/1回、1年分(6回分)一括払い3000円。
  途中から参加は回数割。但し、途中から不参加の場合でも返金はしません。
※途中参加の場合は当該月以降の年間参加費をお支払い願います。
 投句と年間参加費の受領確認をもって参加とします。
振込先
1.ゆうちょ銀行
記号番号:総合:10140-62572281
2.他の金融機関
●振込の受取口座は下記になります。
普通:018 6257228
タカハシ トシエイ
【注】018 は店番
6257228 は普通預金口座番号

 【規約案内】
☆投句者は現代俳句協会所属の方にかぎりません。結社や団体を超えた新しい俳句をモットーに、広く募集いたします。ベテランの方だけでなくぜひとも若い方々の新鮮な俳句と忌憚の無いご意見をお待ちしております。
☆相互選句や講評をしていただき互いの研鑽の場をめざします。
●参加申込:フォームズまたはメールによる投句・選句に限ります。
(郵送、FAXは不可)問合は acenet@cap.ocn.ne.jp
携帯 090-3231-0241 高橋透水へ

●投  句:兼題または詠込1句+当季雑詠1句、計2句
●投句締切:初回は1月20日。(奇数月の開催で、毎回20日が投句締切)
●互  選:参加者には後日、清記表をメールで送付。
当季雑詠は3句選(内1句特選) 詠込句は2句選(内1句特選)
◇特選コメント(100字前後)記入。フォームズまたはメールによる選句
(将来は数人の特別選者・あるいは輪番制とすることも考えています)
●結  果:当月末~次月頭頃に句会報を発行する。(メール等で発表)
●参 加 費:500円/1回、ただし1年分(6回分)一括払い3000円。
  途中から参加は回数割。但し途中から不参加の場合でも返金はしません。
※途中参加の場合は当該月以降の年間参加費をお支払い願います。
  投句と年間参加費の受領確認をもって参加とします。
  申し込み時に、氏名、携帯番号、メールアドレスを明記してください。

●投 句 先:
(推奨)フォームズでの投句  https://ws.formzu.net/fgen/S31510800/
    スマホ専用    https://ws.formzu.net/sfgen/S31510800/

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芭蕉の発句アラカルト(初しぐれ) 高橋透水

2024年12月01日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
旅人と我名よばれん初しぐれ  芭蕉

 芭蕉四十四歳の作で『笈の小文』に収録。『笈の小文』は芭蕉死後宝永6年(1709年)、大津の門人川井乙州によって編集された。
 貞亨4(1687)年10月25日、芭蕉が亡父の三十三回忌の法要に参列するために江戸深川を出発し、貞亨5年8月末に江戸に戻るまでの旅で詠まれた句を集めたものである。
 『笈の小文』の序文、「風雅におけるもの、造化にしたがひて四時を友とす。見る處花にあらずといふ事なし。おもふ所月にあらずといふ事なし。像花にあらざる時は夷狄にひとし。心花にあらざる時は鳥獣に類ス。夷狄を出、鳥獣を離れて、造化にしたがひ、造化にかへれとなり」はあまりにも有名である。
 さて掲句は次のような前文がある。
 神無月の初、空定めなきけしき、身は風葉の行末なき心地して、
      旅人と我名よばれん初しぐれ 芭蕉
   又山茶花を宿々にして 
 脇句は岩城の長太郎と云うもので、「其角亭におゐて関送リせんともてなす」とある。
 ところで、芭蕉の考えた「旅人」とは、日常生活を離脱し「風狂」世界に遊ぶ人を指すと解釈してよいだろう。つまり芭蕉自身が「旅人」と呼ばれることは、単に孤独な放浪的な俳諧師ではなく、業平・能因・西行・宗祇らと同様、旅に生涯を送った偉人たちの芸術探究・人間探求の系譜につながることを意味した。
 『赤冊子』には「心のいさましきを句のふりにふりだして、よばれん初しぐれ、とは云しと也。いさましき心を顕す所、謡のはしを前書にして、書のごとく章をさして門人に送られし也」云々とある。芭蕉の旅への賛辞であるが、これからしても過去の偉人と並び、逸早く一流の俳人とよばれたいという芭蕉の願望や自負でなく、むしろ俳句道の旅出という勢いと心の余裕さえみられるのである。
 これは三年前の野ざらしの旅への決意「野ざらしを心に風のしむ身かな」とくらべても明らかであろう。座五の「初しぐれ」にもこれからの季節の厳しさを案ずるのでなく、むしろ旅立ちの明るささえ感じるのである。




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