兄妹の相睦みけり彼岸過 波郷
十五年春。作者は殆ど市井無頼毎晩遅く兄妹語合ふこともなかつた。お彼岸
が来たが東京のアパート暮しで何にもせぬ。然し兄妹久々に共に過し、彼岸
過ぎてもしばらく相睦み合ふのであつた。
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蛞蝓急ぎ出てゆく人ばかり 波郷
駒場の朝。緑の中を勤人が続々と出てゆく。そこらの籬根になめくぢりが道
をつけてあゆむ。別に「蛞蝓若き妻子を遺せし」の句があるが、同じ朝の作
である。
「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より
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十五年春。作者は殆ど市井無頼毎晩遅く兄妹語合ふこともなかつた。お彼岸
が来たが東京のアパート暮しで何にもせぬ。然し兄妹久々に共に過し、彼岸
過ぎてもしばらく相睦み合ふのであつた。
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蛞蝓急ぎ出てゆく人ばかり 波郷
駒場の朝。緑の中を勤人が続々と出てゆく。そこらの籬根になめくぢりが道
をつけてあゆむ。別に「蛞蝓若き妻子を遺せし」の句があるが、同じ朝の作
である。
「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より
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