20年ほど前に逝った母の人生は 波乱万丈であった
この時代を生きた方は 何方も同じかもしれない
高遠藩の姫の血統にあり 一時期はお金も不自由ない時も有った
父と東京へ出て アパート経営や人気惣菜屋も経営したと言う
しかしお人好しで騙され財産を失い 以後転々と各地をさ迷った
鉄くず拾いまでして生活を支えた父は 大酒飲みの酒乱でもあった
しかし 後半の人生はクリスチャンとなり 穏かな人生だった
それでも 生きているうちに3人の子供を失った 私の姉と弟である
亡くなる数年前までは 教会の合宿所のような鬼怒川の山奥へ住んだ
友人の家で ピアノが不要になった時 ここへ持ち込んだ
母は喜んでいた
別れる時に このピアノがお前だと思い 毎日磨いているよと言った
この頃は 少しは弾けるが 今のようには弾けなかった
独身の頃 大正琴を買ってきて練習してみた
結局 弾くことは出来なかったが 母はじっと曲にならない曲を聴いていた
カラオケも無い頃 テレビもラジオも 普及したあと ようやく買えた
年に2度ほど 私が計画した旅行に 父と二人で行くのが楽しみであった
歌は 口ずさむほどで 賛美歌や叙情歌だった
今では うたごえや施設で私は ピアノやキーボードを弾いている
一昨日のリクエストで 慈しみ深きの賛美歌があった
クリスマスシーズンになると 更にいろいろの賛美歌を聴く
もし母が生きていて 私の伴奏で歌ったらと ピアノを弾きながら思った
それは慈愛の眼で私を見つめ 小さな声で唱和したのではないか
夢で会えたら 母にピアノを聴かせたい
それも最近は 夢にも出てこなくなった
落ち着いた私の生活に安心して 向こうの世界に居るのだろう
幾つになっても オレの母・・・・・
今日の誕生花 つわぶき
花言葉 謙譲