キハE200形の爽やかなスカイブルーのラインは、浅間山や千曲川それに八ヶ岳といった背景に映えるだろう。
小海線 “高原列車の旅” はここ小諸から始まる。
仙石秀久が完成させた小諸城は、城下町より低い穴城として有名だ。
懐古園は『破戒』や『千曲川スケッチ』を起稿した頃の藤村が歩いたことだろう。
11:00小諸発の列車は中込止まり、途中下車して「旧中込学校」を訪ねる。
駅への戻り道に土屋酒造店、千曲川の伏流水で仕込んだ『亀の海』の新酒を買った。
後続の小淵沢行で早速キャップを切る。車中で楽しんだのは別に求めた300mlだ。
小海線は千曲川に沿って進み、信濃川上を過ぎると大きなUの字カーブを切って河岸段丘を駆け上がる。
視界が開けると雪化粧した高原とその先に八ヶ岳の峰々が聳える。野辺山駅は日本最高標高駅(1345.7m)だ。
野辺山を出ると間もなく県境を越えて山梨県へ。清里、大泉、小泉に短く停車して列車は小淵沢に到着する。
まだ15:00過ぎというのにかなり薄暗い。富士山だけが夕陽に照らされ輝いていた。
千曲川 / 五木ひろし 1975