旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

人生のそばから 小鹿野「観音茶屋」

2021-03-09 | 旅のアクセント

 切妻屋根の風情ある茶屋から煙突が付き出して、薪を焚く匂いが流れてくる。
和同鉱泉から秩父神社へ詣で、武甲酒造で寒造りの新酒を仕込んで、さて昼食は?
考えあぐねて結局ここに来てしまった。秩父市街からは30分のドライブだ。

ここの蕎麦は手打ちでやや太目、婆ちゃんが打ってくれたような懐かしい田舎そばだ。
吞み人が択ぶのは "観音そば なめこおろし"。野沢菜炒め?と煮大根の小鉢が付いて、
本来ならば蕎麦前を愉しみたいところだけど今日は運転手、昨夜も堪能したからね。
蕎麦猪口にたっぷりなめこおろしを入れて香り高いそばをズズッと啜る。美味い。

観音茶屋と云うのは秩父札所三十一番「鷲窟山観音院」参詣の道すがらに在るから。
石造り仁王像が立つ山門を潜ってから聖観音像を祀る本堂までは石段を上ること296段、
秩父三十四霊場のなかでもっとも険しい難所に建つ寺院と云われる。
美味しくそばをいただくには、この観音様を詣でてお腹を空かせるのがご作法のようだ。


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