旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

大人のたしなみ ぼんてん酒場@仙台

2022-05-11 | 大人のたしなみ

一番町の「ぼんてん酒場」は、昭和のノスタルジックな雰囲気が味わえる酒場であるとともに、
余所者がこのシーンに溶け込むのは相当に難しい、上級者向けの立ち飲みスタンドでもあった。
開店10分前、東一市場の横丁側の入口に到着、すでに先客1名有り、5分前に店が開く。

肩触れ合えば30人は立てそうなL字カウンター、呑み人は通りに面した短い辺の隅っこに立つ。
大将、怪訝そうな表情、ここはヘビーな常連さんの定位置か?格子のガラス戸から黄昏のあかり。

宮城の酒を所望する、角屋の “金紋両国 浦自慢” が厚手のグラスから滴り落ちる。お迎えに行かないと。
一般には出回っていない飲み応えのある、冷でよし燗でなおよしの本醸造だ。
アテに狙っていた “中落ち” はなく、代わりに “本マグロ刺し” を。ちょっと厚めの切り身が嬉しい。

開店10分後、刺身が出てくる頃にはカウンターはほぼ満席になっている。隣客と頻繁に肩が触れる。
オーダーを聞かずして大将が一杯目を用意するあたり、みなさん定刻に現れる常連さんだろうか。
姿恰好からすると此処いらの商店主さんが多いだろうか、サラリーマンは少ない。あっ今日は休日か。

“帯広風焼豚” ってのを頼む。千切りキャベツの上に甘辛いタレをたっぷりかけて登場、ワサビで美味しい。
カウンターは二人で回しているから忙しい、でオーダーのタイミングが難しい。多分暗黙のお作法がある筈だ。
「浦自慢は美味しかったか」と大将、やっと口を開いてくれた。
二杯目をねだると “澤乃泉” が出てきた。コクと香りのバランスが取れた定番の特別純米酒が美味しい。

開店40分後、店内に立錐の余地なし、今宵はきれいに席を譲ることにしよう。お会計は満足の1,700円也だ。
まだ臨時ダイヤで走っている東北新幹線、はやぶさを1本逃すと1時間帰りが遅くなるしね。
次回はもう少し余裕ができるだろうから、ゆっくり楽しむことにしよう。まだまだ食べたいアテがある。
店を出ると支社が入居するビルディングが近いことに気付いた。遠からず出張の機会もある筈だ。

Casablanca / Bertie Higgins 1982