開通当時の吉都線は、日豊本線として九州を縦貫する幹線だった。
戦前の吉松駅は、鹿児島本線(現肥薩線)と日豊本線(現吉都線)が合流する鉄路の要衝だったそうだ。
昭和7年、霧島連山の南麓を走る新線が開通すると、名称を吉都線と改めローカル線となってしまった。
今では1~2両の気動車が11往復、都城と吉松を結んでいる。通学時間を過ぎた10:05発の都城行きは単行なのだ。
肥薩線と分岐した単行気動車は、霧島連山の北麓、田園風景の中を宮崎自動車道と並行して往く。
モータリゼーションが進んだ地方のローカル線の乗客はというと、御多分に洩れずお年寄りと中高生がほとんど。
そして昼間っからボックス席で焼酎を飲む域外からの闖入者?と相場は決まっている。
ほぼ行程半ばの高原(たかはる)駅で下り列車と交換すと、単行気動車は向きを南に変えて都城をめざす。
都城盆地に降りるとにわかにスピードを上げる、如何せん年季の入った車両は揺れが半端でない。
単行気動車は甲高いブレーキ音を響かせて都城駅の5番ホームに終着する。
日豊本線から分岐する吉都線の起点を示す0キロポストは引き込み線の向こうにひっそりと在った。
都城には芋焼酎 “黒霧島”、麦焼酎 “麦飯石” を醸す霧島酒造の「霧島ファクトリーガーデン」が在る。
所要30分の工場見学は、格芋焼酎 “白霧島” と “黒霧島” の製造工程を見学と試飲を楽しめる。
ブルワリーレストランで宮崎県産の日向夏をまるごと入れてつくった “Hyuganatsu” を一杯いただこう。
「呑み鉄」南九州編、シャンパンを思わせる爽やかで軽い発泡酒が、焼酎を飲み続けた喉に心地よい。
吉都線 吉松~都城 61.6km 完乗